にげうまメモ

障害競馬の個人用備忘録 ご意見等はtwitter(@_virgos2g)まで

20/02/23 Weekly National Hunt / Jump Racing

*障害競馬回顧 2020/02/17-23

今週も悪天候の影響でイギリス・アイルランド障害競馬の開催中止が相次ぎ、開催にこぎつけた競馬場も不良馬場での競争が目立ちました。Cheltenhamもどうやらしばらくは雨予想で、まだFestivalまで2週間近くあるとはいえ、来月のCheltenham Festivalは重馬場を覚悟しておいた方がよさそうです。

ちなみに、障害競馬とは関係ないのですが、青森産馬ミライヘノツバサが土曜日のダイヤモンドステークス(G3)を勝利しましたね。近年はノーザンファーム生産の世界的な血統馬の活躍が目立つ日本平地競馬であり、勿論その水準を世界トップクラスまで引き上げ、日本競馬を席巻するに至った関係者の努力は素晴らしいのですが、下記のDream Allianceの例もあるように、個人的にはこのようなマイナーな生産地の出自の、決して一流とは言い難い血統の馬が、地元の夢を背負って大舞台で活躍する姿を少しでも多く見たいものです。

 

2/18(火)

Musselburgh (UK) Soft

〇 Novices' Hurdle (C4) 2m3f171y (Replay)

6. Oscar Clouds J: Craig Nichol T: Keith Dalgleish

Many Cloudsの半弟Oscar Cloudsが出走していたが、中段から進め特に良いところなく6着に終わった。Many Cloudsは2015年のGrand National (G3)の勝ち馬で、強靭な精神力と持久力を兼ね備えた近年のイギリス障害競走随一の名馬である。残念ながら2017年のCotswold Chae (G2)を勝利した直後にEIPH(Exercise-induced pulmonary haemorrhage)が原因で死亡している。同馬の功績を讃え、元々12月にListed競走としてAintree競馬場で行われていたレース(2016年の勝ち馬はMany Cloudsである)は、2017年から"Many Clouds Chase"としてG2に昇格された。Many Cloudsの下には、現在3歳のMilanの産駒("Heavenly Clouds"と名付けられている)とYeats牝馬がいる。

 

Puncehstown(IRE)Heavy

P.P. Hogan Memorial Cross Country Chase 3m1f (Replay)

1. Neverushacon J: Paddy Keneddy T: Mrs Jessica Harrington

2. Ballyboker Bridge J: Mr B O Walsh  T: Peter Maher

3. Yanworth J: Mark Walsh T: Enda Bolger

4. Josies Orders J: Darragh O'Keeffe T: Enda Bolger

本来は2月上旬に予定されていたレースだが、Punchestown開催の延期によりこの時期となった。好位から進めたNeverushaconが逃げたBallyboker Bridgeを抑えて勝利。Neverushaconはもともと平地と障害の兼用で走っていた馬だが、最近になってCross Countryにも参戦し、活躍の場を広げている。13歳のベテランBallyboker Bridgeは2着と好走し、2015年、2016年とこのレースを勝利しているコース巧者ぶりを見せた。かつてはChampion Hurdle (G1)でも人気を集めた実績馬で、Cross Countryでももう一花と期待されたYanworthは3着までで、フランスのEasyslandに圧倒されたGlenfarclas Cross Countryに続きやや残念な結果となった。連覇を狙ったJosies Ordersは4着となり、アイルランドCross Country競走の第一人者であるEnda Bolger厩舎の二頭は案外な結果に終わった。

 

◯ Novice Chase 2m (Replay)

2. Early Doors J: Mark Walsh T: Joseph O'Brien

HurdleではBar One Racing Royal Bond Novice Hurdle (G1)の2着など活躍したEarly Doorsが出ていたが、どうにも飛越がいまいちで2着に終わった。Chaseはこれで4戦目となるが、そろそろ進境が見えて欲しいところ。人気を集めたZero Tenは第8障害で落馬に終わった。

