にげうまメモ

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21/01/24 Weekly National Hunt / Jump Racing

*障害競馬回顧 2021/01/18-2021/01/24

1/19(火

Clonmel (IRE) Heavy

〇 Novice Hurdle 2m3f50y (Replay)

2. French Light J: Gerard Galligan T: Keri Brion

アメリカから遠征中のFrench Lightのアイルランド初戦であり、後方からじわじわと位置を上げたが、最後一気に伸びてきたBroomfields Jeremyに突き放され2着に終わった。アイルランドではPTPの未勝利戦を勝った経験もある馬なのだが、この日のClonmelの馬場は非常に重く、さすがに最後はフォームが崩れており苦しかったようだ。SaratogaのAllowanceでは高い瞬発力を見せて勝った馬だけに、馬場が良くなって期待したい。Keri Brion調教師はこの馬の素質を高く勝っているようで、アメリカでは将来G1を勝てる器とコメントしているようだ。Broomfields JeremyはMaidenに続く2勝目としたが、走り方を見ると典型的な不良馬場巧者といったところで、HeavyのNational Hunt FlatでFerny Hollowの4着の実力は伊達ではないだろう。

 

1/23(土

Ascot (UK) Soft (Heavy in places)

Matchbook Betting Podcast Mares' Hurdle (G2) 2m7f118y (Replay)

1. Roksana J: Harry Skelton T: Dan Skelton

Magic of Lightがゆるゆると逃げるも、これを残り2障害辺りから前に出たRoksanaがあっさり後続を突き放して勝利した。Roksanaは一昨年のMares' Hurdle (G1)の勝ち馬で、前走のLong Walk Hurdle (G1)ではPaisley Parkの3着に健闘している。どうやらレース運びを見ていると、20fよりも24fの距離で瞬発力を生かした方がいいようで、おそらくMares' HurdleではなくStayers' Hurdleに向かう方が良いだろう。相手もMagic of Light以下とさほど瞬発力に優れたタイプではなく、ここは順当な勝利と言ったところ。見た目はさすがに持ったままでの圧勝と派手だが、相手関係を考えるとあまり不思議な勝利ではない。Magic of Lightはこの馬のやるべきことはやっての2着といった内容で、相手がRoksanaだけにこれだけ離れるのは仕方がなく、この馬はGrand Nationalが大目標となるだろう。

 

Clarence House Chase (G1) 2m167y (Replay)

 1. First Flow J: David Bass T: Kim Bailey

2. Politologue J: Harry Cobdon T: Paul Nicholls

連覇を狙うDefi Du Seuilに対して、前走のTingle Creek Chaseを勝利した実績馬Politologueの参戦ということで話題になっていた。もっとも、Paul Nicholls先生はなぜかTauntonにいたらしいが。レースは前半から積極的にPolitologueが引っ張る展開だが、途中から好位にいたFirst Flowの鞍上David Bassが押して前に出していきペースはあがる。第7障害辺りからFirst Flowが先頭に立ち、そこから再度Politologueが接近、後方からWaiting Patiently、Fanion D'Estruvalが押し上げてくるも、これらを寄せ付けずそのままFirst Flowが7馬身差の快勝とした。Politologueが2着。Defi Du Seuilは大きく離れた5着に終わった。

前半からPolitologueは1f16秒から15秒程度のペースを刻んでおり、これがこの馬にとってはごく自然なペースなのだが、16f戦のG1クラスとしては決して緩いペースではなく、Politologueという馬のストライドの持続性能を発揮するには最適なペースである。一方のFirst Flowが絡んで行ったことでペースは上がり、そこから一時は14秒後半くらいまで加速が掛かっている。First Flowはこれで昨シーズンのNoviceクラスを含めると6連勝とした。ここまで決して逃げるレースで見せ場を作ってきたわけでもなく、ましてや重賞クラスでの好走があったわけでもないのだが、このG1の舞台で自分の形に持ち込んでいたPolitologueに真っ向から喧嘩を売っての勝利であり、内容としては高く評価しなければいけないものである。Ascotは直線に坂があるためゴール前でハロン16秒程度まで減速するのは仕方がないのだが、それでもこのメンバー相手にタイムロスが生じる展開を作りだして押し切るのだから大したものである。David Bass騎手の一見玉砕的な積極策が功を奏したといってよいのだが、それにしてもPolitologue相手にここまで真っ向から喧嘩を売りに行く気概には恐れ入る。Kim Bailey厩舎にとっても初めてのG1勝利ということで、陣営にとっても嬉しい勝利になったのではないだろうか。

