にげうまメモ

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21/11/14 Weekly National Hunt / Jump racing

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*週刊障害競馬回顧 2021/11/07-2021/11/14

11/11(木)

Clonmel (IRE) Soft to Heavy

Clonmel Oil Chase (G2) 2m4f149y (Replay)

1. Fakir D'Oudaries J: Mark Walsh T: Joseph O'Brien

ゆるゆると逃げたRoyal Rendezvousに残り2障害辺りから並びかけたFakir D'Oudariesがそのまま15馬身差の快勝。Fakir D'Oudariesは昨シーズンのMarsh Chase (G1)の勝ち馬。どうにもアイルランドの超一線級メンバーが相手だと足りない感もあるのだが、やや空き巣状態であったMarsh Chase (G1)では強い競馬を見せていた。その後のPunchestown Gold Cup (G1)ではClan Des Obeauxから18馬身離れた3着に入っており、ここまで16~20fクラスで実績のあった馬だが24fに再度挑戦する可能性もあり、その動向には注意しておきたい。

 

Wroclaw (POL) płotowy - lekko elastyczny (3.0); przeszkodowy - lekko elastyczny (3.1); 

Nagroda Zamknięcia Sezonu 24000 zł

Międzynarodowa gonitwa z przeszkodami dla 5-letnich i starszych koni. (Replay)

1. Cosmic Magic J: Jan Odložil T: Radim Bodlak

早々に2連続障害でFelix、Szafirkaの2頭が落馬。最終コーナーでNickが前に出るも、ゴール前でもう一度盛り返してきたCosmic Magicがこれを捉えて勝利した。Cosmic Magicは昨シーズンのPolish Champion Steeplehaserだが、今年はどうにも冴えない成績に終わっていた。今年の10月に復帰し、前走のNagroda Masiniegoから連勝としたが、今回もNick相手に手を焼いたりと昨年の勢いはなさそうだ。今年で6歳とあまり年齢は重ねていないのだが、やや不安が残る内容となった。地元のNickは惜しい2着。2019年にこのレースは勝っており、そこから精力的にポーランドSteeplechaseに参戦しているが、どうにも一線級相手には足りないといった成績で、今のところそこから勝ち星はない。

 

11/12(金)

Cheltenham (UK) Good (Good to Soft in places)

Glenfarclas Cross Country Handicap Chase (C2) 3m6f37y (Replay)

1. Back On The Lash J: Sean Bowen T: Martin Keighley

Freewheelin Dylan、Balko Des FlosといったGrand Nationalを目指す馬の出走が話題になっていた。レースは前半からPotters CornerやAlpha Des OBeauxなどが引っ張る展開も、じわじわと好位にいたDiesel D'Allierなどが進出してくる。しかしさらにBack On The Lash及びSinging Banjoが前に出ると、Back On The LashがSinging Banjoとの叩き合いを制して勝利した。

動画はMartin Keinghley厩舎陣営の喜びの図である。ここの厩舎はシンジゲート的ななにかも展開しているようで、積極的にメンバーとの交流も行っているようだ。Back On The Lash自身はCheltenhamのCross Countryは初めてで、ここまで24f超えの競争といってもLudlowのC3のNovice Chaseしか実績がなかったのだが、ここではいきなり結果を残した。どうやら良馬場の方が良いタイプで、初のCross Countryにも関わらずレース振りは安定していた。Martin Keighley厩舎はCross Country SpecialistのAny Currencyを手掛けた経験もあり、この路線では注意した方がよさそうな感がある。PunchestownのCross Countryで結果を残してきたSinging Bunjoが2着で、ここまでPTPかPunchestownのCross Countryで活躍してきた馬だが、6月にはWexfordのHandicap Chaseを勝つなど調子は非常に良いのだろう。11歳馬になにがあったのかは不明だが、Cross Countryへの高い適性を有する馬として引き続き期待したい。2019年の勝ち馬Diesel D'Allierも惜しい3着で、この馬自身はもともとフランスのCross Country Specialistだが、今回はRichard Bandey厩舎への転厩初戦であった。やはりこのコースでのレースの安定感は上位のもので、今後の路線は不明だが楽しみな一頭である。

