にげうまメモ

障害競馬の個人用備忘録 ご意見等はtwitter(@_virgos2g)まで

23/03/26 Weekly National Hunt / Jump Racing

3/20(月)

Navan (IRE) Heavy (Soft in places)

Webster Cup Chase (G2) 2m3f90y (Replay)

1. Any Second Now J: Denis O'Regan T: Ted Walsh

Velvet Elvisが逃げる展開も、好位で進めたAny Second Nowが残り2障害あたりから抜け出して勝利した。Any Second Nowは今シーズンはこれが3戦目となる。前走はIrish Gold Cup (G1)でGalopin Des Champsの4着に入っていたが、基本的にはAintreeのGrand Nationalを目指して使っている馬で、今年もここからAintreeのGrand Nationalを目指すことになりそうだ。このレースを叩いてAintreeに向かうパターンは2021年と同様だが、当時とはこのレースの距離が異なっていることには注意しておきたい。

 

3/23(木)

Sedgefield (UK) Soft

〇 Novices' Handicap Chase (Class 4) 2m1f (Replay)

1. Grey Skies J: Theo Gillard T: Donald McCain Jr

最終障害直後に前を走っていたTelhimlistenが落馬し、棚ぼたでGrey Skiesが勝利したレース。最終障害のシーンは横から見た映像では落馬の原因がわかりにくく、レースが2頭立てであったということもあってSNSでは話題になっているが、その実Telhimlistenが最終障害直後に左へと急速に動いたことによる落馬であり、正面からの映像からその落馬の原因を判断することは容易である。騎乗していたSean Quinlan騎手もイギリス障害競馬で活躍する有力なジョッキーの一人であり、その騎乗技術は確かなものを持っていることも踏まえると、この事象が騎手の未熟さや油断騎乗等、騎手側の要因に起因するものではないことは明白であろう。この日のSedgefieldは近年のイギリスで大きな問題となっている小頭数のレースが多く、最高でも6頭立てと、関係者の苦心が伺える開催であった。例によってnetkeibaのtwitterアカウントがネタにしていたようだが、上記の状況を踏まえると決してそのような事象ではなく、むしろ落馬した騎手をはじめとする関係者の心情を慮るべき状況である。当該アカウントはドバイ開催に際してネット上の流言における関係者へのリスペクトの欠如に言及しており、それ自体は正論ではあるのだが、上記の対応を含め海外障害競馬に対する昨今の当該メディアの態度は本邦の代表的な競馬メディアとして関係者を含む競馬文化へのリスペクトを欠いたものであると言わざるを得ない。立派な正論を述べる以前にむしろ己の言動を反省した方がよいのではないだろうか。

 

Cork (IRE) Heavy (Soft to Heavy in places)

〇 Handicap Hurdle (80-109) 2m4f (Replay)

1. Killinure Lass J: Mr Elliot Öhgren T: Brian McMahon

この競走は欧州アマチュア騎手シリーズの"The Gentlemen's League Fegentri Championship 2023"の第一戦のようで、このシリーズはアイルランドの他、フランスやチェコといった欧州各国で行われ、参加する騎手もイギリス、アイルランド、フランス、アメリカ等から集まるようだ。第1戦を制したのはスウェーデンElliot Öhgren。以前にはアイルランドWillie Mullins厩舎にも来ていた人で、スウェーデンではトップジョッキーの一人に数えられる。アイルランド障害競馬でも何度か騎乗しているが、これが初勝利となった。

 

3/26(日)

Limerick (IRE) Soft (Heavy in Places)

Hugh McMahon Memorial Novice Chase (G3) 3m120y (Replay)

1. Thedevilscoachman J: Denis O'Regan T: Noel Meade

先に抜け出したGrandero BelloをめがけてスパートしたThedevilscoachmanがこれを振り切って勝利した。ThedevilscoachmanはChaseはこれで3勝目とした。Drinmore Novice Chase (G1)での落馬を除けば今シーズンは3戦無敗としており、どうにもChaseでの飛越がいまいちであった昨シーズンとはだいぶ馬が変わってきている感がある。Cheltenhamには向かわなかったようだが、Cheltenhamとは別路線組の有力馬として注意すべき一頭だろう。対抗角と思われたGrandero Belloが2着だが、斤量差を考えるとほぼ完敗といったところで、今回は勝ち馬を褒めるしかなさそうだ。

 

Auteuil (FR) Collant (4.3)

Prix Hypothese (G3)

Haies Pour tous chevaux de 5 ans et au-dessus. 3900m (Replay)

1. Theleme J: Gaetan Masure T: Arnaud Chaille-Chaille

上がり馬Il Est Francais、さらにHermes Baie、Thelemeの3頭が集まり、AuteuilのHaiesとしてはトップクラスの馬が集結する競走となった。レースは前半からGoa Lil、Kapteenの2頭が飛ばす展開だが、徐々にKapteenは脱落。代わってSpirit of the Moon、Hermes Baieが抜けてくるも、後ろから忍び寄ってきたThelemeがこれを突き放して勝利した。

Thelemeは昨年のGrand Prix D'Automne (G1)を含め3連勝とした。Hermes Baieと同じ6歳世代で、いち早く上の世代を相手に結果を残していたHermes Baieからはやや遅れるタイミングとはなったが、現時点ではHermes Baieに対してこの馬の方が優位となる結果を残している。スプリントを掛けてからのスピード能力が非常に高いタイプで、Hermes Baie、Spirit of the Moonを一気に置き去りにする瞬発力は印象的であった。基本的には後方でじっくりと構えつつ、前をめがけて動いていくのがこの馬の勝ちパターンになるだろう。そのHermes Baieが2着に入り、6歳世代が上位を独占する結果となった。Spirit of the Moonは見せ場を作ったが、最後は遅れて3着。64kgの軽量による助けもあったものと思われるが、この好走がフロックではないことを期待したい。上がり馬Il Est Francaisは期待されていたが、最後は脱落して5着に終わった。

 

〇 Prix Hubert De Navailles (Classe 1)

Haies Pour tous chevaux de 5 ans et au-dessus, n'ayant, en courses à obstacles, ni depuis le 1er janvier de l'année dernière inclus, reçu 27.000 (victoires et places), ni couru trois fois, depuis le 1er septembre de l'année dernière inclus. 3600m (Replay)

1. Kalashnikov J: Jack Quinlan T: Amy Murphy

好位から進めたKalashnikovがIndian De Gascogne以下を抑えて勝利した。KalashnikovはイギリスではG1勝ちを含めて成功を収めた馬だが、なにかと故障がちで順調に使えず、600日以上の長い休養も経験していた。今回は2019年のAintree以来となる勝利となる。健康上は問題を抱えた馬だが、それでも持っている能力はいいものであり、今回の復活劇はまさに関係者の尽力の賜物だろう。Amy Murphyはフランスにサテライトヤードを所有するようで、そのフランスでの活躍も引き続き期待したい。今年で7歳となるGalleo Contiはこれが1年半以上の休養明けであったが、最後は追い込んで3着に来た。2021年にはGrand Steeplechase De Paris (G1)で3着のある実力馬で、なんとか無事に行って欲しいところである。ここには今年11歳になるかつてのGrand Steeplechase De Paris (G1)の勝ち馬Docteur De Ballonも出走しており、後方からじわじわと差をつめて8着に入った。この馬はこれで十分だろう。スウェーデンからの移籍馬Harryはいいところなく7着に終わった。

 

その他

Bryan Cooper announces retirement from the saddle (Racing TV)

Don Cossack、Our Conor、Apple's Jadeなどとコンビを組んで成功を収めたBryan Cooper騎手が引退するそうだ。今年で30歳となる同騎手は過去にはCheltenham Gold Cupをはじめとする成功をおさめたが、近年は怪我による長期離脱を余儀なくされていた。

Hindernisrennen in Deutschland (RaceBets Blog)

ドイツ障害競馬の歴史に関する簡潔な記事。ドイツ障害競馬は近年縮小を続けており、特に2020年には年間2レースのみであった。その後2021年、2022年と若干盛り返してはいるが、今後の先行きは不透明である。