 

Grand National Trial Handicap Chase (Grade B) 3m4f80y (Replay)

1. Ifyoucatchmenow J: Conor McNamara T: Willie Mullins

2. Agusta Gold J: Danny Mullins T: Ms Margaret Mullins

3. Cheb De Kerviniou J: Rachael Blackmore T: Gordon Elliott

Grand National Trialと銘打ってはいるものの、勝ったのは9st9lbの牝馬Ifyoucatchmenow。 ここまで勝ち星はMaiden Hurdleのみで、今シーズンはChaseに転向するもいいところなしという馬で、驚きの勝利となった。11st1lbの牝馬Agusta Goldが2着に入った。これで18戦して2着が8回、3着が5回と、実に堅実な馬である。人気を集めたCheb De Kerviniouは3着。

 

Mercedes-Benz Novice Hurdle (G3) 3m (Replay)

1. Run Wild Fred J: Mark Walsh T: Gordon Elliott

2. Lord Royal J: Paul Townend T: Willie Mullins

好位から進めたRun Wild Fredが残り2障害辺りから抜け出すと、人気を集めたLord Royalを抑えて勝利した。Run Wild FredはここまでHurdleではMaiden勝ちがあるのみで、National Hunt Flatで2勝を上げるも重賞クラスではいまいちだっただけに、ここでは人気を落としていた。前走ClonmelのMaiden Hurdleで33馬身差の圧勝を見せていたLord Royalは競り負け2着。

 

Fontainebleau (FR) Terrain Tres Souple (4.0)

◯ Prix Capitaine Labonde (Haies) 3800m (Replay)

1. On The Go J: James Reveley T: Guillaume Macaire

2018年5月ぶりのレースとなったOn The Goが快勝。2018年のGrand Steeplechase De Paris (G1)、2017年のPrix Maurice Gillois (G1)を勝利しているように、フランスSteeplechaseにおいてトップクラスの馬だが、2018年のGrand Steeplechase De Paris (G1)を最後に長い休養に入っていた。ひとまず春のAuteuilが大目標となるだろう。

 

2/19(水)

Doncaster (UK) Soft (Good to Soft in places)

◯ Veterans' Handicap Chase (C2) 2m7f214y (Replay)

1. Burtons Well J: Charlie Deutsch T: Miss Venetia Williams

ここのところはVeterans' Chaseの常連であるBurtons WellがMinellacelebrationを抑えて勝利した。どうやら次はCheltenham FestivalのUltima Handicap Chase (G3)が目標となるようだ。

 

◯ Open Hunters' Chase (C6) 3m2f1y (Replay)

1. Just A Par J: Mr Toby Wynne T: Joshua Guerriero

2015年のbet365 Gold Cup (G3)の勝ち馬Just A Parが自身初のHunters' Chaseを勝利で飾った。もっとも、残り2障害で前を走っていたCaptain Cattistockが障害手前で逸走するような仕草を見せ、結果的に騎手が落馬したという棚ぼたもあるのだが。以前は後方からじっくり進め、忘れた頃に飛んでくるようなレース振りの馬であったが、2017年のbet365 Gold Cup (G3)で大敗したのを最後に長い休養に入り、その後2018年にGrand National (G3)を走るも見せ場なく途中棄権。これがJoshua Guerriero厩舎移籍後のデビュー戦であった。

 

Punchestown (IRE) Soft to Heavy

Quevega Mares Hurdle (G3) 2m4f (Replay)

1. Elfile J: Danny Mullins T: Willie Mullins

3. Laurina J: Paul Townend T: Willie Mullins

昨年のChampion Hurdle (G1)では2番人気にも押された牝馬Laurinaが久しぶりのHurdle戦に出走していたが、いまいち最後は伸びを欠き3着に敗れた。勝ったのはElfileで、Listed勝ちがあるとはいえ、Laurinaの本来の能力であれば全く相手にならないクラスの馬。Laurinaは今シーズンからChaseを使っていまいち結果が出なかっただけにHurdleに戻って期待していたのだが、今回の敗戦は心配な内容である。

