にげうまメモ

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22/01/09 Weekly National Hunt / Jump racing

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*週刊障害競馬回顧 2022/01/03-2022/01/09

1/8(土)

Sandown (UK) Heavy (Soft in places)

Tolworth Novices' Hurdle (G1) 1m7f216y (Replay)

1. Constitution Hill J: Nico de Boinville T: Nicky Henderson

早々に手ごたえが悪くなったDatsalrightginoを残してJetoileが密集した馬群を引っ張る展開も、残り2障害辺りから人気のConstitution Hillが抜け出すと、そのままJetoileに12馬身差をつけて快勝した。

Constitution HillはSandownのHurdleデビュー戦に続き素晴らしいパフォーマンスを見せてくれた。飛越も全体的に安定しており、やや前向きに走る傾向はあるがこの時期の5歳馬としては十分な範疇だろう。馬場が悪いため着差は付いているが、走法としては必ずしも不良馬場専門のそれではなく、おそらく良馬場であってもこのような結果となったと思われる。ここまでNoviceのClass4を勝ってきたJetoileが2着で、Point to Pointでは目立った馬ではなかったようだが、Ryan Potter厩舎に移籍して馬が変わってきているようだ。おそらくこの馬は距離が伸びた方がいいだろう。Gary Moore厩舎のAuthorized産駒Shallwehaveonemoreは前半からかなり引っかかる仕草を見せており、勝負所からついていけなくなり大敗。全体的にここまで重賞戦線でどうこうという馬はおらず、レースの水準にはよくよく注意しておいた方がいいだろう。

 

〇 Veterans' Handicap Chase (Final of the 2021 Veterans Chase Series) (C2) 3m37y (Replay)

1. Prime Venture J: Adam Wedge T: Evan Williams

10歳以上限定競走であるVeterans' Chase Seriesの最終戦。2021年から予選を行っているので、この競走自体は実質的には11歳以上限定戦である。既にSandownの名物競走となって久しい。このレースを勝利した場合は引退することが決定していた*1葦毛のValadomが後続を大きく引き離して逃げるも、残り2障害辺りから後続が一気に殺到。ここからSir Ivan、Final Nudgeらを一気に引き離したPrime Ventureが2着に9馬身差をつけて快勝した。

Prime Ventureは今年11歳となる馬だが、Chaseは2020年のSedgefieldのNovice競走から2勝目とした。基本的に重賞クラスでは荷が重いようで、今シーズンもHurdleでは大敗、前走のHaydockのVeterans' Chaseでも途中棄権と良いところがなかったのだが、ここではいきなりの激走を見せた。遡れば2019年のWelsh Grand National (G3)では4着のある馬で、おそらく重馬場で比較的ゆったりと運ぶことが重要なのだろう。10st7lbの軽量もよかったかもしれない。前走Warwickの同カテゴリーを勝ってきたFinal Nudgeも元気いっぱいの2着で、昨年3月にはMidlands Grand National (Listed)で3着に入っているように、13歳となった今年も元気なようだ。かなり年齢を重ねてはいるがもう少しこの超長距離戦で見てみたい馬である。Conditional JockeyのLilly Pinchin騎手渾身の逃げを打ったValadomは5着に粘ったが、あれだけ飛ばしておいて最後大きく止まっていないのは大したものである。残り2障害で大きなミスがあり、Sandownは最後に上り坂がある厳しいコースなのだが、残り2障害から再度エンジンをかけて抵抗するだけの気力が残っていたことは驚嘆に値する。戦前は引退との報も出ていたが、今シーズンの調子の良さを考えるともう少し見てみたい馬である。

 

1/9(日)

Fairyhouse (IRE) Soft (Yielding to Soft in places)

Dan & John Moore Memorial Handicap Chase (Grade A) 2m1f (Replay)

1. Dunvegan J: Bryan Cooper T: Pat Fahy

元気にハナに行ったDunveganを制してBlackbowが引っ張る展開も、最終障害でこれにDunveganが接近。BlackbowとDunveganの叩き合いはDunveganに軍配が上がった。

Dunveganは前走のEasyFix Equine Handicap Chase (Grade B)から連勝とした。Novice HurdleのG1路線では歯が立たず、その後Chaseでもあまり良いところはなかったのだが、どうやら近年は平地を使い、さらに16fに距離を短縮したことで馬がだいぶ変わってきているようだ。昨年はTopham Chase (G3)にも参戦していたように飛越技術自体はそれなりのものがありそうで、もしかすると再度AintreeのNational Fenceで見ることができるかもしれない。逃げたBlackbowが2着で、昨シーズンはIrish Arkle Novice Chase (G1)に参戦し3着のある馬。勝ち馬とは5stの斤量の分だろう。

 

その他

Khan, un étalon au profil rare à Gelos en 2022 (France Sire)

Smart dual-purpose performer Khan set for stud career in France (Racing Post)

Preis Von Europa (G1)の勝ち馬で、その後ドイツ・フランス・イギリスのHurdle競走を経験したKhanが2022年からフランスHaras de Gelosで種牡馬入りするそうだ。フランス障害競馬では良血馬を未去勢のまま障害競走に出走させ、その後種牡馬入りさせることが比較的多く行われているが、近年においてイギリス障害競馬を経験した馬が種牡馬入りすることは極めて珍しい。

Jordan: Oakbank has nothing to hide (Racing.com)

上記のエキサイティングなニュースに対してこちらは残念な記事。基本的にはRacing SA側の言い分であり、客観的でも独立した見解でもないが、一応記載だけしておく。

Cheltenham dreams for prolific US winner The Mean Queen on hold due to Covid-19 (Racing Post)

Keri Brion調教師は昨年のWinston Cに引き続きThe Mean QueenをCheltenham Festivalに遠征させるプランを立てていたようだが、新型コロナウイルス感染症の影響で取りやめとなった。Winston Cは残念ながらアイルランド初戦で大敗しそのまま帰国した一方で、The Mean Queenは昨年のアメリカHurdle路線では無敵を誇った馬であり、Cheltenham Festivalに遠征するのであれば非常に興味深い一頭になったのだが、中止となってしまい残念である。

Tiger who? New McManus buy from France storms to the top of Cross Country market (Racing Post)

この記事は有料記事なのだが、どうやら最近Grand Steeplechase Cross Country de Compiegneを含む5連勝を挙げているフランスのPrengardeがJP McManusに購入され、Enda Bolger調教師のもとに移籍することになったようだ。Joshua Stacey氏のtwitterで述べられている。なお、2020年のCheltenham FestivalでTiger Rollを圧倒したEasyslandはDavid Cottin調教師ではなくJonjo O'Neill調教師の元に移籍したそうだ。