にげうまメモ

障害競馬の個人用備忘録 ご意見等はtwitter(@_virgos2g)まで

24/05/19 Weekly National Hunt / Jump Racing

この回顧記事はだいたいやたらと長いので目次をつけてみることにした(所要時間30秒)。

 

5/13(月)

Killarney (IRE) Good to Yielding

An Riocht Chase (G3) 2m4f100y (Replay)

1. Ash Tree Meadow (FR) J: Sam Ewing T: Gordon Elliott

レースは前半から元気に引っ張ったAsh Tree MeadowがFrench Dynamite以下を振り切って勝利した。Ash Tree Meadowは昨シーズンはGalway Plate (G3)の勝利など結果を残した馬で、結局16fではあまり上手くは行かなかったのだが、20fクラスでは比較的コンスタントに結果を残している。おそらく今シーズンも昨シーズンと同様の目標になると思われるが、幸先のいいレースとなった。おそらくGalway Plate (G3)では昨シーズンの9st11lbから大幅に増加すると思われる斤量が課題となりそうだ。休み明けのFrench Dynamiteが2着に入った。G1クラスでも実績のあるGentleman De Meeも出走していたが、終盤脱落して3着まで。気性的なところを考えると16fの方がよさそうな印象で、今回距離延長を試した理由はよくわからないのだが、レース選択には注意しておきたい。

 

5/15(水)

Tipperary (IRE) Good to Yielding

〇 Maiden Hurdle 2m (Replay)

1. Salvator Mundi (FR) J: Paul Townend T: Willie Mullins

スタート直後からリードを開いて引っ張ったSalvator Mundiがそのまま2着に62馬身差をつけて勝利した。Salvator Mundiは元々AuteuilのListedでSir Ginoの2着のある実績馬で、イギリス初戦となったTriumph Hurdle (G1)ではMajboroughから17馬身差の6着に入っていた。とはいえ2番人気となっていた相手はこれがデビュー戦となるMrs Tkであり、比較的大厩舎の馬は出走していないという状況で、このような着差が付くのは致し方ないといったところだろう。着差はともあれフランスでは高い能力を示していた馬だけに期待したい一頭である。

 

5/18(土)

Auteuil (FR) Tres Souple (4.1)

Prix Sagan (G3)

Haies Pour pouliches de 3 ans. 3500m (Replay)

1. Shika Du Berlais (FR) J: Johnny Charron T: David Cottin

前半からAlexandre ChesneauのNee En Bleueがかなり引っかかり気味に前に行く展開で、一時は後続に大きなリードを付ける形となる。しかし直線に向いて後続が殺到すると、抜けてきたShika Du BerlaisがSobriquetteを突き放して勝利した。

Shika Du Berlais自身はHaiesはこれが初勝利とした。デビュー戦はSobriquetteの3着、前走のListed競走はOlympic Storyの3着にそれぞれ敗れていたが、今回は進境を示してのレースとなった。母は実績馬Nikita Du Berlaisという良血馬で、半姉にはAngela Du BerlaisやMatilda Du Berlaisといった活躍馬が揃っている。Nikita Du BerlaisはShika Du Berlaisを含め5頭連続で牝馬を出産しているようだが、2022年生まれのNirvana Du Berlais産駒のBatman Du Berlaisは牡馬のようで、デビューを楽しみにしたいところである。Goliath Du Berlais産駒のSobriquetteはこの3歳牝馬Haies路線での実績馬だが、今回はややNee En Bleueを追いかけ過ぎた印象のある2着。ドイツ生産馬Irisanteが3着に入った。デビュー戦を勝利して挑んで来たNee En Bleueは難しいところを見せての大敗で、もう少し落ち着いて走ることが出来れば進境が期待されるだろう。

 

Grande Course De Haies D'Auteuil (G1)

Haies Pour tous chevaux de 5 ans et au-dessus. 5100m (Replay)