 

2/20(木)

Thurles (IRE) Soft (Soft to Heavy in places)

◯ Mares Novice Chase 2m6f78y (Replay)

1. Salsaretta J: Paul Townend T: Willie Mullins

終始先頭を走ったSalsarettaがそのまま勝利。メンバー的にはかなり楽だったとはいえ、前走下したAgusta GoldがGrand National Trial (Grade B)でも好走しているように、今後が楽しみな一頭である。

 

◯ Hunters Chase 3m168y (Replay)

3. Wounded Warrior J: Mr P A King T: Sam Curling

PU Ucello Conti J: Mr Brendan O'Neil T: Gordon Elliott

PU Salsify J: Mr Finny Maguire T: Rodger Sweeney

何頭か過去に実績のある馬が出ていたのだが、勝ったのは人気薄のMacs Legend。2015年のGrowise Champion Novices Chase (G1)の2着など、重賞戦線での活躍のあるWounded Warriorは3着に終わった。2018年にSam Curling厩舎に移籍してからはCross Countryなどを走るも良いところはなく、昨年の秋からはPTPに舞台を移している。当時未勝利馬ながらも3回ものGrand National (G3)を走ったUcello Contiは途中棄権に終わった。昨年の今頃はHunters' Chaseで勝利を挙げるなど活躍していたが、ここのところはさすがにお年なのかいまいちである。15歳馬でCheltenhamのFoxhunter Chase Challenge Cupを2012年、2013年と連覇したSalsifyもよいところなく途中棄権に終わった。今年もCheltenhamに行く可能性はあるものの、さすがに近走成績を見ていると厳しそうだ。

 

Michael Purcell Memorial Novice Hurdle (G3) 2m4f190y (Replay)

1. Five O'clock J: Danny Mullins T: Willie Mullins

4. French Dynamite J: Robbie Power T: Mouse Morris

最終障害手前から抜け出したFive O'clockが2着に6馬身差をつける快勝。フランスからの移籍馬で、初戦のTramoreの未勝利戦は2着に終わったものの、これで未勝利戦から2連勝とした。Assemble、French Dynamiteと重賞戦線で戦ってきた馬が人気を集めていたのだが、いずれも2着とそう差のない位置で終わった。

 

2/21(金)

Warwick (UK) Heavy

〇 Novices' Hurdle (C4) 2m3f (Replay)

1. Lieutenant Rocco J: Robbie Power T: Colin Tizzard

好位から進めたLieutenant Roccoがそのままあっさり抜け出し、これで2連勝とした。Lieutenant RoccoはFirst Lieutenantの甥にあたる馬で、すなわちFirst Lieutenantの妹であるFive Star Presentの子供である。First Lieutenantは障害を50戦した歴戦の名馬で、主な勝ち星としては2013年のBowl Chase (G1)、2011年のNeptune Investment Management Novices' Hurdle (G1)、2010年のFuture Champions Novice Hurdle (G1)が挙げられるのだが、それ以上に2010年から2016年まで、長きに渡ってG1路線の常連として、なかなか勝てないながらも常に上位争いを演じてきたことが記憶に残る馬である。

 

Jane Seymour Mares' Novices' Hurdle (G2) 2m3f (Replay)

1. Emmas Joy J: Harry Skelton T: Dan Skelton

逃げたEmmas Joyがそのまま後続に3馬身差をつける快勝。Hurdle自体はこれが6戦目とやや経歴としては長い馬で、前走の牝馬限定C4 Novice Hurdleに引き続き連勝とした。もっとも、今回はメンバー的にはさほど強力ではなく、C4での勝ち上がりにやや時間を要した馬だけに、次走辺りが試金石になりそうだ。

 

2/22(土)

Kempton (UK) Good to Soft (Soft in places)