一方のPolitologueは安定したレースを見せた。ワンペースで前に行ってそのまま押し切るというのはこの馬のいつものやり方であり、そのペースに耐える馬が出てきた場合や、それ以上のペースになった場合、太刀打ちが出来ないのがこの馬の欠点でもある。あとは同厩舎の逃げ馬Duc De GenievresをQueen Mother Champion Chaseでどのように動かすかがカギになるだろう。やや驚きの参戦となったWaiting Patientlyが3着で、なかなか順調に使えない馬がとりあえず今シーズンは2走もしていることを喜ぶべきだろう。

Fanion D'EstruvalはWaiting Patientlyに迫る4着。もともとフランスからの移籍馬で、イギリス移籍直前はAuteuilのSteeplechaseを含む3連勝を上げていた素質馬である。かえって今回はペースがあがって強引について行ったことがよかったようで、障害飛越にさえ慣れればイギリスでの活躍も期待してよいだろう。昨年の勝ち馬Defi Du Seuilは前走のCheltenhamに続く凡走で、今シーズンはやや馬の状態が心配なところ。ハイペースで淡々と進むような展開は合っていないような印象もあるのだが、再度の20f挑戦という選択肢もあるかもしれない。Novice馬Le Patrioteはさすがに大敗。Noviceクラスに戻って見直したい。Politologueの同厩舎Duc De Genievresは後方から進めるも、さっぱり良いところなく大敗に終わった。Politologueとの兼ね合いでこのようなレース運びになったものと思われるが、やはりこの馬は前々で積極的に運んでこそだろう。

 

Haydock (UK) Heavy

Read Nicky Henderson's Unibet Blog Novices' Chase (G2) 2m3f203y (Replay)

1. Silver Hallmark J: Adam Wedge T: Fergal O'Brien

なんすかこの名前って感じのレースなのだが、昨年はPatrick Coyne Memorial Altcar Novices' Chaseとして行われたレース。Allartが人気になっていたが途中で落馬。レースはそのまま逃げたSilver Hallmarkが押し切り勝利した。Silver HallmarkはこれがChase2戦目で、Hurdleでは未勝利戦でその後重賞戦線で活躍することになるMcfabulousを破った実績もある。ただし今回はSupreme Novices’ Hurdle (G1)でShishkinの5着のあるAllartの落馬に助けられた感が大きく、飛越もややミスがあった。内容的にはあまり当てにならないだろう。C4のNoviceを勝ってきたMarownが2着。HurdleではTriumph Trial (G2)のタイトルのあるGalahad Questも出ていたが、飛越が安定せず3着に終わった。

 

Supreme Trial Rossington Main Novices' Hurdle (G2) 1m7f144y (Replay)

1. Faivoir J: Bridget Andrews T: Dan Skelton

するすると逃げたMinella Dramaが逃げ込みを図るところ、ゴール前でFaivoirがこれを捉えて勝利した。FaivoirはこれでHurdleは3勝目、重賞は初勝利とした。ここまでHeavyのレースは使った経緯がないのだが、Minella Dramaが飛ばしてタイムロスが生じる中、最後まで脚を伸ばしてMinella Dramaを捉えたパフォーマンスは不良馬場巧者と考えてよいだろう。2連勝で挑んできたMinella Dramaは前走のHeavyでの圧勝があったのか自信をもってレースを進めていたのだが、最後捕まり2着に終わった。人気のLlandinabo Ladは途中から先頭集団から遅れた。

 

Peter Marsh Handicap Chase (G2) 3m1f125y (Replay)

