にげうまメモ

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24/05/26 Weekly National Hunt / Jump Racing

 

5/22(水)

Bro Park (SWE)  Steeplechase god, Häckbana god

Jockeyklubbens Stora Pris

För 5-åriga och äldre hästar. 72.000 kr 3500 st (Replay)

1. French Warrior (FR) J: Christopher Roberts T: Anna-Maria Andersson

Mutadaffeqが出走取消で4頭立てとなった。レースはある程度主張してLast Referenceが逃げる展開で、後ろからFrench Warrior、Three Is Companyなど。そのままLast Referenceは軽快に逃げるが、直線の障害にて落馬。前に出たThree Is CompanyをFrench Warriorが捉えて勝利した。

French WarriorはSteeplechaseでは初勝利とした。Steeplechaseを含めスウェーデンの障害競走ではそれなりに長く戦っている馬だが、とはいえここまで目立った実績はなく、基本的にやや格下的な立ち位置であった。今回は前に行ったLast ReferenceをThree Is Companyが捉えに行ったところを最後追い上げてきたというレース運びで、若干展開利のようなところがあったことは否めないだろう。この路線の常連Three Is Companyは積極的に動いて2着。Truckers Glory Memorialを勝ったDon Diabloはじわじわと差を詰めるも3着で、逃げたLast Referenceも含めてあまり力量差はないもののように思われる。この辺りはあくまで展開一つで変わるといったところだろう。

 

5/25(土)

Pardubice (CZE) stav dráhy: 3.4 (dobrá / Good)

〇 CENA SLUŽEB MĚSTA PARDUBIC

Steeplechase II.kat. - 3500 m, cena, 5letí a starší 132.000 Kč (Replay)

1. New Friend (CZE) J: ž. Jan Faltejsek T: Pavel Tůma 

レースはPerry Owensが前に行くも全体的にゆったりとスタート。途中で絡んで来たJukirikoはそのまま脱落するも、Perry OwensとNew FriendのマッチレースはNew Friendが前に出て勝利した。

New Friendは障害戦はこれで5戦5勝とした。2022年のGran Criterium D'Autunno (G1)でCosta Ricaを相手に14馬身差の圧勝劇を見せた馬だが、今回は約1年半ぶりの実戦となった。まだ5歳位と若い馬だが、アイルランドで実績のあるPerry Owensを相手にきっちりと勝利を挙げたということで改めて今後が楽しみな一頭となるだろう。MeranoのSiepiに行くのか、それともPardubiceのCross COuntryを使うのかは不明だが、この路線における可能性のある一頭として注目すべき馬だろう。アイルランドからの移籍馬Perry Owensが2着。アイルランドではListedクラスで3着のある実績馬で、2022年の6月の実戦を最後に2年程の休養を経ていたようだが、前走のIV. kat.を勝利してここに臨んでいた。3着以下は大きく離れたが、未勝利馬Double Luckが最後に上がったようだ。Wielka Partynickaの勝ち馬Dařbujánは最後の最後で脚を伸ばして4着に来たようだが、この形はこの馬の十八番なのかもしれない。主にポーランドで結果を残してきたEver Soleadoは前2頭に抵抗する気配はあったが最後は脱落して7着。この馬を物差しにすれば上位2頭の力量は相当なものだろう。Cokoriko産駒としてチェコでは初出走となったJukirikoはやや引っかかり気味にレースを進めるも、途中から脱落して大敗に終わった。

 

CENA SPOLEČNOSTI TIPSPORT

Steeplechase crosscountry II.kat. - 3400 m, cena, 5letí a starší 132.000 Kč (Replay)

1. Hibernian (FR) J: ž. Marcel Novák T:  Lenka Kvapilová

レースはHibernianが元気よく引っ張る展開で、これにMr Zuru、Clondaw Hollowなどがついて行く。DropにてLinovskyが落馬。Steeplechase Courseに入る辺りからClondaw Hollowが前に出て押し切りを図るも、再度出てきたHibernianがMr Zuruを抑えて勝利した。

HibernianはCross Countryはこれが初勝利とした。遡ればWarszawaのHurdle競走を使っていた馬で、その後チェコへと転厩していたようだ。ここまで下級条件戦での好走があるものの上位クラスでの好走歴はなく、ここでも人気薄であったようだ。いきなりの激走に至った理由はよくわからないが、メンバー的にはやや疑問視しておいた方がいいかもしれない。スロバキアのMr Zuruは良くも悪くも相手なりに走る馬で、今回はやや仕掛け遅れのような形の2着。レース運びを見るともう少し距離はあった方がいいような印象もあるが、3000メートルクラスを狙って使っているようだ。昨年はMeranoのSteeplechaseを使っていたBoule De Neigeがやや進境を見せての3着で、道中の飛越のリズムの悪さを考えればもう少しやれそうだ。IV. kat.を勝ってきたPrecius Rockが4着だが、5歳馬ということもあってまだレースを教えながらというところはありそうだ。10歳馬Clondaw Hollowは最後脱落して5着に終わったが、アイルランドからの移籍2戦目にしてはPardubiceの障害にもきっちりと対応しており、10歳とさすがに年齢を重ねているだけあってシンプルなスプリント勝負だとやや厳しそうだが、条件や展開次第ではここでもチャンスはありそうだ。

 

CENA MĚSTA PARDUBIC – I. KVAL. NA 134. VELKOU PARDUBICKOU SE SLAVIA POJIŠŤOVNOU

Steeplechase crosscountry NL - 5800 m, cena, 5letí a starší 500.000 Kč (Replay)

1. Godfrey (FR) (AQPS) J: Daniel Vyhnálek T: Dalibor Török

レースは例によってSexy Lordが前に行く展開で、好位からKorfu、Chelmsford、Player、Kaiserwalzerなど。Argano、Starは例によって後方から。Sexy Lordはそのまま淡々と引っ張り大きな動きなくレースは進むも、後半の空壕を越えたあたりからPlayer、更にはLombarginiが先頭に並んで行き、Brookを越えてから一旦はLombarginiが元気いっぱい前に出てくる。しかしさらにこれをめがけて動いてきたStarがSteeplechase Courseに入ってから先頭に立ち逃げ込みを図るも、最終障害を越えて後続が殺到。馬群を縫って出てきたGodfreyが内から出てきたChelmsfordを抑えて勝利した。逃げたStarが元気に3着に入った。

Sexy Lordはこの逃げる形を武器にしてきた馬なのだが、空壕を越えたあたりから逃げたSexy Lordをめがけてかなり後続が強気に仕掛けてきており、結果的にはこのあたりである程度我慢した馬が前に来ている。Godfreyは昨年のこのレースの2着馬で、Velká PardubickáではTaxis Ditchにて早々に落馬に終わっているのだが、今年は初戦から幸先の良いレースとなった。中段から脚を伸ばしたGodfreyに対して比較的前々で運んだのがSunday Break産駒のChelmsfordで、1年ぶりのレースでこれだけ走れることが出来れば上々の内容だろう。Godfreyとは同い年の馬だが、一昨年の秋からよくなってきたGodfreyに対してかなり早期から素質を示しており、レース内容を考えれば展開次第で十分に逆転は可能だろう。13歳馬Starは今年も元気いっぱいの3着。例によって最後方からかなり強気に動いていたことを考えれば改めてこの馬の強さを示す内容であった。逃げたSexy Lordは後続に次々と仕掛けてこられて苦しい形になったが、とはいえ大崩れすることなく4着ということで本番が楽しみな内容になった。

Her Himは例によってじわじわと脚を伸ばして5着。この馬のポテンシャルを考えればSvenskt Grand NationalやWroclaw、MeranoのSteeplechaseなど様々な可能性が考えられるのだが、PardubiceのCross Countryに参戦するのであれば楽しみな一頭だろう。距離はさらに伸びていいはずである。Arganoは後方から脚を伸ばしての6着で、レース振りからするとあくまで試走といったものであった。イギリスのJames Best騎手が騎乗したLombarginiは強気に仕掛けるも、そこから苦しくなっての8着まで。距離が伸びてよいタイプの馬ではなく、本番のことを考えるとJames Best騎手にとっては収穫のある内容であったものと思われる。ただし馬の性質としてはCena Labeなどの方がよいだろう。13歳のTalentはおそらく馬場適性によるものと思われる大敗。Mr Spexはどうにも走る気を見せずの大敗と、こちらはどうにも心配な結果となった。今年で6回目のVelká Pardubická出走を目指す11歳のDulcar De Sivolaは13着と着順はしょんぼりだがきっちりと完走を果たした。5年連続のVelká Pardubická完走を含め、2018年10月以来18戦連続で完走を果たしており、うちVelká Pardubickáでは2回の入着賞金を獲得しているのだから、この馬もまたチェコが世界に誇る名馬のうちの一頭なのである。

 

〇 CENA SKUPINY PROTECTON

Steeplechase crosscountry IV.kat. - 3350 m, cena, 5letí a starší 66.000 Kč (Replay)

1. Angkor Wat (GB) J: ž. Jan Odložil T: Popelka Stanislav

レースは元気いっぱいKing Heartが飛ばすも、好位からじわじわと進出してきたAngkor WatがJacobellis以下を突き放して勝利した。Angkor WatはこれでLysá nad LabemのSteeplechaseを含めて3連勝とした。PardubiceのCross Countryは2021年に一度使って落馬に終わったきりだが、とはいえ2019年のチェコダービーで2着に入った能力馬で、今年で8歳と年齢は重ねているとはいえ、この路線に本格参入するのであれば楽しみにしたいところである。今回はあくまでKing Heartのペースということで3000メートル台の上位クラスのペースにどこまで対応することが出来るかは注意しておきたい。昨年BrnoのSteeplechaseを2勝したJacobellisが2戦連続となる2着。前走はSlušoviceでの2着だが、PardubiceのCross Countryに適性があるのであれば収穫のあるレースとなったと言えよう。9歳のベテランKing Heartは元気に飛ばすも3着まで。これが復帰戦となったWell Absolutは4着までだが、おそらく距離的には十分なものではなかったと想定され、これを叩いて良くなって来ればといったところだろう。

 

5/26(日)

Merano (ITA) Tempo Bello Terreno Morbido

Grande Steeplechase D'Europa Euro 65,000 TRIO

per cavalli di 5 anni ed oltre (Steeplechase - Gruppo I - Fantini) 4600m (Replay)

1. L'Estran (FR) J: Jan Kratochvil T: Josef Vana Jr

SteeplechaseとしてはMeranoの春の大一番となる。レースは例によってGangster De Coddesが前に行くも、途中からやや引っかかり気味にFirst of Allが前に出てくる。そのままFirst of Allは逃げ込みを図るも、これに迫ったL'EstranがFirst of Allを4馬身ほど突き放して勝利した。

Merano競馬場のFacebookは最近精力的に情報発信を行っており、各レースの展望及び回顧記事を掲載しているのだが、L'Estranのゴールシーンは美しく壮大なアルプス山脈を背景にした素晴らしいものとなっている。L'Estranは2019~2022年にかけてGran Premio Merano (G1)を4連覇した名馬である。ただし昨年の同レースは途中で落馬に終わり、今シーズンの初戦となったCondizionataでもChes Demonmirailにの3着と、どうにもいまいちな結果に終わっていた。今年でこの馬も11歳とさすがに年齢的なところも感じられる状況ではあったのだが、これがこの馬にして初めてとなるGrande Steeplechase D'Europa (G1)制覇を成し遂げるのだから大したものであろう。ただし、Gangster De Coddesが前に行き、加えてややFirst of Allが引っかかり気味に前に行ったという展開利はありそうで、途中でやや手を動かしてついて行く場面があったりと、ペースへの対応力という点でどこまで往年のものが残っているかは注意した方がいいかもしれない。First of Allはこれが今年の初戦であったが2着まで。一度レースに使っていれば変わってきた可能性もあるだろう。Listedを快勝してきたGangster De Coddesが3着。Ocean Lifeはやや前3頭と比べると飛越面でばたつくようなところもあった。イタリアのBallinscoは早々に遅れ、前から大きく離された5着に終わった。

 

Premio Ezio Vanoni Euro 44,000 TRIO

per cavalli di 4 anni (Steeplechase - Gruppo II - Fantini) 3800m (Replay)

1. Krokodile Dundee (FR) J: Jan Kratochvil T: Josef Vana Jr

4歳Steeplechase競走。レースは前半から後続に大きなリードを取って逃げたKrokodile Dundeeがそのまま逃げ切り勝利した。

Krokodile DundeeはJeu St Eloiの産駒で、今をときめくSaint Des Saintsの系統がここでも結果を残したことになる。PauのClasse1で3着のある馬だが、今年の春からチェコに移籍していた。前走のCondizionataではPan De Azucarの3着に敗れていたが、今回は自ら厳しいペースを刻んでの完勝ということで価値のあるレースだろう。ただしどうにも全体的に口向きの悪さのようなところもあり、もう少し落ち着いて走ることが出来ればよいのだが。この路線では安定して走ってきていたPaolo Favero陣営のIsland Kingが頑張って2着に入った。Pan De Azucarは前を追いかけるところを見せたが、Island Kingに交わされて最後は3着に終わった。

 

Göteborg (SWE) Häckbana god till lätt

Sorrento Häcklöpning 45.000 kr

För 4-åriga och äldre hästar som ej segrat mer än 2 gånger from 1 januari 2023. 3200 hä (Replay)

1. Leo The Lion (SWE) J: Kevin Parkin T: Karen Kuszli

DuesenbergとDeluxの2頭が出走取消で3頭立てとなった。かなりゆったりとしたペースで始まったレースはLeo The LionとImpact of Bloomの一騎打ちに。Impact of BloomがLeo The Lionを僅差凌いで1位入線となった。

ただしImpact of BloomのNiklas Lovénは鞭の使用により降着となったようで、3日間の騎乗停止処分を受けたようだ。Skandinavisk Hindersportはこの裁決に文句を言っているようだが*1、どこまで正当な裁決であるかは判断が難しい。Impact of Bloomは日本でもお馴染みBarocciの産駒で、今シーズンはSwartlings Memorialを勝利している。あまりスウェーデンのHurdle競走では崩れずに走っているようで、引き続きその走りを楽しみにしたい。Leo The Lionは障害戦はこれが初勝利となった。遡れば今はなきノルウェーでの出走経験のある馬だが、とはいえ今回はImpact of Bloomの74.5kgに対してこの馬は68kgと、斤量的にはかなり差があったことに留意すべきだろう。これがHurdle初参戦となったAviationはいいところなく大敗に終わったが、経験馬相手ということで次に期待したい。

 

Woodville-Pahiatua RC @ Woodville (NZ) Soft6

Manawatu ITM Awapuni Hurdle OPN HDL 3000m $60,000 (Replay)

1. Berry The Cash (NZ) J: Portia Matthews T: Mark Oulaghan

例によってEnglish Gamblerが前に行くもさほど大逃げの格好にならず、2周目から好位にいたCountry Bumpkinが前に出てくる。さらにTaika、Berry The Cashと前へと進出すると、そのまま出てきたBerry The Cashがリードを開いて勝利した。

直線で番手にいたOxygenが派手に落馬しているが特に問題はなかったそうだ。Berry The Cashは昨年のGrand National Hurdle (PJR)の勝ち馬で、今シーズンはJumpers' Highweightから連勝とした。まだHurdleでは6戦とあまりレース経験を積んでいるわけではないのだが、混戦が続くニュージーランドHurdle戦線においては主役候補の一頭となりそうだ。前走OPN HurdleでVerry Flashの2着に入ったLord Spencerが最後追い込んで2着。昨年Open Hurdleを勝って頭角を現したTaika、ベテランCountry Bumpkinと続いた。English Gamblerは例によって先手を取ったが、2周目で息を入れようとしたところで後続が殺到、そのまま馬群に飲み込まれて終わった。メンバーが手薄であればこのような逃げ方でもある程度自分の形を作れる可能性はありそうだが、さすがにこのメンバーが相手ではもう少し工夫がないと厳しいということだろう。

 

LJ Hooker Manawatu Steeplechase OPN STP 4000m $60,000 (Replay)

1. West Coast (NZ) J: Shaun Fannin T: Mark Oulaghan

West Coastの始動戦ということで注目が集まっていた。レースは11歳のベテランIzymydaadが前に行く展開で、Donardo、Des De Jeu、Hey Happyなどがその後ろから。やや目まぐるしく動く馬群を尻目にIzymydaadが淡々と逃げ込みを図るも、これに迫ったWest CoastがIzymydaadとの叩き合いを制して勝利した。

West Coastは言うまでもなく昨年のニュージーランドSteeplechase路線にてThe Cossackとの一騎打ちを制して頂点に立った馬で、今回はこれが始動戦であった。今回は比較的難易度の低いWoodvilleの障害にSoft6という比較的早い馬場、さらに馬順が比較的慌ただしく動きポジションを下げるという不利もあったが、とはいえ今期始動戦としては十分な内容を示したと言えよう。73kgのトップハンデを背負ってマイペースで運んだ66.5kgのIzymydaadを下すのだから大したものである。そのIzymydaadはStephan Kernicnik騎手とのコンビで見せ場を作った。昨年のWellington Steeplechaseで2着のある実力馬で、この馬の能力を考えれば勝ち馬のパフォーマンスはさすがの一言である。