Pendil Novices' Chase (G2) 2m4f110y (Replay)

1. Who Dares Win J: Tom Cannon T: Alan King

2. Southfield Stone J: Nico de Boinville

Master Tommytucker J: Harry Cobdon T: Paul Nicholls

Who Dares WinとSouthfiled Stoneの叩き合いは、最終障害の飛越で前に出たWho Dares Winに軍配が上がった。Chaseはここまで下級条件戦を使って好走はしていたものの、これが初勝利となる。HurdleではDovecote Novices' Hurdle (G2)価値のあるSouthfiled Stoneが2着だが、どうにも反応が悪いところがあり、距離を伸ばした方がいいかもしれない。Kauto Star Novices' Chase (G1)で気分よく逃げていたものの残り4障害で無念の落馬となったMaster Tommytuckerは、今回もHarry Cobdon騎手が上手くリズムを作って気分よく逃げていたが、またもや残り4障害での落馬となった。そこまでの走りを見ると、優に重賞クラスで勝ち負けになる馬であるだけに、次走に期待したい。

 

Adnis Juvenile Hurdle (G2) 2m (Replay)

1. Solo J: Harry Cobdon T: Paul Nicholls

2. Fujimoto Flyer J: Daryl Jacob T: Emmet Mullins

好位から進めたSoloがそのまま持ったままで圧勝。これがフランスからイギリスに移籍しての初戦となるが、強い競馬を見せた。このレース結果を受けて、Cheltenham FestivalのTriumph Hurdleの前売りでも単勝4倍が付いており、今後に向けて非常に楽しみな一頭となった。ヨーロッパ障害競馬では非常に珍しいアドマイヤムーン産駒の日本産馬Fujumoto Flyerは道中行きたがるため馬群に突っ込んで終いに掛けたが、逆に突き離されて2着となった。Good to Softの馬場に平坦なKemptonということでこの馬向きの条件ではあったのだが、勝ち馬を相手にほぼ完敗の内容であった。もっとも、これがイギリスのHurdleは初参戦であり、純粋なステイヤーとしてのスピードの持続力が比較的求められない展開となりやすいJuvenile Hurdleではまだチャンスがありそうだ。

 

Kingwell Hurdle (G2) 2m (Replay)

1. Song For Someone J: Aidan Coleman T: Tom Symonds

2. Diego Du Charmil J: Harry Cobdon T: Paul Nicholls

3. Ch'tibello J: Harry Skelton T: Dan Skelton

最終コーナーを回って手ごたえよく抜け出したDiego Du Charmilだったが、最終障害を越えて復活してきたSong For Someoneが差し切り勝利した。同馬は昨シーズンはJuvenile Hurdleを走った馬で、今シーズンはAscotのMatchnook Holloway's Handicap Hurdle (G3)で2着に入っていた。Juvenile Hurdleで活躍を見せた馬がその後苦労することは往々にしてあるのだが、この馬はむしろ逆であり、Juvenile Hurdleでは結果が出なかったものの、レース振りを見るとJuvenile HurdleよりはSenior Hurdle向きの馬であり、距離が伸びても面白そうな印象がある。飛越部分で加速がかけられるようになればよりパフォーマンスの向上が望めるだろう。久々のHurdleとなったDiego Du Charmilは最後捕まっての2着。ChaseではMaghull Novices' Chase (G1)勝ちがある馬だが、16f Chaseでは既に頭打ちになっている感もあり、かえってペースに余裕があるせいで馬が遊ばないという意味でもHurdleの方がいいのかもしれない。このクラスの常連Ch'tibelloは今回も勝ち切れずの3着。

 

Dovecote Novices' Hurdle (G2) 2m (Replay)