1. Losange Bleu (FR) J: Johnny Charron T: Dominique Bressou

Haiesとしてはフランスの頂点となる競走となる。アイルランドからHewick、Irish Point、Home By The Lee、さらにMahler MissionとMr Incredibleが参戦していた。フランス勢としては昨年1、2着馬のThelemeとHermes Baieはいずれも不在で、4歳Haies戦線にて結果を残してきたLosange Bleuが筆頭格として挙げられていた。

レースは例によって前に行ったHooliganやHipster Paradiseを制してLosange Bleuが前に行く展開で、その後ろからHewickやIrish Vocationが構える。Irish PointやHome By The Lee、July Flowerは後ろから。Garrick Harmonyが離れた最後方。2周目のスタンド前からHooliganがやや前に出てくるも後続がついて行き恒例の大逃げの形にはならず、向こう正面では再度Losange Bleuが前に出てくる。最終コーナーの入り口からMahler Missionが内のLosange Bleuに競り掛けていくもLosange Bleuがこれに抵抗。外に持ち出して伸びてきたHewickやJuly Flowerを抑えてLosange Bleuが勝利した。Mahler Mission、Hely Delabarriereと続いた。

Losange Bleuは昨年のPrix Pierre De Lassus (G3)からPrix Renaud Du Vivier (G1)を含む4連勝とした。昨年は逃げて結果を残してきたGoa LilにアイルランドのFeronilyが執拗に絡んでいくオープンな展開であったが、今年はおそらく展開を作ると思われたHooliganが距離を気にしたのかさほど積極的に飛ばすわけでもなく、道中は終始淡々とレースは進行している。道中でややHooliganが突っかけてくる場面はあったが、とはいえLosange Bleuとしては終始安定したレースを見せており、レースとしては次世代のチャンピオンとして相応しいものであった。ただし昨年のPrix Alain Du Breil (G1)においてアイルランドのGala Marceauに完敗している点はやや気になる戦績で、ここまで圧倒的なレースを続けてきたThelemeとの比較や、アイルランド勢との力量差については引き続き慎重に検討した方がいいだろう。

昨年も見せ場を作ったHewickは惜しい2着。勝ち馬は5歳馬とはいえ2kgの斤量差が存在しており、展開次第では逆転もあり得た内容であった。このAuteuilのHaiesは昨年1度経験があり、加えて今回はTres Souple (4.1)とやや早い馬場であったことも味方した。昨シーズンはKing George VI Chase (G1)を勝ったりと結果は残しているが、結局CheltenhamはスキップしAintreeではなぜかHurdle競走に出走したりと、ローテーション的にもやや余裕があったものと思われる。5歳牝馬のJuly Flowerが最後追い上げて3着に来た。道中やや行きたがる素振りを見せたりとまだ若さのようなところを見せており、もう少し気性的な成長があればまだ進境を示す余地はありそうだ。

AintreeのGrand Nationalでは落馬に終わったMahler Missionはさっぱり期待されていなかったが見せ場を作った。NewburyのCoral Gold Cup (Premier Handicap)で2着に入ったアイルランドのHandicapperであるが、ややフランス型のHurdleに手を焼くHurdleの実績馬と異なり飛越はスムーズなものを見せていた。最後はスプリント能力により遅れたが、イギリス・アイルランドにて比較的高い航行能力を示してきたMahler産駒のHandicapperがここで通用したということは面白い材料であろう。Steeplechaseの重賞を使ってきたHeloy Delabarriereが5着。ただしこの馬自身実績的には格下の馬で、この馬があまり差のない上位に来ていたことを考えると、レース全体の水準としては少々慎重に考えた方がいいかもしれない。Home By The Leeは最後猛然と追い上げて6着まで来たが、フラット部分で加速していたことを踏まえるとこれはフランス型のHurdleに手を焼いていたものと思われる。同様にHurdleに苦労していたのがIrish Pointで、好位から進めるもいいところなく終わった。展開のカギを握ると思われたHooliganはどうにもちぐはぐな競馬で終盤で失速。これを追いかけるような動きを見せていたIrish Vocationも失速して大敗に終わり、このあたりは距離というよりは道中無駄な動きにより消耗した結果と思われる。

 

Malvern (USA) Yielding

〇 The Radnor Hunt Cup Allowance Timber

Purse $25,000. Three And One Fourth Miles. (Timber) For Five Year Olds And Upward Which Have Not Won A Timber Stakes In 2024. (Replay)

1. Court Ruler (IRE) J: Conor Tierney T: Leslie Young

前半からややリードを取って逃げたCourt RulerがMystic Strikeとの叩き合いを制して勝利した。Court Rulerはこのクラスの常連で、コースを外れたことで途中棄権となったGreat Meadow以外は昨年4月のPine MountainのAllowanceから4戦無敗という結果を残している。ただしTimberのStakesクラスへの出走はなく、このままAllowanceを使うのかどうかは注意したい。昨年Virginia Gold Cupを勝利した15歳のベテランMystic Strikeが惜しい2着に入った。先日もMaryland Hunt CupでVintage Vinnieが勇気のあるレースを見せたほか、14歳馬SchoodicもTimber Championとして君臨しており、この日のこのレースも9歳以下の馬はTheda's Boyただ1頭と、この路線の高齢馬の活躍は目を見張るものがある。

 

5/19(日)

Auteuil (FR) Tres Souple (4.1)

Prix Aguado (G3)

Haies Pour poulains entiers et hongres de 3 ans 3500m (Replay)

1. Nietzsche Has (FR) J: Ludovic Philipperon T: Marcel Rolland

2連勝で挑んで来たNietzsche Hasが人気になっていた。レースはRooster CrowingとSony Billが前に行く展開で、人気のNietzsche Hasはその後ろから。そのままRooster Crowingが逃げ込みを図るも、これを捉えてNietzsche Hasが勝利した。

Nietzsche HasはこれでHaiesは3戦3勝とした。Zarak産駒の牡馬とということだが、このレースを最近制した牡馬としてJigme、Paradiso、Nirvana Du Berlais、Tunisと全てが種牡馬入りしており、この馬も同様の期待がかかりそうだ。Zarakの産駒としては他にZarakhanやZarak The Braveが挙げられる一方でNational Hunt Sireとしての可能性としては未知数だが、とはいえこの馬もあまり遠くない将来に種牡馬入りとなる可能性が高そうだ。ex-flat horseのRooster Crowingがしぶとく走って2着で、ここまでHaiesではさほど崩れずに走っていることを考えると、もう少し距離を伸ばしてもという可能性はありそうだ。4月のデビュー戦を勝利してきたJeu St Eloiの産駒であるLecoeurdeshommesは好位から進めたが直線伸びを欠き、離れた4着に終わった。

 

Grand Steeplechase de Paris (G1)

Steeplechase Pour tous chevaux de 5 ans et au-dessus. 6000m (Replay)

1. Gran Diose (FR) J: Clement Lefebvre T: Louisa Carberry

フランスSteeplechaseの頂点を決める競走となる。France GalopはこのGrand Steeplechaseに向けて様々なプロモーション活動も行っているようで、レース中継を見ているとなかなかに賑やかで華やかな場内の様子も伝わってくる。日本ではなぜかあまり知名度は高くはないようだが、そのレース水準は世界最高峰の内容であり、スポーツとして一見の価値があるものであることは疑いようがない。レースは上がり馬Juntos Ganamosが人気を集めていた。そのほかGrandeur Nature、Gold Tweetなど。前日に行われたHaiesと異なり、アイルランド等のフランス国外からの参戦馬はなく、出走馬全てがフランス調教馬で構成されていた。

レースはJuntos Ganamosが例によって前に行く展開で、馬群は固まって進行する。早々に襷コースのOxerで後方にいたCharlotte PrichardのJojo Lapinが落馬。Gallipoliは特にJuntos Ganamosに競り掛けず好位に構える。Juntos Ganamosはのんびりと引っ張るが、Gros Open Ditchにて踏切位置が遠すぎた影響で落馬。代わってGran Dioseが先頭に出てくるも、あまり無理をせず番手にいたGrandeur Natureに先頭を譲り渡すような形となる。終盤の難関Rail Ditch and Fenceは無事全馬突破。Gran DioseはGrandeur Natureに並んで行くも、外から出てきたIn Love、さらにGeneral En ChefがGrandeur Natureに並んで行く。これにGrandeur Natureが抵抗するも、内から出てきたGran DioseがGrandeur Natureとの叩き合いに持ち込むと、ゴール前でこれを捉えて勝利した。3着にはGeneral En Chefが入った。

Gran DioseとGrandeur Natureの体格差が凄まじいのだが、どうやらGran Dioseは体高1.8メートルを超え約600kgの体重を有する巨漢馬だそうだ*1。Gran Dioseは2022年の秋ごろにかけてCompiegne及びAuteuilの重賞を連勝して頭角を現した馬であるが、その後はどうにも勝ちあぐねるレースが続いていたようだ。馬の性質としてはトップスピードよりもパワーを生かしてだらだらと走るタイプのような印象で、おそらくJuntos Ganamosが早々に離脱し、この馬のペースに近いレースで進めることが出来たことが一番の勝因だろう。6000メートルという距離も味方したようで、おそらく今回のレースを踏まえると引き続き前哨戦においては勝ちあぐねる可能性もありそうだが、あまり悲観せずに見ておきたい馬である。昨年のPrix La Haye Jousselin (G1)にてそのGran Dioseを捉えて勝利してきたGrandeur Natureが2着。当時はGran Dioseがかなり積極的に引っ張ったこと、さらに不良馬場が味方した可能性はありそうだが、一方で今回はこちらがGeneral En ChefやIn Loveといった馬のスパートに付き合ったという可能性はありそうだ。Gran Dioseとは特に力量差はなさそうで、条件次第では十分に逆転は可能だろう。

これまでも逃げたり発馬拒否したりと難しいところを見せていたGeneral En Chefが3着。まともに走ればというところで、今年はLignieresのClasse4から2連勝と結果を残していたのだが、その後は発馬拒否したりと相変わらず難しいところがありそうだ。今回も直線まではリズムよく運んでいたのだが、そこから前からやや突き放される場面があったことは勿体ない内容である。General En Chefから一枚前で進んだIn Loveが4着。5歳馬Amy Du Kiff、上がり馬Gold Tweetは最後遅れたが、この辺りはレース経験を積んで良くなってくることを期待したい。Pauで勝ってきたYoutwo Glassはさすがにこの良馬場では厳しく、徐々に遅れ途中棄権に終わった。Gallipoliも距離の影響か特に見せ場を作ることはできず。人気を集めたJuntos Ganamosも早々に落馬に終わったが、飛越にはなにかとポカのある馬で、引き続き期待したい。

 

Prix Ferdinand Dufaure (G1)

Steeplechase Pour tous poulains et pouliches de 4 ans. 4400m (Replay)

1. Kolokico (FR) (AQPS) J: Nicolas Gauffenic T: Emmanuel Clayeux

4歳限定Steeplechase競走。レースはRachael Blackmoreに乗り替わった牝馬Karre D'Asが前に行く展開で、襷コースの辺りから隊列は長くなるも大逃げの形にはならずにこれにある程度Kaadamなどがついて行く。Gros Open DitchからJuderoseが先頭に代わるも、残り3障害辺りからKolokicoが先頭に。そのままKolokicoが後続を突き放すと、Kador De Cierguesに7馬身ほどのリードを付けて勝利した。

フランスリーディング争いで上位に食い込んでいたCokorikoはこれがG1初勝利となった。KolokicoはSteeplechaseはこれが3勝目で、前走はAuteuilの獲得賞金限定戦で勝利していた。例によって展開を作っていったKarre D'Asが本来のCharlotte Prichardから乗り替わっていた影響は考慮しなければいけない可能性がありそうだが、とはいえKarre D'Asを早々に捕まえに行った先頭集団を追いかけての圧勝は価値があるだろう。4月のPrix Jean Stern (G2)でKentucky Woodの2着に入ったKador De Cierguesが2着に入り、AQPSが1、2着を占める結果となった。同じくCokoriko産駒のKoristeはここまでSteeplechaseではさっぱりな成績で今回もさっぱり人気がなかったようだが、最後追い上げて3着に来たようだ。今回はKarre D'Asをはじめ全体的に前掛かりになっていた可能性が想定され、この好走は展開を利したものと思われるが、とはいえ飛越が向上してきたのであればよいことであろう。KaadamはKarre D'Asを積極的に追いかけたが終盤で失速し4着。Karre D'Asも早々に捕まり5着に終わった。案外だったのがKentucky Woodで、早々に先頭集団から大きく離され途中棄権に終わった。

 

Prix Alain Du Breil (G1)

Haies Pour tous poulains et pouliches de 4 ans. 3900m (Replay)

1. Pistache Dore (FR) J: Johnny Charron T: Daniela Mele

こちらは4歳馬限定のHaiesのG1競走。レースはTunis産駒のElla Duchicが元気に前に行くも、直線を向いて後続が殺到。ここから抜けてきたPistache DoreがKinglandを抑えて勝利した。3着以下は大きく離れた。

Pistache Doreは前走のListedから連勝とした。昨年11月のPrix Cambaceres (G1)ではJigmeから約8馬身差の4着に入っていた馬だが、今年に入って調子を上げてきているようだ。当時前にいたLeon Du Berlaisがさっぱり走らなかったということはありそうだが、とはいえこの馬自身の進捗もまた期待できそうで、世代の新たなトップホースとして期待したいところである。4月のPrix De Pepinvast (G3)を勝ったKinglandが2着に入り、ここに来て好調のCokoriko産駒の一角として存在感を示した。レース内容としてはPistache Doreに対して立ち回り一つといったところもありそうだ。Bryony Frostが騎乗したことで注目を集めていたKibboutzが3着だが、Pistache Doreとあまり変わらない立ち回りをしていたことを踏まえると、この馬自身前2頭とはやや力量差がありそうだ。注目を集めたAuthorized産駒の牡馬Leon Du Berlaisはさっぱり走らなかったが、どうも前走第1障害にて横からタックルされて落馬されたことによる精神的な影響があったようで、こういった難しさも含めてAuthorized産駒なのだろう。直線にてスペースができてからはある程度脚を伸ばしており、この馬のポテンシャルは部分的に示した内容と言える。CompiegneのListedで派手なレースを見せたElla Duchicはさすがにこのメンバーでは楽に逃げさせてもらえなかったようで、直線失速して大敗に終わった。King Contiも好位からリズムよく進めたが、向こう正面で大きなミスがあり、そこから無理はしなかったようだ。

 

Rostrenen (FR) Tres Souple (3.8)

Grand Cross Rostrenen #5 TNC Haras Du Lion (Classe 1)

Cross Country Pour tous chevaux de 6 ans et au-dessus. 5800m (Replay)

1. Gold Allen (FR) J: Esteban Metvier T: Patrice Quinton

やや外に斜飛しながらもGreat Du Largeがのんびりと前に行く展開で、スタート直後からレースは非常にゆったりと進行する。特にもたもたと飛越していたElcond'or Forlongeはやや道中馬群から置いて行かれる。少しずつ加速を掛けたGreat Du Largeがやや後続を引き離して引っ張る形になるも、Banquetteを越えたあたりからGold Allenが接近。逃げ込みを図るGreat Du Largeを捉えてGold Allenが勝利した。

Gold Allenは2022年のGrand Cross de Corlayの勝ち馬だが、同年のCraonのGrand Crossのあとは2年近い休養に入っていた。復帰戦となったSenonnesのClasse4では落馬に終わっていたようだが、今回は結果を残した。道中でやや位置を下げるような場面もあったが、とはいえ全体的にかなりゆったりとしたペースで進んだ影響で、あまり気にしなくていいだろう。Great Du Largeは昨年のSaumurのClasse2で勝利したのち、Steeplechaseに戻した経緯もあったようで、まだSteeplechaseのHandicapでもやれる馬を捉え切ったということはそれなりに評価してよさそうだ。Anjou-Loire Challengeで落馬に終わったElcond'or Forlongeはどうにも全体的に飛越がちぐはぐで、Great Du Largeが抜け出したのちもいまいちな飛越を見せていた。前走落馬に終わった影響が出ていなければよいのだが。

 

Merano (ITA) Tempo Vario Terreno Buono

〇 Rigoureux Euro 14,000 TRIO

per cavalli di 4 anni ed oltre (Siepi - Maiden Novices - Fantini) 3300m (Replay)

1. Wamba (SPA) J: Gaetano Volpe T: Grezegorz Wroblewski

前に行ったWanbaがKeep And Loveを振り切って勝利した。Wambaは元々スペインでデビューした馬で、4月から現厩舎に移籍しているようだ。WroclawのHurdle及び前走のMaidenでは4、3着と結果を残しており、これがSiepiでは初勝利となる。まだ4歳と若い馬で、平地の実績馬Keep And Loveを下したということで楽しみにしたい。RomaのPremio Carlo D'AlessioというG3競走で3着のあるKeep And LoveはこれがSiepi2戦目であったが、2戦連続で2着に入った。

 

Wroclaw (POL) płotowy - lekko elastyczny (3.1); przeszkodowy - lekko elastyczny (3.2); 

Nagroda Tiumena 24000 zł

Międzynarodowa gonitwa z przeszkodami dla 5-letnich i starszych koni. 4400m (Replay)

1. Ztracenka (CZE) J: Jan Odložil T: Stanislav Popelka 

WroclawのSteeplechaseとしては珍しく飛び乗り台を使うコースが設定されている。レースはいつもの勝負服のChittussiが引っ張る展開で、やや隊列は長くなる。好位からLianel、Ztracenka。唯一のポーランド調教馬Nitroは後方から。そのままChittussiは淡々と引っ張るも、これにZtracenka、Lianelが接近。そのまま前に出てきたLianelとZtracenkaのマッチレースはZtracenkaがLianelを凌いで勝利した。Go Canadaが3着。

Pop Rock (JPN)産駒のZtracenkaはこれでNagroda MasiniegoからWroclawのSteeplechaseは3連勝とした。PardubiceのCena Laty Brandisovéでも実質的には1位で入線しており、内容的には4連勝と言える。今回はチェコCross Countryの3000メートルクラスで上位争いをすることが出来るだけの能力を持ったLianelを4400メートルの距離で下したといったもので、ポーランドSteeplechaseにおいては現時点で最も勢いがある馬と考えていいだろう。そのLianelが2着に入ったが、この馬の場合はこのままポーランドSteeplechaseに参戦する場合は更なる距離延長に対応する必要があり、その動向には注意しておきたい。このクラスの常連Go Canadaが頑張って走って3着。5歳馬Chittussiは前々で運んだが、そこから瞬発力負けするような恰好の4着。珍しいウクライナ生産馬Piraniyaはそれなりに勝負圏内で運んでの6着で、10歳とさすがに年齢的なところはありそうだが、このような珍しい出自を持つ馬が元気であることは喜ばしいことだろう。

なお、チェコJockey Clubは今年のWroclawのSteeplechaseをCross Countryと表示しているようだが*2、内容は同じものであることに留意されたい。

 

Nagroda Majora Jerzego Zaniewskiego 24000 zł

Cykl gonitw z przeszkodami dla młodych koni. Międzynarodowa gonitwa z przeszkodami dla 4-letnich koni. 3600m (Replay)

1. Runa (FR) J: Rostislav Benš T: Grzegorz Wroblewski

4歳馬限定戦。レースはPadelaが元気よく引っ張るも早々にVulcaniyaが出てくる。さらに引っかかり気味にRunaも前に出て、障害手前で逃避しコースアウトしたVulcaniyaに代わって先頭で運ぶ形となる。そのままRunaが先頭で引っ張ると、ついてきたKjmerやLong Islandを抑えて勝利した。

4歳馬限定Steeplechaseということで全体的に賑やかなレースになっているがこんなものだろう。RunaはこれでWroclawのSteeplechaseは2戦2勝とした。今年の5月にはPremio Val MartelloというMeranoのSteeplechaseを使うも落馬に終わっており、現在のレース振りを見ているともう少しMeranoのSteeplechaseを走るには落ち着いてレースを進めたいところであろう。ポーランド生産馬のLong Island、Khmerと続き、地元出身の地元の馬がこの時期のSteeplechaseで好走したことは喜ばしい結果である。

 

Casterton (AUS) Soft6

〇 Bet365 Maiden Hurdle

Set Weights. No age restriction, No sex restriction. Maiden. Apprentices can claim. $35,000 (Replay)

1. Dubai Moon (AUS) J: Aaron Lynch T: Frankie Stockdale

途中から後続をやや引き離して逃げたDubai MoonがMaatsuykerを振り切って勝利した。Dubai MoonはHurdleは3戦目にして初勝利とした。今年の1月には1月26日、1月27日、2月1日、2月8日と驚異的な強行軍にもかかわらず平地競争にて4連勝を挙げた馬で、それ以前にもほぼ週1のペースで出走していたというのだから驚きである。飛越としては全体的に飛距離のあるものを見せていたが、ただ踏切位置のミスでポカもあるようで、この辺りを上手く息を抜きつつ走ることが出来るようになればといったところだろう。前走WarrnamboolのMaidenで3着に入ったMaatsuykerが2着に入った。ニュージーランド平地競争で重賞競走への出走歴もあるJack Knows BestはこれがHurdle2戦目であったが、あまりいいところなく5着に終わった。

 

〇 Ecycle Hurdle

Handicap. No age restriction, No sex restriction. No class restriction. Apprentices can claim. $50,000 (Replay)

1. Out And Dreaming (AUS) J: William McCarthy T: Andrew Noblet

レースは前に行ったTeofilo Starがそのまま逃げ込みを図るも直線で落馬。代わって前に出たOut And DreamingがRising Renown以下を振り切って勝利した。Out And DreamingはHurdleは2021年のSouthwest Equine Veterinary Group Hurdle  以来の勝利とした。2021年にMaidenから3連勝という成績を残した馬だが、その後はぱっとせず今回も人気を落としていたようだ。今年の4月にCiaron Maher Racing Hurdleを勝ったRising Renownが2着。Maidenを快勝して挑んで来たBaziniが3着に入ったが、全体的にTeofilo Starの落馬による影響を考慮せざるを得ないレースとなった。

 

Ecycle Two Rivers Steeplechase

Handicap. No age restriction, No sex restriction. No class restriction. Apprentices cannot claim. $100,000 (Replay)

1. Elvison (AUS) J: Aaron Kuru T: Symon Wilde

Castertonにはオーストラリアで唯一の生垣障害が設置されたSteeplechase Courseが存在しており、このレースは貴重なその一競走である。レースは前半からElvisonが前に行く展開。追いかけてきたAquileonが終盤で落馬すると、そのままElvisonがMighty Oasisを振り切って勝利した。

Elvisonはこのコースの常連で、ここ数年はこのコースにおいてチャンピオンとして君臨している。今回も全体的に伸びやかな飛越を見せており、72.5kgという斤量を背負って改めてこの馬の強さを示した内容と言えるだろう。一方で一般的なSteeplechaseではいまいちな成績に終わっており、あくまでCastertonにてどこまでといったところになりそうだ。71.5kgを背負ったMighty Oasisは今回も安定したレースで2着に入った。Soft6とやや早い馬場で、もう少し馬場が重くなれば勝ち馬に迫ることが出来たかもしれない。Gunaluva、Fort Charlesとかなり離れての入線で、改めてElvisonの強さが光るレース内容となった。73kgを背負ったベテランRiding Highは途中から遅れ5着まで。Tom FooleryはGrand Annual Steeplechaseで好走したためか人気になっていたが、途中からついていけなくなり離れた入線となった。

 

Egmont RC @ Hawera (NZ) Good4

〇 Norrwood Hawera "Jim Walker" Hurdles OPN HDL 2800m (Replay)

1. Verry Flash (NZ) J: Dean Parker T: Kevin Myers

じわっと前に出てきたTahuroa Heightが逃げるも、直線を向いてこれに並んできたVerry FlashがLochwinnochを抑えて勝利した。

Verry Flashはその名前から想像される通りの良血馬で、今シーズンのHurdle競走はこれが初戦であったがしっかりと結果を残した。昨シーズンはWaikato Hurdle (PJR)にも挑戦しているがPJRクラスでの出走はそれきりで、ひとまず今回はあまり馬に負荷をかけすぎることなくきっちりと結果を残したことは喜ばしい内容だろう。前走WanganuiのOPN HDLを勝ってきたLochwinnnochが最後差し込んでの2着。昨年8月に0-1 WIN HDLを勝ったLord Spencerも差のない3着で、良馬場のスピード勝負らしくあまり着差のつかない入線となった。栗毛の雄大な馬体が目立つAl's Red Zedはこれが約2年ぶりのHDLへの出走であったが、途中から脱落し最下位に終わった。ここまでの戦歴を見るとあまり順調に使えていない馬のようだが、MaidenではあのWest Coastを下して勝利しており、なんとか調子を戻して来ればといったところだろう。

 

〇 PCL Wineera Brothers LTD "Maurice Campbell" Steeplechase RST OPN STP SWP 3400m (Replay)

1. Password (NZ) J: Kylan Wiles T: Harvey Wilson

Renegade Fighterを制してTorque Timeが逃げるも、向こう正面からCall Me Jackが絡んでいく。しかし直線を向いて出てきたPasswordがInterllectus以下を振り切って勝利した。

PasswordはSteeplechaseはMaidenに続き2勝目とした。昨年の段階ではThe Cossackの勝利したPakuranga Hunt Cup (PJR)では5着といいところなく終わっており、ひとまず今年は2戦目で進捗が認められたようだが、PJRで通用するほどのパフォーマンスかと言われるとまだ半信半疑といったところだろう。Interllectus、Afterallthistime、さらにCall Me JackとKevin Myers厩舎の馬が2~4着を占めた。Stephan Karnicnik騎手のCall Me Jackはのんびりと引っ張った人気のTorque Timeにかなり強気に競り掛けており、終盤の障害でのミスで着順は下げたが、とはいえ競り掛けられたTorque Timeも苦しくなって脱落したように、人気薄の馬の騎乗としてはなかなかに勇気のあるものを見せていた。

 

Niigata (JPN) Good to Firm

〇 Maiden / 障害4歳以上未勝利 2980m (Replay)

1. スピアヘッド (JPN) J: 坂口智康 T: 菊川正達

コーナーで先頭に立ったスピアヘッドが追いかけてきたウインエタンセルを振り切って勝利した。スピアヘッドはハービンジャーの産駒で、笠松で2勝してJRAへと再転入するも1勝クラスでは早々に頭打ちになり、今年の3月から障害戦に回っていたようだ。調教助手とから騎手に転身した坂口騎手はこれが騎手としての初勝利となった。世界的に障害騎手の不足は問題となっているが、日本もその例に漏れず障害騎手の不足は喫緊の課題であり、近年馬術選手から転身した小牧騎手の成功も含め、障害騎手への門戸が広く開かれ、そのような騎手が成功を収めることは喜ばしいことである。