一頭だけ11st台、しかも11st12lbという飛びぬけたトップハンデを背負っていたBalko Des Flosは5着。とはいえ最後はフラットのスピードで遅れたもので、最終コーナーまではほぼ勝負圏内で頑張っていた。Gigginstownがセリにかけた馬だが、Grand Nationalで2着に入るようにその障害馬としてのポテンシャルは健在で、Grand Nationalに向けて楽しみになる走りであった。2019年のWelsh Grand National (G3)の勝ち馬Potters Cornerは最後遅れて6着。昨年のこのレースは3着であっただけに、やや微妙な結果となってしまった。ひとまず不良馬場の方がよさそうな感はあるのだが。ベテランAlpha Des Obeauxも徐々に遅れ8着。Freewheelin Dylanは初のCross Countryということで飛越が全体的に微妙で、2度目のAintree Canal Turnで落馬に終わった。

 

Ballymore Novices' Hurdle (G2) 2m5f (Replay)

1. Blazing Khal J: Donal Mclnerney T: Charles Byrnes

Current Moodが逃げる展開も、これを追いかけたBlazing KhalがついてきたGelino Belloを振り切って勝利した。Blazing KhalはこれでNational Hunt Flatから3連勝とした。ここまでアイルランドで走ってきた馬で、どうにもイギリス調教馬と比較が付きにくい部分はあるのだが、2着のGelino Belloという馬自身、National Hunt FlatのListedで3着の実績がある馬で、全くの手薄なメンバーということでもなさそうなことを考えると、それなりに価値のある勝利と言ったところだろう。アイルランドLimerickでLited勝ちを収めてきたOff You Roccoも人気になっていたが、好位から進めるもどうにも伸びきれず4着に終わった。

 

11/13(土)

Cheltenham (UK) Good (Good to Soft in places)

JCB Triumph Trial Juvenile Hurdle (G2) 2m87y (Replay)

1. Knight Salute J: Paddy Brennan T: Milton Harris

Mister Allegroが前に行く展開も、残り3障害辺りから前に接近してきたKnight Saluteが抜け出すと、後続に2馬身ほどの差をつけて勝利した。Knight SaluteはこれでHurdleは3連勝とした。平地では1勝を上げている馬で、SalisburyのListedにも挑戦した経歴もある。夏場まで平地を使うも、直近では4戦連続で最下位という成績に終わり、9月から現厩舎に転厩しHurdleに移行していた。とりあえずJuvenile Hurdle、良馬場という条件で勝ち切ったところだが、障害馬としてどこまでのポテンシャルを持つかはもう少し注意してみた方がいいだろう。珍しく未去勢の牡馬であるSaint Riquierは直線で進路が狭くなる不利はあったが、最後頑張って2着まで来た。Sea The Stars産駒でこれがHurdle初参戦となるYorksea、さらに人気のMagistratoとあまり着差がつかない3、4着に入った。

 

From The Horse's Mouth Podcast Novices' Chase (G2) 1m7f199y (Replay)

1. Third Time Lucki J: Harry Skelton T: Dan Skelton

ゆるゆると好位で進んだThird Time Luckiがそのまま勝利した。Third Time LuckiはこれでChaseは2連勝とした。HurdleではTop Novices' Hurdle (G1)でBelfast Banterの4着に入った馬で、その後Wind Surgeryを経てChaseに転向している。全体的に伸びのある飛越が目立っており、CheltenhamのThe Showcaseでもいい勝ち方をしたことで評判になっているようだが、案外手応えほど伸びなかった辺りは注意した方がいいかもしれない。人気薄のSebastopolが2着に入った。

 

Paddy Power Gold Cup Handicap Chase (G3) 2m4f44y (Replay)

1. Midnight Shadow J: Ryan Mania T: Sue Smith

昨年の勝ち馬Coole Codyが軽快に逃げる展開も、残り2障害で落馬。それにぴったりとついていたMidnight Shadowがそのまま抜け出すと、最終障害で大きなミスをするも、猛然と追いかけてきたProtektorat、Lalorを凌いで勝利した。

Midnight Shadowは昨年のDipper Novices' Chase (G2)の勝ち馬。その後のScilly Isles Novices' Chase (G1)ではItchy Feetの2着に入っているが、Marsh Novices' Chase (G1)ではSamcro相手に大敗していた。その後はG1路線ではなく、主にハンデ戦に挑戦しているようだ。前走のOld Roan Chase (G2)でもAllmankindの3着に入るなど、基本的にG1戦線においてはスピードの面で一歩足りないといったところで、20fクラスでハンデ戦におけるスピードの持続性能を生かした方がよさそうな印象がある。Manifesto Novices' Chase (G1)の勝ち馬Protektoratは僅差の2着だが、どうにも道中動ききれなかったという印象で、ノドの問題はありそうだが距離を伸ばした方がいいかもしれない。2018年のTop Novices' Hurdle (G1)の勝ち馬Lalorはこれが転厩初戦であったがいきなり結果を残した。どうにも昨シーズンはさっぱり良いところがなく、この馬本来の良さを全く発揮できなかったことを考えると、転厩がいい方向に行ったことを願いたい。昨年の勝ち馬Coole Codyはもったいない落馬で、そこまでの勢いを考えると落馬がなければほぼ間違いなく勝負圏内に入ることが出来たように思う。

 

Punchestown (IRE) Yielding (Good to Yielding in places)

BetVictor Casino Novice Chase (G2) 2m180y (Replay)

1. Riviere D'Etel J: Dennis O'Regan T: Gordon Elliott

するすると逃げたRiviere D'EtelがついてきたCape Gentlemanを突き放すと、そのまま21馬身差をつけて圧勝した。Riviere D'EtelはこれでChaseは2連勝とした。フランスではListedクラスで2着に入ってきた馬で、Novice Hurdleではあまり重賞戦線を使うことなく終わっている。CorkのG3で良い勝ち方を見せてきたCape Gentlemanはこのクラスでは非常に有望な一頭で、Galway Hurdle (Grade A)でもSaldierの3着のある能力馬であったことを考えると、これを相手にしなかったRiviere D'Etelはなかなかに期待してよいだろう。まだ4歳と若い牝馬で、今後が非常に楽しみである。人気のCape GentlemanはRiviere D'Etelについて行くも、最後は突き放されて2着に終わった。

 

Compiegne (FR) Collant (4.2)

Grand Steeplechase Cross Country de Compiegne (Listed)

Cross Country Pour tous chevaux de 5 ans et au-dessus 5400m (Replay)

1. Prengarde J: Kilian Dubourg T: Lageneste & Macaire

Surdoue De Ballonが前に行こうと試みるも、これを制してPrengardeがハナに。そのままPrengardeは軽快に飛ばすと、ついてきたDunquin、Virtus D'Estruval以下を突き放し、終わってみれば2着に8馬身差をつける快勝とした。

PrengardeはこれでCross Countryに限れば5連勝とした。Cross Country初戦となったFontainebleauでこそ敗れているが、それ以降はCompiegneを使っている。コース経験があるとはいえ、弱冠5歳の馬がCross Countryでここまで安定したレースを見せることが出来ることは驚きの結果で、終いまで一頭余裕のある走りが印象的であった。70kgと斤量的にもさほど楽ではなかったことを考えると、ここでは力量的に抜けていたと判断してよいだろう。Cross Countryの経験は比較的豊富で、今年のGrand Cross de Lignieresの勝ち馬であるDunquinが2着に入った。12歳の古豪Virtus D'Estruvalも存在感を示す3着に入った。

 

Hanshin / 阪神 (JPN) Good to Firm

The Kyoto Jump Stakes / 京都ジャンプステークス (G3) 3140m

1. ケンホファヴァルト J: 熊沢重文 T: 森秀行

レースは例によって前に出てきたホッコーメヴィウスが元気に飛ばす展開も、3コーナーを回って前に出てきたケンホファヴァルトがぴったりとついてきたタガノエスプレッソとの叩き合いを制して勝利した。

ケンホファヴァルトは障害は未勝利戦に続く2勝目としたが、その実2020年の中山大障害中山グランドジャンプと2着に入っており、ようやくここで嬉しい2勝目を挙げたことになる。かなり平地経験が長い馬で、どうにも障害では行きたがって走る場面も目立つのだが、それでも中山の大舞台を耐えきるだけの優れた持久力を有した馬で、ここでは貫禄の勝利であった。メイショウダッサイが繋靭帯炎のために年内休養を表明していることを踏まえると、おそらく中山大障害では最有力候補の一頭となることが想定される。昨年の勝ち馬タガノエスプレッソは惜しい2着で、勝ち馬とはあくまでレース運びの差だろう。この馬も中山大障害中山グランドジャンプと3着に好走しており、ケンホファヴァルトとはいいライバル関係になりそうだ。東京ハイジャンプでいい逃げを見せたホッコーメヴィウスは今回もその形で、さすがに今回は上位2頭が強かったとはいえ、そのうちいいことがありそうだ。4着以下はやや差がついての入線となったが、好位グループで着順を落としたのは最後失速したマサハヤドリームのみ、いくら人気どころが好位でレースを運んだとはいえ、1~3着がほぼ道中の1~4番手で決まったことを考えると、後続の騎手は一体何をやっていたのだろうか。

 

11/14(日)

Cheltenham (UK) Good

Jewson Click and Collect Handicap Chase (G3) 3m3f71y (Replay)

1. Yala Enki J: Bryony Frost T: Paul Nicholls

ゆるゆると逃げたYala Enkiがそのまま追いかけてきたThe Mighty Don、Empire De Mauldeを凌いで勝利した。Yala Enkiはこれが今シーズンの初戦であったが、いきなり結果を残した。今年で11歳となるベテランで、基本的にG1クラスのスピード性能はないものの、やはり自分のペースで進めた時のしぶとさは現役屈指のものを持っている。馬のリズムで進めることを得意とするBryony Frostとの手も合っているようで、ここで11st12lbのトップハンデを背負ってこれだけの走りを見せることはやはり驚くべきことだろう。おそらく今シーズンもGrand National (G3)に向かうことが想定されるが、ここまでNational Courseは2回走っていずれも落馬に終わっているのはやや気がかりなところだろう。The Mighty Donは前半の水壕障害で大きなミスがあったが、そこから立て直して2着まで頑張った。

 

Shloer Chase (G2) 1m7f199y (Replay)

1. Nube Negra J: Harry Skelton T: Dan Skelton

Put The Kettle Onの始動戦ということで話題になっていたが、早々から手ごたえが悪くなり脱落。元気一杯引っ張ったPolitologueが逃げ込みを図るが、残り2障害辺りでNube Negraが抜け出すと、そのままPolitologueに6馬身差をつけて勝利した。

Nube Negraは昨シーズンのDesert Orchid Chase (G2)でAltiorを下してきた馬で、当時はどちらかというと伏兵扱いのようなところがあった。CheltenhamのQueen Mother Champion Chase (G1)でも2着と実力を見せていたが、その後のPunchestownのChampion Chase (G1)でもChacun Pour Soiから離れた3着に敗れていることもあり、ここでも伏兵扱いであった。とはいえQueen Mother Champion Chaseではほとんどまともに追えずの2着であり、内容的にはほぼ勝ちに等しいことであったことを考えると、ここでこれだけ走ることが出来たことは驚きでもなんでもないだろう。この路線はNovice上りの馬や、アイルランド調教馬として強力なメンバーが揃っているのだが、イギリス調教馬として既存の16f Chase路線ではトップクラスの一頭であることは間違いないだろう。古豪Politologueは自分のレースをしての2着。馬場はもう少し悪くなった方がいいだろう。Put The Kettle Onは人気になっていたが、どうにもズブいところを見せての3着。これを叩いて変わってくれば良いのだが。Rouge Vifは最後息切れしての4着で、どうにもこのクラスに入ると厳しい感がある。

 

Supreme Trial Novices' Hurdle (G2) 2m87y (Replay)

1. I Like To Move It J: Sam Twiston-Davies T: Nigel Twiston-Davies

ゆるゆると逃げたI Like To Move Itがそのまま勝利した。I Like To Move ItはこれでHurdleは3戦3勝とした。National Hunt FlatではChampion Bumperまで駒を進めた馬で、ひとまずこの時期のNovice Hurdleとしては上出来の内容だろう。父Trans Islandは種牡馬としての経歴は長いようだが、ここまであまり目立った産駒を出していない。これがHurdle2戦目となるWashingtonは勝ち馬を追走するも、最後は脚色がほぼ同じになっての2着に終わった。

 

Punchestown (IRE) Good to Yielding

〇 Risk of Thunder Chase 3m (Replay)

1. Shady Operator J: Mr Derek O'Connor T: Eida Bolger

この時期恒例のCross Country競走。レースは14歳のBallyboker Bridgeが逃げるも、最終コーナーを回ってShady Operator、Midnight Maestroの2頭が進出。そのままShady OperatorがMidnight Maestroを突き放して勝利した。Hurricane Darwinが3着に入った。

Eida BolgerはアイルランドCross Countryでは有名な調教師で、同調教師の管理馬が上位を独占したことになる。Shady Operatorは2月のP.P. Hogan MemorialからCross Countryは2勝目とした。元々Joseph O'Brien厩舎でIrish Grand National (Grade A)にも挑戦した馬だが、2019-2020シーズンの後半は調子を落としていた。今年の5月にはKillarney Nationalにも勝利しているようだが、Chaseの重賞戦線ではやや分が悪いというのが立ち位置だろう。8歳ながら安定したレース運びで内容的には完勝の結果であり、今後この路線では期待できそうだ。Midnight MaestroはこれがCross Country初参戦であったが、ミスがありながらも2着に頑張った。Hurricane Darwin、Neverrushaconといったこの路線の常連も多くいたのだが、上位には加われず3着以下に終わった。遡れば2015年にTowton Novices' Chase (G2)勝ちのあるNed Starkもいたのだが、近年はさっぱりで、今回もさっぱり走る気を見せず途中棄権に終わった。

 

Florida Pearl Novice Chase (G2) 2m6f140y (Replay)

1. Vanillier J: Keith Donoghue T: Gavin Cromwell

逃げるVanillierに人気のSixshooterが接近するも、残り4障害で落馬。さらにBallyshannon Roseも落馬すると、大きく遅れていたFancy Foundationsに26馬身差をつけてVanillierが勝利した。Vanillierは昨シーズンのAlbert Bartlett Novices' Hurdle (G1)の勝ち馬。これでChaseは2戦目で初勝利とした。Martaline産駒らしくパワーとストライドに優れた馬だが、全体的に飛越がいまいちで、Chaseにおいてはその能力を十分に生かし切れていない感がある。もう少し飛越がスムーズになれば、持ち前のパワーのあるストライドの持続性能を十分に生かすことができるようになるだろう。馬場はもう少し渋った方がよさそうだ。Beninners Chaseを勝ってきたSixshooterはもったいない落馬に終わった。

 

Morgiana Hurdle (G1) 2m40y (Replay)

1. Sharjah J: Mr Patrick Mullins T: Willie Mullins

Abacadabras、Darassoの2頭が取り消して3頭立てになってしまった。レースはZanahiyrがゆったりと逃げるも、これをぴったりとついて行ったSharjahがそのまま勝利した。Sharjahはこれのレースは2018年に勝っていた馬で、これでこのレースは2勝目とした。16fのHurdle路線ではトップクラスの活躍を続けている馬だが、昨シーズンはどうにもHoneysuckleに対しては先着できずに終わっており、今シーズンは引き続き対Honeysuckleの戦いになることが想定される。とりあえず調子は良さそうだが、今回は全体的にメンバーが低調であり、レースとしてもほぼ直線での瞬発力勝負といったところで、内容的にはここからどうこうということはなさそうだ。WKD Hurdle (G2)を勝ってきた4歳馬Zanahiyrが2着で、Sharjah相手にあれだけ戦えれば上出来だが、レースとしては緩いものであったことに留意した方がいいだろう。昨シーズンChampion Novice Hurdle (G1)を勝ってきたEchoes In Rainは道中引っかかり通しで、勝負所から脱落し離れた3着に終わった。

 

Auteuil (FR) Collant (4.4)

Prix Renaud Di Vivier (G1)

Haies Pour tous poulains et pouliches de 4 ans (Replay)

1. Theleme J: Pierre Dubourg T: Arnaud Chaille-Chaille

前評判としてはThelemeとHermes Baieの一騎打ちといったところであったが、1周目のスタンド前でHermes Baieが内側の生垣を避けようとしたのか急に外側に斜行し、Bertrand Lestrade騎手が落馬して競争中止。番手から進めたThelemeが抜け出すと、そのままColbert Du Berlaisに8馬身差をつけて快勝した。

Thelemeは昨年のPrix Cambaceres (G1)の勝ち馬。Raffles Face以下に10馬身差をつけ圧勝したパフォーマンスは素晴らしかったのだが、今年の春は全休、今年の9月から復帰し、秋の2戦はHermes Baieから僅差の2着に終わっていた。とはいえ10月のPrix Pierre De Lassus (G2)ではHermes Baieを追い詰める走りを見せており、この大一番で2頭のマッチレースが楽しみであったのだが、やや残念な結果となってしまった。春のPrix Alain Du Beirel (G1)にてMartatorに12馬身差をつける圧勝を見せ、ここまで5連勝と破竹の勢いで挑んできたHermes Baieはもったいない落馬で、Bertrand Lestrade騎手の進路取りはAuteuilの走りとしては一般的であったことを考えると、これは不幸な事故だろう。上記のPrix Cambaceres (G1)でもこの馬は落馬に終わっていることを考えると、Thelemeとの大舞台におけるマッチレースはまだ先の楽しみになりそうだ。

 

その他

Oakbank Members go to court (gofundme)

Oakbank Racing Comitteeに対して文書開示等の要求を地方裁判所に提出する旨の活動があり、その活動に関して寄付を募っているようだ。Eric Musgrove、Steven Pateman、Amy McDonaldといった日本でも良く知られた競馬関係者の名前もあるようだ。中の人も微力ながら寄付させて頂いている。

Cheltenham stewards offer Blackmore advice following dramatic novice chase (At the Races)


金曜日のCheltenham競馬場のNovice ChaseにおけるRachael Blackmoreの騎乗は驚くべきものであった。2頭立てのやや寂しい競争であったが、残り2障害のところでMy Drago、及びGin On Limeの2頭が大きなミスをし、My Dragoに騎乗したHarry Skeltonは落馬、Rachael Blackmoreの騎乗したGin On Limeも馬場に座り込んでしまう。しかし驚異的なことに、Rachael Blackmoreは馬場に座り込んだGin On Limeに騎乗したまま馬が立ち上がることに成功し、再度馬を走らせて最終障害を飛越、完走に成功した。この騎乗はイギリス・アイルランド競馬界において大きな話題となり、その卓越した騎乗技術を示すものとして大きな反響を呼んでいる。人馬に異常はなかったとのことだが、Cheltenham StewardsからRachael Blackmore騎手に対し、同様のアクシデントがあった場合には安全性上の観点からより時間をかけて競争継続を判断するよう注文がついたとのことだ。なお、落っこちたHarry Skelton騎手の名誉のためにも書いておくが、この人もまた卓越した技術を持ったイギリス障害競馬のトップジョッキーであり、あの状況ではまず落っこちるのが普通である

なお、イギリスでは2009年から安全性上の観点から落馬からの再騎乗は禁止されており、当該規則を踏まえると上記の騎乗について指摘が入るのは致し方ないだろう。