1. Highway One O Two J: Tom Cannon T: Chris Gordon

2. West Cork J: Aiden Coleman T: Anthony Honeyball

先頭を元気良く走ったHighway One O Twoがそのまま勝利。Plumptonで連勝してきた馬だが、これでHurdleは3戦3勝、そのいずれもが楽勝と来ている。やや行きたがるところがあるようで、おそらく逃げの戦法がこの馬のスタイルとなるだろう。Huntingdonで連勝してきたWest Corkが2着に入った。

 

Betway Handicap Chase (G3) 3m (Replay)

1. Mister Malarky J: Jonjo O'Neill Jr T: Colin Tizzard

2. Black Corton J: Bryony Frost T: Paul Nicholls

3. Semetegal J: Bryan Carver T: Paul Nicholls

勝負所から先頭に立ったMister Malarkyがそのまま押し切り勝利した。落馬したJust A Stingとの併せ馬となる形の入線で、これが最後まで馬の集中力を助けた感もあるのだが、最近目下売り出し中のJonjo O'Neill Jrの積極的な騎乗が光った形となる。昨シーズンはSodexo Reynoldstown Novices' Chase (G2)勝ちのある馬で、ようやくここでSenior Chaseに目途をつけることが出来た。Bryony FrostのBlack Cortonはよく追いかけるも2着まで。今シーズンは3走していずれもいまいちであったが、ようやくここに来て格好をつけた。11歳馬SemetegalはConditional JockeyのBryan Carverとは初コンビであったが、前々で運び3着まで踏ん張った。さかのぼれば2016年にGreatwood Gold Cup (G3)勝ちのある馬で、2年近い休養を2回も挟んでおり、11歳と年齢は重ねているが案外馬は若いのかもしれない。

 

Fairyhouse (IRE) Heavy

Norman Colfer Winning Fair Juvenile Hurdle (G3) 2m (Replay)

1. Burning Victory J: Danny Mullins T: Willie Mullins

2. Great Bear J: Darragh O'Keeffe T: Thomas Gibney

3. Hook Up J: Rachael Blackmore T: Willie Mullins

残り3障害からHook Upが一気に捲って先頭に出るが、これを最終障害を越えてBurning Victoryが捉えて勝利した。Burning Victoryはどうにも終始飛越はいまいちであったが、Heavyの馬場にも関わらず、このいまいちな飛越で勝ち切る辺り能力はあるのだろう。実績的にはこれがHurdle初戦で、フランスではPrix De Royaumont (G3)にも出走した馬。今後が楽しみな能力馬である。最後追いかけてきたGreat Bearが2着に上がり、Hook Upも含めてHurdle初参戦の馬が上位を占めた。

 

Bobbyjo Chase (G3) 3m1f (Replay)

1. Acapella Bourgeois J: Danny Mullins T: Willie Mullins

2. Bellshill J: Paul Townend T: Willie Mullins

3. Alpha Des Obeaux J: Dany Russell T: Gordon Elliott

4. Sub Lieutenant J: Rachael Blackmore T: Henry de Bromhead

5. Pleasant Company J: Mark Walsh T: Willie Mullins

6. Voix Du Reve J: Mikey Fogarty T: Willie Mullins

全体的に試走という色合いの強いレースであったが、先頭を走ったAcapella Bourgeoisが後続を突き放しそのまま完勝。BellshillとAlpha Des Obeauxの叩き合いはBellshillに軍配が上がった。Acapella Bourgeoisは昨年のIrish Grand National Chase (Grade A)の3着馬で、どちらかというとHeavyな馬場で先行させて良さを発揮するタイプ。どうも他馬を怖がる部分があるのか、一頭ぽつねんと離して走らせた方がいいようで、このような逃げの戦法はこの馬にとって自然なスタイルである。今後はGrand Nationalという選択肢もあり得るものだが、戦術と馬場には注文が付くだろう。Irish Gold Cup (G1)、Punchestown Gold Cup (G1)などを勝っているBellshillはどうにも今シーズンはいまいちなのだが、とりあえず2着には入った。これが何か取り戻すきっかけになれば。Alpha Des Obeauxは今回も安定した走りを見せたが3着まで。おそらくGrand National (G3)に向かうものと思われ、落馬に終わった2018年の巻き返しを期待したい。Pleasant Companyは例によってあんまり走らなかったが、本番になって突然真面目に走ったりするのがこの馬の怖いところである。Ryanair Gold Cup Novice Chase (G1)の勝ち馬Voix Du Reveはまたしても大敗に終わった。どうにも好走と凡走とがはっきりしている馬だが、今シーズンはここまで4走していずれも凡走と、やや心配なところである。

 

Treviso (ITA) Tempo Bello - Terreno Buono

〇 Oderzo

per cavalli di 5 anni ed oltre (Siepi - Condizionata - Fantini) (Replay)

3. Chicago J: Josef Bartos T: Josef Vana Jr.

5. Champ De Bataille J: Jan Kratochvil T: Josef Vana Jr.

6. Tiara Man J: Daniel Vyhnalek T: Radim Bodlak

何頭か実績馬が出ていたのだが、2015年にGran Corsa Siepi di Milano (G1)の勝利のある11歳のChicagoが再先着で、いずれも上位には加われずに終わった。Chicagoは一時期イタリアのSiepiではなくチェコのCross Countryに転戦していたのだが結果は出ず、ここのところはイタリアのSiepiを中心に転戦している。昨年末にSteeplechaseの未勝利戦を含む連勝を飾るなど、この馬なりに調子は良さそうだ。2018年のGran Corsa Siepi di Milano (G1)を含むG1を3勝しているChamp de Battaileは案外な敗戦で、ここまでさほど崩れずに走るタイプなだけに、ここ2走の凡走は気になるところである。チェコの3000メートル級のCross Countryでトップクラスの活躍を見せるTiara ManはここまでイタリアのSiepiでは結果が出ておらず、今回も良いところなく終わった。

 

京都(日本)良

〇 障害4歳以上未勝利 2910m

1. メイショウバイタル J: 森一馬 T: 松永昌博

2. リボンナイト J: 田村太雅 T: 村山明

8. レヴァンテライオン J: 石神深一 T: 加藤士津八

好位から進めたメイショウバイタルが直線部分でリボンナイトを退けて勝利した。障害戦はこれが初参戦で初勝利。ダートの短距離で2勝クラスまで駒を進めた馬で、瞬間的なパワーという部分では良いものがありそうだが、どうにも行きたがる部分があるのと、踏み切り動作がどうにも怪しい辺りがあったのが今後の課題だろうか。リボンナイトはまたしても勝てず2着。2016年の函館2歳ステークス(G3)を当時の2歳レコードで制したレヴァンテライオンはこれが障害2戦目であったが、飛越にスムーズさを欠き8着に沈んだ。

 

2/23(日)

Fontwell (UK) Soft

National Spirit Hurdle (G2) 2m3f49y (Replay)

1. William Henry J: Nico de Boinville T: Nicky Henderson

2. Quel Destin J: Sam Twiston-Davies T: Paul Nicholls

3. Thomas Darby J: Aidan Coleman T: Olly Murphy

早々に抜け出したQuel DestinとThomas Darbyのマッチレースかと思いきや、2周目から置かれていたWilliam Henryが復活してきてゴール直前で強襲。前の2頭を差し切り勝利した。William Henryは昨年のCoral Cup (G3)を11st10lbを背負って勝ったで、見たところ距離が伸びてよさそうな印象もあるのだが、ここまでは20fを中心に結果を出している。G1クラスでは少々厳しいような印象もあり、今年もCoral Cup (G3)に向かうのだろうと思われる。Quel DestinはさかのぼればCoral Finale Juvenile Hurdle (G1)勝ちがあるのだが、その後はやや苦労しており、Hurdleでは16~20fのListedからG2程度で好走できるかというポジションになっている。前走AscotのHolloway's Handicap Hurdle (G3)を勝利したThomas Darbyは3着で、やはり飛越を見ているとHurdleの方がいいのだろう。

 

〇 Maiden Open National Hunt Flat Race (C5) 2m1f162y (Replay)

2. Itsnotwhatyouthink J: Leighton Aspell T: Nick Gifford

これが引退レースとなるLeighton Aspellであったが、後方からよく追うも最後は勝ち馬とは3馬身差の2着に終わった。2度のGrand Nationalを制したアイルランド出身の名手はこれで惜しまれつつの引退となった。

 

Naas (IRE) Heavy (Soft in places)

WhatOddsPaddy Chase (G3) 2m (Replay)

1. Any Second Now J: Mark Walsh T: Ted Walsh

2. Articulum J: Kevin Brouder T: Terence O'Brien

4. Cadmium J: Paul Townend T: Willie Mullins

好位から抜け出したAny Second NowがArticulumを抑えて勝利した。Any Second Nowはもともと16fのNovice ChaseでもRacing Post Novice Chase (G1)でFootpadの2着など頑張った馬だが、ここのところは距離を伸ばして好走し、Cheltenham Festivalのアマチュア騎手戦であるFulke Walwyn Kim Muir Challenge Cupを勝利するなど、やや違った一面を見せていた。Grand Nationalでは現在出走順33番目につけており、National Fenceの経験はないものの、本番でもそれなりに楽しみな馬となるだろう。ここのところは3戦連続で落馬に終わっていたArticulumは久しぶりに好走した。昨シーズンのArkle Challenge Trophy (G1)で3着に入る能力の馬。連覇を狙ったCadmiumは最後後退して4着に終わったが、今シーズンはTopham Chase (G3)を勝ちNational Fenceへの適性を見せており、Grand Nationalの出走順は7番目ということを考えると、おそらく次はAintreeとなるだろう。

 

Paddy Power Betting Shop Novice Hurdle (G2) 1m7f170y (Replay)

1. Jason The Militant J: Rachael Blackmore T: Henry De Bromhead

2. Beacon Edge J: Denis O'Regan T: Noel Meade

3. Andy Dufresne J: Mark Walsh T: Gordon Elliott

Beacon EdgeとAndy Dufresnenoマッチレースかと思われたが、逃げて最内でさりげなく抵抗していたJason The Militantが最後まで踏ん張り切って勝利した。Andy Dufresneは最後やや遅れて3着に終わった。Jason The MilitantはMaiden勝ちがあるのみの馬で、前走のChanelle Pharma Novice Hurdle (G1)では早々に苦しくなり後退していたが、このような重い馬場が合うのかもしれない。迫力あるDenis O'Reganの騎乗で迫ったBeacon Edgeは惜しい2着で、Hurdleはここまで未勝利勝ちのみながら、昨年の5月のPunchestownのChampion I.N.H Flat Race (G1)にて3着に入った実力を見せた。前走のMoscow Flyer Novice Hurdle (G2)を勝ってきたAndy Dufresneは道中もスムーズに運んでいたのだが、最後は案外伸びず3着に終わった。それにしても、全身を使ってパワフルに馬を動かすことが出来るDenis O'Reganを凌ぎ切るRachael Blackmoreという人は本当に大したものである。これほどまでに馬を動かすことが出来る女性騎手は他に一体どれくらいいるのだろうか。

 

京都(日本)芝: 稍重 ダート: 重

〇 障害4歳以上未勝利 2910m

1. トップアスリート J: 西谷誠 T: 池添学

2. ラフレシアレディ J: 草野太郎 T: 畠山吉宏

7. プレシャスルージュ J: 植野貴也 T: 高柳大輔

9. ロスカボス J: 大江原圭 T: 大江原哲

F. タイセイパルサー J: 熊沢重文 T: 大橋勇樹

F. ソウラセブン J: 江田勇亮 T: 柄崎孝

F. フミノムーン J: 森一馬 T: 西浦勝一

前半からタイセイパルサー、ソウラセブン、フミノムーンの3頭が落馬する事象。ラフレシアレディが軽快に逃げる展開だったが、好位から進めたトップアスリートがこれを直線で捉えて勝利した。3着以下は大きく遅れた。トップアスリートは障害3戦目での初勝利を挙げた。2着のラフレシアレディは障害初戦であったが、スピードに乗せた飛越で見せ場を作った。ただし、今回のレースを評価するにあたって、前半の落馬により生じた空馬等を避けるために、後続が大きく不利を受けていたことは注意すべきだろう。ダートの短距離を中心に3勝クラスまで駒を進めたプレシャスルージュ、大物感ある走りで野路菊Sを勝利したロスカボスも出ていたが、いずれも覚束ない飛越で大敗した。

なお、バーデンバーデンCを勝利し、芝短距離の重賞戦線で活躍したフミノムーンはこれが障害初戦であったが、着地後に躓いて落馬に終わった。落馬したフミノムーンは予後不良、それに躓いて転倒したソウラセブンは環軸関節脱臼で死亡とのことで、大きな事故の多い残念なレースとなってしまった。また、事故のあった障害地点の対応は先月の中山から何ら変わらなかった上に、故障馬の治療のためのシートすら張らず、故障馬がレース映像に映っているというのはいかがなものだろうか。

 

その他

Dual Grand National hero Leighton Aspell to quit saddle after Fontwell on Sunday (Racingpost)

Pineau De ReとMany Cloudsで2回のGrand National (G3)を制したLeighton Aspell騎手が引退を発表した。Leighton Aspellは2007年にも一度引退し、その2年後に復帰した経緯があるのだが、今度は完全に引退するらしい。近年はイギリスでの騎乗のみならず、イタリア、チェコスロバキアと活躍の場を広げており、各地でその一流の技術を見せてくれていた人なだけに、非常に寂しいものがある。

Trailer Released for "Dream Horse" Movie (Bloodhorse)

閉鎖された炭鉱町の夫妻が繁殖牝馬をたったの£300で購入し、誕生した仔馬"Dream Alliance"を、委託料が払えないので街の人とシンジゲートを組んでPhilip Hobbs厩舎に委託(週£10らしい)。その後同馬は障害馬としての素質を開花させ、一躍街のスターに。炭鉱が閉鎖されてすっかり寂れていた街は同馬の活躍により活気を取り戻していく。同馬は競走中の事故により通常なら安楽死処分されるほどの重症を負うのだが、街の希望の星だからなんとか命だけでもと当時最先端の幹細胞治療を実行。同馬は奇跡的に競走に復帰し、復帰した2走目のWelsh Grand Nationalを勝利するという、嘘みたいな本当の話があるのだが、そのストーリーを描いた映画が公開されるそうだ。上記のストーリーはドキュメンタリー"Dark Horse"として以前にもイギリスで公開されている。

The Story of Tiger Roll | Documentary | ITV Sport (Youtube)

Willie Mullins backs welfare changes to 'bring the sport forward' (Racingpost)

あまり日本の競馬ファンの間では話題にならないのだが、イギリスでは馬の福祉に関する議論が盛んである。もっとも、この類の規制は鞭の使用制限等必ずしもよいものばかりではないのだが。

オジュウチョウサン、今後は障害に専念 和田正調教師「順調に調整しています」 (スポーツ報知)

2016年の中山グランドジャンプから障害戦無敗を続けているオジュウチョウサンは、ようやく平地参戦は止めるとのこと。平地競争におけるこの馬の限界は2018年の段階で既に明らかであったことであり、判断としては遅すぎるものである。障害界の新星シングンマイケルとのレースが楽しみになるところだが、鞍上の問題の可能性はあるものの平地でのパフォーマンスは2018年と比較して2019年で低下していたような印象もある。障害復帰自体は非常に楽しみな動向であり、9歳という年齢は障害馬としては決して高齢すぎるものではないのだが、どこまで往年の力を見せられるだろうか。