1. Royale Pagaille J: Tom Scudamore T: Miss Venetia Williams

馬群の外からするすると上がってきたRoyale Pagailleがそのまま後続を突き放し、16馬身差の圧勝とした。Royale Pegaille自身はこれでChaseはNoviceクラスを含む3連勝とした。もともとフランスでのキャリアがやや長い馬で、フランスのSteeplechaseではListedクラスでの2着もある。昨年の序盤にもChaseを使っていたのだがいいところはなく、ここにきて障害飛越への慣れがあったのだろうか。いずれにせよ、11st10lbのトップハンデを背負ってのこのパフォーマンスは、Heavyという馬場を差し引いても今後が楽しみになるものだろう。飛越に関しては特段のミスはなかったが、やや左に斜飛する場面が多いのが気になった。

 

New One Unibet Hurdle (G2) 1m7f144y (Replay)

1. Navajo Pass J: Sean Quinlan T: Donald McCain Jnr

Buveur D'Airの復帰戦ということで注目が集まっていたのだが、勝ったのは元気よく逃げたNavajo Passで、Buveur D'Airは4馬身差の2着に終わった。Buveur D'Air自身、もともとピッチ走法を生かした一気の加速力で勝ってきたタイプで、そのため体力消耗の激しいHeavyの馬場では自慢の加速力を生かし切れず、トップスピードの持続性能が極端に下がるという欠点がある。長期の休養明けというビハインドもあり、最後は脚が上がっていたのは仕方がないところだろう。Nico de Boinville騎手はこれが初騎乗であったが、もともと主戦のBarry Geraghtyでも同じように乗ったものと思われる。Navajo PassはC3のハンデ戦からの連勝とした。Hurdleは昨シーズンのSummit Juvenile Hurdle (G2)勝ちもあるのだが、今シーズンは20f路線に挑戦、いまいちいいところなく、これが久々の16f戦であった。

 

Taunton (UK) Soft (Heavy in places)

〇 Weatherbys Portman Cup Chase (C2) 3m4f85y (Replay)

1. Yala Enki J: Bryony Frost T: Paul Nicholls

道中スムーズに逃げたYala Enkiだが、勝負所の障害で大きなミス。一旦はIf The Cap Fitsが前に出るが、これをYala Enkiが抑えて勝利した。Yala Enkiはこのレースはこれで連覇とした。今シーズンはWelsh Grand NatioanlでSecret Reprieveの3着など相変わらず調子はいいようで、おそらくここからGrand Nationalに向かうことになるだろう。Becher Chaseでは落馬に終わっているだけに、National Fenceへの対応が課題となる。Novice馬If The Cap Fitsは大健闘の2着で、ここまでChaseではやや案外な結果に終わっているだけに、この馬の可能性を広げる2着となった。RSA ChaseよりもNational Hunt Challenge Cupの方が良いだろう。ベテランRock The Kasbahは3着。フランスからの移籍初戦となったAl Rocはやや障害飛越に苦労して大敗に終わった。

 

1/24(日

Pau (FR) Lourd (5.0)

Grand Prix De Pau - Biraben Foie Gras (G3)

Steeplechase Pour tous chevaux de 5 ans et au-dessus. 5300m (Replay)

1. Ajas J: Kevin Nabet T: David Cottin

前半からCaroubierがやや引き離し気味に引っ張る展開だが、Gros Open Ditchの辺りからPoly Grandchampが押して先頭に。しかし残り2障害辺りから前に出たAjasがそのまま後続を退けて勝利した。Ajasはこれで重賞は初勝利とした。昨年はスウェーデンに移籍しノルウェーで勝利を上げた経緯もあるのだが、その後再度フランスに戻っている。今年はGrand Steeplechase De Compiegne (G3)にてMatfogの2着があったりと調子はいいようで、今回も好位から一頭抜け出す完勝の内容であった。Eddy De Balmeが2着に入ったが、2018年にはPrix Maurice Gillois (G1)にてCicalinaの3着がある実績馬でもある。Cicalina自身その後はぱっとせず、Eddy De Balmもその後はAuteuilの重賞戦線ではなく、今年の冬はFontainebleauからPauと転戦しているようだ。長く重賞戦線で善戦を続けるPoly Grandchampは積極的な競馬で4着。Matfogは71kgの斤量もあったのだが、それにしてもさっぱり走らず途中棄権に終わった。

 

その他

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Rule The WorldでGrand Nationalを制覇した24歳の若手騎手David Mullinsが引退を表明した。主な勝ち鞍としてGrand National以外にもPunchestownでの成功にも触れられている。詳しい理由等は記事中で。

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