Pardubice (CZE)
〇 132. Velká Pardubická se Slavia pojišťovnou
Steeplechase Cross Country Listed - 6yo+ - 6900 m - 5,000,000 Kč
ヴェルカ・パルドゥビツカ、いわゆるチェコのあれ。COVID-19の影響で賞金額を減らしていた昨年(3,000,000 Kč)から大幅に賞金額を増加し、COVID-19以前の水準(2019年:5,000,000 Kč)の賞金額が設定されることになった。当該競走に関するコースやレース条件、中継サイト等の情報の詳細は以下のカテゴリーの記事を参照されたい。
〇 チェコ競馬-Velka Pardubicka(にげうまメモ)
出馬表は以下のとおり。
No. | Horse | Jockey | Weight | Trainer | Owner |
---|---|---|---|---|---|
1 | NO TIME TO LOSE | ž. Ondřej Velek | 70.0 | Josef Váňa st. | Paragan Horseboxes s.r.o. |
2 | ARGANO | ž. Martin Liška | 70.0 | Martin Liška | Marek Šimák |
3 | STRETTON | ž. Thomas Garner | 70.0 | Stanislav Popelka | Nýznerov |
4 | IMPHAL | ž. Jaroslav Myška | 70.0 | Stanislav Popelka | Quartis-Zámecký Vrch |
5 | KAISERWALZER | am. Patrick Mullins | 70.0 | Jaroslav Brečka (SVK) | DS Millennium (SVK) |
6 | BRUNCH ROYAL | ž. Josef Bartoš | 70.0 | Josef Váňa ml. | Scuderia Aichner SRL |
7 | MR SPEX | ž. Lukáš Matuský | 70.0 | Luboš Urbánek | Lokotrans |
8 | CHICNAME DE COTTE | ž. Ludovic Solignac | 70.0 | Pavel Vítek | Quartis-Zámecký Vrch |
9 | DUSIGROSZ | ž. Marek Stromský | 70.0 | Josef Váňa st. | Joly |
10 | DULCAR DE SIVOLA | Josef Borč | 70.0 | Vendula Jirčáková | DiJana Dobšice |
11 | SACAMIRO | Jakub Kocman | 70.0 | Eva Petříková | Jezdecký oddíl Beňov |
12 | LOMBARGINI | ž. Jan Odložil | 70.0 | Stanislav Popelka | EŽ Praha a.s. |
13 | STAR | ž. Jaroslav Brečka | 70.0 | Jaroslav Brečka (SVK) | MPL Racing (SVK) |
14 | TALENT | ž. Pavel Složil ml. | 70.0 | Hana Kabelková | DS Kabelkovi |
15 | PLAYER | ž. Marcel Novák | 70.0 | Lenka Kvapilová | Nýznerov |
このレースに向けて計4回のQualification Raceが行われた。レース映像等へのリンクは以下の記事を参照されたい。
〇 22/05/22 Weekly National Hunt / Jump racing(にげうまメモ)
〇 22/06/19 Weekly National Hunt / Jump racing(にげうまメモ)
〇 22/08/07 Weekly National Hunt / Jump racing(にげうまメモ)
〇 22/09/04 Weekly National Hunt / Jump racing(にげうまメモ)
その他の参考記事。
〇 21/09/17 障害競馬入門⑦ - Crystal Cup - (にげうまメモ)
〇 22/01/23 障害競馬入門⑫ - Trophée National du Cross - (にげうまメモ)
表記フォーマットは以下のとおり。
- 馬番. 馬名 (生産国), 年齢 J: 騎手 T: 調教師 (血統表へのリンク)
1. NO TIME TO LOSE (GB), 13 J: ž. Ondřej Velek T: Josef Váňa st. (Pedigree)
父AuthorizedはSadler's Wells - Montjeuという欧州障害競走において最も成功した系統の出自で、2018~2019年と英Grand National (G3)を連覇した歴史的名馬Tiger Rollや、アイルランドHurdleにてG1を8勝したNichols Canyonを送り出すことに成功し、その障害種牡馬としての名声を不動のものとしている。日本でも*エンシュラウドが2020年のイルミネーションジャンプステークスを勝利しており、残念ながら同馬は障害馬として大成することは叶わなかったものの、日本障害競馬においても馴染みのある種牡馬と言えるだろう。Authorizedは残念ながら2020年からトルコに輸出されているようだが、Authorizedの後継種牡馬は世界各地に複数存在するようで、なんといっても特筆すべきは日本で競争生活を送った*バンデだろう。*バンデは成功した障害種牡馬Doctor Dinoの半弟という良血で、日本で種牡馬入りした当初はさっぱり人気がなかった一方で、フランスに戻ってからは大いに人気を集め、ifceのデータベースによると2021年はなんと165頭もの牝馬に種付けを行っているそうで、その産駒にはAQPSも多く含まれているようだ。このようなポテンシャルのある種牡馬がそのポテンシャルを発揮することが可能な欧州に戻ってくれたことを喜ばしく思う。
No Time To Loseは2017年のこのレースの勝ち馬。重馬場の中、フランスのUrgent De Gregaineが逃げていたBridgeurを早々に競り潰し、そのまま後続に大きなリードを取って軽快にゴールを目指すところ、後続からただ一頭Urgent De Gregaineを追いかけていき、ゴール直前でそのUrgent De Gregaineを捉え切った走りは地元のファンを大いに沸かせるものであった。その後も元気にPardubiceのCross Countryで戦い、この路線ではすっかりお馴染みの大ベテランで、今年は出走馬中最年長となる13歳での挑戦となる。おそらく2017年のVelká Pardubickáの出走馬のうち、現役で残っているのはこの馬のみ、もしくはこの馬とイタリアCross Countryの常連となったPower Zarだけだろう。No Time To Loseは2017年にこのVelká Pardubickáを制してからは、2018年(5着)、2020年(落馬)、2021年(4着)とコンスタントにこのレースに出走しており、これがなんと5回目の挑戦となる。2020年は全体的にパフォーマンスを落としていたのだが、12歳となった昨年はI. kvalifikace na 131. Velkou pardubickou se Slavia pojišťovnou (NL)、Cena Arnošta z Pardubic (II. kat.)と連勝し、古豪復活を強く印象付けての参戦であった。一方で今年は同じような路線を歩んでI. kvalifikace na 132. Velkou pardubickou se Slavia pojišťovnou (NL)は3着、Cena Catering Melodie (II. kat.)は5着と、さすがに昨年ほどの勢いはなさそうな感はある。とはいえCena Catering Melodie (II. kat.)はトップハンデの72.5kgを背負って3000メートルクラスのレースのスピードに対応し、結果としても勝ち馬のMedicimanなどからそう離されていないことを考えると、ここまでのステップレースとしては十二分の内容だろう。元々は3000メートルクラスのスピードにも対応していた馬で、13歳という高齢になっても3000メートルクラスのレースにも十分に対応可能な能力は恐るべきものがある。ただし、近年はややズブいところを見せていること、基本的には後方から押し上げていく戦法を取る馬であることを考えると、展開次第では前を捕まえきれない可能性があることは考慮すべきだろう。上記2017年のレースも比較的重い馬場で、良馬場ではこの馬のパワーを生かし切れない可能性もあり、当日の馬場状態にも注意すべきである。なお、13歳でのVelká Pardubickáの制覇としては1991年のŽelezníkが挙げられるが、当時のŽelezníkに騎乗していたのはNo Time To Loseの調教師であるJosef Váňaであるのはなにかの因果だろうか。他の13歳馬の勝利としては、1972年のKrok、1952年のVítězまで遡らなければいけない。ちなみに史上最年長勝利としては、1954年には当時14歳のUnkasという馬が勝利している*1。
2. ARGANO (CZE), 8 J: ž. Martin Liška T: Martin Liška (Pedigree)
父Lord of EnglandはNever Bend - Mill Reef - Shirley Hightsの末裔で、ドイツ及びイタリアで平地競争馬として現役生活を送り、Grosser Dallmayr Preis (G1)等を勝利したのちにドイツで種牡馬入りした。ただ、その産駒としてはQuaminoという馬が2019年にGoffs Handicap Chase (Grade B)を勝った程度で、障害競馬においては特に目立った産駒は出していない。チェコにもちらほらと現役の産駒はいるようだが、このArgano以外だとQueenという牝馬が2022年のWroclawでNagroda GaleriusaというHurdle競走を勝利した程度である。Lord of Englandの祖父Elegant Airの分枝ではEden Rockが2019年のSvenskt Champion Hurdleを勝ったドイツのLeierspielerinを輩出している程度だが、Shirley Heightsの末裔としては最近でもJewson Anniversary 4YO Hurdle (G1)の勝ち馬Kight Salute(父Sir Percy)、Welsh Grand National (G3)の勝ち馬Raz De Maree(父Shaanmer)、そしてなんといってもQueen Mother Champion Chase (G1)の勝ち馬Put The Kettle OnやLexus Chase (G1)の勝ち馬Outlanderを送り出したStowawayなどが存在し、近年の障害競馬でも一定の存在感を示している。日本にも*コンデュイットが輸入され、東京ジャンプステークス (G3)を制したシンキングダンサーを送り出した。Arganoの母Argantaは2004年にチェコオークス及びスロバキアオークスを制した東欧の名牝で、その産駒はチェコ・スロバキアクラシック戦線で一定の結果を残したようだが、特段障害競馬における活躍馬はいないようだ。
Argano自身は障害未勝利馬で、平地競争を合わせても2017年に平地のCategory IVにて1勝をあげているのみである。昨年10月のCena města Pardubic (II. kat.)においては、おそらく現6歳世代で最強格の一頭でその才能を高く評価されているNight Moonの前に手も足も出なかったのだが、今年に入ってLysá nad LabemのMemoriál Evy Palyzové o pohár hejtmanky Středočeského kraje (I. kat.)では前が崩れる展開を利して2着に追いこむと、距離延長となったIII. kvalifikace na 132. Velkou pardubickou se Slavia pojišťovnou (NL)にて、勝ったPlayerから僅差の3着に入ってここに挑んできた。III. kvalifikace na 132. Velkou pardubickou se Slavia pojišťovnou (NL)では終盤の難関障害であるVelký anglický skokにて比較的大きなミスがあったりと、レース振りを見る限りではやはり経験不足な点は否めないのだが、とはいえ8歳と比較的上がり目のある馬が距離延長でパフォーマンスを上げてきたことは魅力的な材料で、Martin Liška騎手兼調教師もこの馬の飛越技術は評価しているなど*2、実績以上に侮れない一頭だろう。Martin Liškaは非常に経験のある障害騎手で、Velká Pardubickáに参戦した経験も豊富であるが、近年は調教師としての活動にも注力しているようで、今回は自身の管理馬と共にVelká Pardubickáに挑むということで楽しみな試みになりそうだ。Martin Liškaは過去に一度だけ、自身が管理するIcare Du Renomと共に2008年のVelká Pardubickáに挑んでいるが、途中で落馬に終わっている。当時のMartin Liškaはあまり活発に調教師としては活動していなかったようだが、当時と比べるとかなり管理馬を増やしているようで、Martin Liška調教師にとっても重要な一戦になりそうだ。
3. STRETTON (CZE), 12 J: ž. Thomas Garner T: Stanislav Popelka (Pedigree)
父のHouse Rulesはアメリカ生産馬。2008年のVelká Pardubickáにて1位入線を果たすものの、走路を間違えたとして失格となったAmant Grisが代表産駒として挙げられる。チェコJockey Clubのホームページを見る限り、このStrettonはHouse Rulesの最後の現役競走馬であるようだが、Stretton自身も12歳と高齢で、House Rulesの産駒の走りを見ることができる期間はそう長くない。House Rulesの父Seattle Slewの系統は大きくSlew O'Gold、Capote、A.P. Indyの系統に分枝するが、基本的にアメリカ血統ということもあって、この系統の近年の障害競馬における存在感は非常に小さい。House Rules自身、後継種牡馬としてチェコ平地競争で活躍したSocr Houseがいるようだが、Socr Houseもこれといって目立った産駒を送り出してはいないようだ。Strettonの母Stepは1996年のチェコオークスで3着に入った馬で、Strettonがその最後の産駒のようだが、Strettonの他にはCena Bratislavská míla (Listed)を勝ったStigmaを送り出している。そのStigmaとJukebox Juryの産駒であるStukeはGran Corsa Siepi Di Merano (G1)をはじめ、イタリアでG1を2勝している名馬である。
Strettonはもはやこの路線ではお馴染みとなった馬で、2019年のVelká Pardubickáでは2着に入ったのを筆頭に、2017年は5着、2018年は3着、2020年は8着、2021年は7着と、もはやこのレースは6回目の挑戦となる。今年も例によって同じようなステップレースを経てきているのだが、どうにもこのレース自体、2020年以降は着順を落としているのは気がかりなところだろう。今年はI. kvalifikace na 132. Velkou pardubickou se Slavia pojišťovnou (NL)は4着、Cena deníku Právo (II. kat.)は3着と真面目に頑張っているのだが、一方でここにきて一気に馬が変わってきたという印象もなく、これまでも比較的コンスタントに走るタイプであったことを踏まえると、勝負に加われずに終わったここ2年から上積みがあるかというと微妙である。距離延長はプラスに働くタイプだが、あくまでこの馬の経験値でどこまでやれるかといったところで、展開次第では上位入線の可能性も残されているだろう。古豪の円熟味溢れる走りに期待したい。驚くべきことに、この馬はこれまでに障害競走を32戦もこなしているがそのうち一度の落馬及び途中棄権もなく、全ての競争で完走を果たしている。Thomas Garnerはイギリス出身の騎手で、過去にはRayvin BlackとのコンビでKingwell Hurdle (G2)等を勝利しているが、現在はアメリカで活躍しており、昨年もThe Mean QueenとのコンビでJonathan Sheppard Handicap Hurdle (G1)を勝利するなど、アメリカ障害競馬では一線級で活躍する騎手である。元々イギリスのみならず、アメリカ、イタリア、チェコ、スロバキア、ジャージー島等で活躍していた人だが*3、Pardubiceへの遠征は2019年のVelká Pardubická以来となる。なお、アメリカでは洪水で被災した人を救出したことで広く名前が知られるようになったそうだ*4。
4. IMPHAL (POL), 9 J: ž. Jaroslav Myška T: Stanislav Popelka (Pedigree)
父Golden Tirolはポーランドで現役生活を送った馬で、2009年のAustria Derby等を制している。どうやらその後はポーランドで種牡馬入りしたようだ。チェコにもその産駒は輸入されているようだがその数はわずかで、活躍馬としてもこのImphalが目立つ程度である。Golden Tirol自身は遡ればForliを経てHyperionに繋がる貴重な血統なのだが、この系統自体既に障害競馬でもほぼ過去のものとなっており、Golden Tirol自身のポーランドでの産駒成績もあまり芳しいものではなさそうだ。Imphalの母Implikacjaはチェコの平地競争を3勝した馬だが、その産駒としてはWielka Partynickaを勝利したIsuzuがいるようで、Imphalはその半弟である。
Imphal自身は元々3000メートルクラスのCross Countryの下級クラスをうろうろしていた馬だが、2020年頃に距離を延長して結果を残すと、2021年には3300メートルのCena Viléma z Pernštejna (II. kat.)を快勝したのちにVelká PardubickáのQualification Raceへと参戦した。ただ、2021年はII. kvalifikace na 131 Velkou pardubickou se Slavia pojišťovnou - Memoriál Mjr M.Svobody (NL)では4着、III. kvalifikace na 131. Velkou pardubickou se Slavia pojišťovnou (NL)は5着とどうにも前からは離された敗戦で、結局Velká Pardubickáへは参戦せずに終わっている。今年は再度3000メートルクラスの下級クラスを2走したのち、IV. kvalifikace na 132. Velkou pardubickou se Slavia pojišťovnou (NL)を勝ってここに挑んできた。Cena společnosti Tipsport (IV. kat.)では暴走気味のペースで引っ張ったKing's Shillingに71kgを背負ってついて行くなどスピードがあるところは見せているのだが、一方でIV. kvalifikace na 132. Velkou pardubickou se Slavia pojišťovnou (NL)は勝ったとはいえNight MoonやTalentといった人気どころが悉く落馬したという棚ぼた感もあり、9歳という年齢的には魅力がある反面で、いちおうは一線級のメンバーが揃ったここでは相手関係としては不安要素もあるというのが現状だろう。Jaroslav Myškaはほぼ毎年のようにVelká Pardubickáに参戦し、これまでに何度も入着を果たしている非常に経験豊富な騎手で、Imphalの主戦を務めている。Jaroslav Myškaは、昨年のVelká Pardubickáの2着馬でおそらく今年のチェコCross Countryにおいて中心的な存在となると思われたEvženの主戦騎手でもあるのだが、Evženが故障のため今シーズンのVelká Pardubickáには間に合わないということで休養しており、ひとまずImphalにとってはJaroslav Myškaを確保できたことは喜ばしいことだろう。
5. KAISERWALZER (GER), 9 J: am. Patrick Mullins T: Jaroslav Brečka (SVK)
父Wiener WalzerはTurn-To - Hail to Reason - Robertの系統の出身で、2009年のドイツダービー馬である。障害競馬においては2021年のCoral Final Juvenile Hurdle (G1)の勝ち馬Adagioや2020年のPremio Neni Da Zara (G3)の勝ち馬Kölsche Jungを出しているが、残念ながらすでにトルコに輸出されているそうだ。Wiener Walzerの父Dynaformerは障害馬の父としても優秀で、2011年のNew York Turf Writers Cup (G1)の勝ち馬Mabou、2010年及び2011年にIroquois Hurdle (G1)を連覇したTax Ruling、2015年のAustralian Steeplechaseを勝利したThubiaan、2017年の英Grand Nationalの2着馬Cause of Causesなどを輩出しているが、Dynaformerの後継種牡馬の障害競馬における存在感はそこまで大きくはない。Kaiserwalzerの全弟Kölsche Jungは上記のとおりPremio Neni Da Zara (G3)の勝ち馬だが、チェコJockey Clubの情報によるとおそらく何かしらの理由で既に死亡しているものと思われる。
Kaiserwalzer自身はスロバキア調教馬で、元々Cena Theophila – vítěze 129. Velké pardubické se Slavia pojišťovnou (III. kat.)を勝った程度で上のクラスではあまりぱっとしない程度の馬だったのだが、昨年のIV. kvalifikace na 131. Velkou pardubickou se Slavia pojišťovnou (NL)では2019年のVelká Pardubickáの勝ち馬Theophilosを下し、突如この路線の有力候補に躍り出てきた。"Cena Theophila"とは日本語に直せば「Theophilos賞」といったところで、要するにTheophilosが2019年のVelká Pardubickáを勝ったことを記念するレースなのだが、そのTheophilosを記念するレースを勝った馬がTheophilosを破るのだから競馬というのは面白いものである。しかしながら昨年のVelká PardubickáではVelký Taxisův příkopで早々に落馬に終わると、今年に入ってもI. kvalifikace na 132. Velkou pardubickou se Slavia pojišťovnou (NL)では勝ち馬からやや離れた6着と、どうにも結果を残せていない。コンスタントに走るタイプではなく突然大駆けする可能性もなくはないのだが、おそらくIV. kvalifikace na 131. Velkou pardubickou se Slavia pojišťovnou (NL)は小頭数かつ余裕のあるレースとなったことが勝因であり、Kaiserwalzer自身の実力的には本来少々格下と考える方が自然だろう。この馬に関して、最もおもしろいのは鞍上にアイルランドのアマチュア騎手Patrick Mullinsを確保したことである。Patrick Mullinsは言うまでもなくアイルランド障害競馬リーディングにおいても上位にランクインするほどの世界トップクラスの技術を持った騎手である。Pardubice初参戦であった昨年のこの開催では2戦していずれも落馬とさっぱり良いところがなかったのだが、今年は5月、9月と精力的にPardubiceまで遠征しており、IV. kvalifikace na 132. