にげうまメモ

障害競馬の個人用備忘録 ご意見等はtwitter(@_virgos2g)まで

23/03/05 Weekly National Hunt / Jump Racing

3/5(土)

Kelso (UK) Good to Soft

Premier Novices' Hurdle (G2) 2m2f25y (Replay)

1. Nemean Lion J: Richard Patrick T: Miss Kerry Lee

ゆるゆると逃げたColonel Happyをゴール手前でNemean Lionがとらえて勝利した。Nemean Lionはex-Flat Horseで、ロンシャンのPrix Chaudenay (G2)では2着の実績もある。イギリス移籍後はHurdleを使っていたようで、SandownのTolworth Novices' Hurdle (G1)では3着に入っていた。Golden Horn産駒は最近になってex-flat HorseとしてNovice Hurdleで一定の存在感を示しているが、どこまでNH Sireとしてのポテンシャルがあるかは注意しておきたい。少なくとも今回は良馬場のNovice Hurdleとしては典型的なレースで、Tolworth Hurdle (G1)の上位勢が上位を占めたとはいえ、同レースの自体の水準としてはややアイルランドの同路線と比較すると分が悪いと評されていることを考慮するべきだろう。

 

〇 Premier Chase (Listed) 2m7f96y (Replay)

1. Empire Steel J: Ryan Mania T: Sandy Thomson

元気よく逃げたWishing And Hopingを競り落としてLe Milosが逃げ込みを図るも、最後復活してきたEmpire Steelがこれを差し切り勝利した。

Empire SteelはこのKelsoではお馴染みの馬で、地元調教馬ということもあって場内は大いに沸くことになった。Kelsoでは2022年にもClass2のハンデ戦を勝利しており、あまり馬場関係なく走るタイプのようだ。ただ、今回はどうにも飛越にミスもあったこと、Le Milosがやや最後失速したことによる助けもあった感もあり、勝負所では明らかにLe Milosに置いていかれていたことも注意しておくべきだろう。Coral Gold Cup (Premier Handicap)を勝利したLe Milosは惜しい2着。逃げたWishing And Hopingを警戒したのか早々に競り潰しに行ったのだが、最後はこの馬も苦しくなったようだ。アイルランドのThe Shunterはどうにも飛越がいまいちで、最後は差を詰めるも離れた3着に終わった。

 

Newbury (UK) Good

Greatwood Gold Cup Handicap Chase (Premier Handicap) 2m3f187y (Replay)

1. The Big Bite J: Jonathan Burke T: Henry Oliver

Gemirandeが前に行くも馬群は密集して進行。残り4障害辺りからThe Big Biteが前に出てくるも、Gemirandeが抵抗。The Big Biteが僅差でGemirandeを退けて勝利した。

The Big Biteは重賞は初勝利となる。Novice Chaseでもあまり実績はなかった馬で、遡れば2021年のこのレースで3着もあるのだが、そこからはあまり目立った成績がなかったようだ。今回は初のチークピーシーズ着用を試みたようで、これがいい方向に出た感もある。前走Class2のHandicap Chaseを勝ってきたGemirandeが2着に入り、10st台の軽量馬が上位を占める結果となった。トップハンデのPaint The Dreamは好位から進めるも、12馬身ほど離れた3着。Denman Chase (G2)であっと言わせたCourse SpecialistのZanzaはどうにももたもたと追走していたようだが、Paint The Dreamと差のない4着に入った。

 

Navan (IRE) Yielding

〇 Maiden Hurdle 2m6f100y (Replay)

2. Jimmy Chou Pecos AA J: Mr. Ben Harvey T: John McConnell

アングロアラブのJimmy Chou Pecosが出走しており、好位から進めたがWestern Walkから3馬身差の2着に終わった。Jimmy Chou Pecosは母父にMangaroseを持つAnglo-Arabianで、これがHurdleは2戦目となる。フランス産馬だがex-pointerのようで、飛越自体はここでも安定したものを見せていた。馬の能力的にあまりMaiden Hurdle向きではなさそうだが、そのうちどこかは勝てそうだ。AQPSはしばしばアイルランドでも見ることはあるが、Anglo-ArabianやAnglo-Arabe Complementは珍しく、フランスでもサラブレッド及びAQPSに混じってレースに出走することはあまりない。馬名の"AA"とはAnglo-Arabianのことを差しており、Anglo-Arabianでは末尾にこのワードが付くようだ。

 

Flyingbotl Novice Chase (G3) 2m (Replay)

1. Indiana Jones J: Darragh O'Keeffe T: Mouse Morris

Ha D'Orがゆるゆると逃げる展開だが、残り2障害あたりからIndiana Jonesが前に。勝負所の障害でミスを連発したHa D'OrをIndiana Jonesが振り切って勝利した。Flame Bearerは伸びきれず3着に終わった。

Indiana JonesはChaseはこれで2連勝としたが、Chaseの経験自体はかなり長いようで、2021年の11月から使っている。2021年の年末辺りには3戦連続で落馬するなど飛越もいまいちだったようだが、この馬なりに進捗があるようだ。Nidor産駒のHa D'Orは勝負所での飛越のミスが痛かった。1月のFlame Bearerでは38馬身差の圧勝を見せていたFlame Bearerはどうにも終始飛越がいまいちであった。さすがにこの飛越では重賞クラスでは厳しいものがある。

 

Mont-De-Marsan (FR) Bon (3.0)

Grand Cross De Mont-De-Marsan #2 Trophee National Du Cross Haras Du Lion - Genybet

Cross Country Pour tous chevaux de 6 ans et au-dessus. 4650m (Replay)

1. Gamsoul J: Romain Julliot T: Erix Leray

途中の池が干上がっているのが若干悲しいのだが、道中にはダイナミックなPassage De Route等を含むMont-De-MarsanのGrand Cross。レースはZumba Du MazetとEllie'starが並んで逃げるも、残り4障害のMurからGamsoulが先頭に。そのままGamsoulがZumba Du Mazetを8馬身ほど突き放して勝利した。

Gamsoulは昨年のGrand Cross De Saumurの勝ち馬で、このMont-De-Marsanのコースでも実績がある。冬にはPauにも参戦していたようで、そこでは勝利を上げることはできなかったようだが、今回は安定した飛越で結果を残した。さすがにPauのトップクラスの面々が相手だと厳しそうではあるのだが、今年もTNCの常連として頑張ってくれそうだ。父にGrand Prix De La Ville De Nice (G3)の勝ち馬Nom De D'La、母父にJebeland Pontadourを持つACの牝馬Zumba Du Mazetも安定したレースでの2着。Mont-De-MarsanのCross及びPauのCrossでも実績があるようで、ここまでAA及びAC相手のレースが主だったといえ、コース経験を生かして頑張った。どうやら健康上の問題があったことから直接引退するようだが、今年で7歳となる馬で、血統的には繫殖牝馬としてのポテンシャルにも期待したい*1。やはりPauから転戦してきたShawiniganが3着に入った。

 

3/5(日)

Auteuil (FR) Tres Souple (3.9)

〇 Prix Rohan

Haies Pour tous chevaux de 4 ans et au-dessus, n'ayant pas couru. 3600m (Replay)

3. Harry J: Kevin Nabet T: Noel George & Amanda Zetterholm

2020年のBro Park Trialの勝ち馬で、2020年にはSvenskt St Legerにて2着に入っているHarryが出走しており、好位から運んだが3着に敗れた。Harryはこれがスウェーデンからの移籍後初の出走となる。スウェーデンでは障害戦は使っていなかったようだが、フランスでは平地ではなくいきなりHurdle戦を使ってきたようだ。平地出身馬にありがちな余計な動作などはあまりなく、飛越自体もさして問題はなかったようで、ここに向けてしっかりと調教してきたものと思われる。スウェーデン産馬だが最近欧州ではよく見るMaxiosの産駒であるが、スウェーデン当時からオーナーは変わっていないようで、なかなか興味深い試みになりそうだ。なお、Noel Georgeはイギリスに拠点を置くTom George調教師の息子で、現在はフランスに拠点を置いている。Tom George厩舎は近年フランスにて活発に活動しているが、Noel Georgeは2023年初頭にフランスの調教師試験に合格し、実質的にはNoel George厩舎はそのフランスでの拠点として機能するようだ。Amanda Zetterholmは元々アマチュア騎手だが、David Cottin厩舎において中心的な役割を果たしていたようで、この厩舎のフランスでの今後の活動については注目すべきだろう*2

 

Prix Juigne (G3)

Haies Pour tous chevaux de 5 ans et au-dessus. 3600m (Replay)

1. Il Est Francais J: Felix De Giles T: Noel George & Amanda Zetterholm

途中から先頭に立ったIl Est FrancaisがそのままKapteen以下を振り切って勝利した。Il Est FrancaisはこれでHaiesはPrix Renaud Du Vivier (G1)を含む5戦5勝とした。今回は初の5歳以上の馬が相手であり、68kgとやや斤量的には恵まれた感はあったのだが、それでも勝ち切ることは今後に向けて楽しみな材料だろう。今回は全体的にのんびりとしたレースとなったが、今後に向けては距離の延長が課題となる。ただ、ここまで重賞戦線においてあまり出走歴のないKapteenが差のない2着に入っていることは気になる材料で、レースの内容としてはシーズン序盤の3000メートルクラスということを踏まえて判断した方がよさそうな感もある。実績馬Hermes Baieは後方から足を伸ばしての3着で、今回は72kgという斤量もあった可能性はあるが、それよりはレース運びの方に理由を見出した方がよいかもしれない。Grande Course De Haies De Compiegne (G3)で大敗していたGoa Lilも差のない4着で、この馬もイギリスではあまり大した実績がなかったことを踏まえると、やはり上記のようなレースの性質は疑ってかかった方がよいだろう。

 

その他

British Horse Racing Movies (British Horse Racing Movies)

英国の競馬を題材にした映画に関するホームページを見つけたので紹介まで。

Sezóna 2023 bude plná změn (Dostihový spolek)

Dostihové změny. O Velkou pardubickou se bude běhat jinak, podmínky se zpřísní (iSport.cz)

"Milionová" kvalifikace i nová data. Pardubická sezona bude plná změn (Jezdci.cz)

2023年のPardubiceの競馬シーズンは大幅に変更されており、今年は4月からシーズンが開始される。Velká PardubickáのQualification Raceのうち、6月の競争は距離及びコースの変更並びに賞金額の増額が行われ、この競走はCrystal Cupのメンバーに加わる予定だそうだ。さらに、Velká Pardubickáの出走条件が変更されているようで、以前はQualification Raceにおいて単に完走することだけが条件であったのが、今回は入着又は勝ち馬から20秒以内で完走することが条件となるようだ。これは国外の調教馬の誘致を目的としている一方で、国内の調教馬において明らかに格下又は未熟な馬が出走していることが指摘されており、そのような対策もあるのかもしれない。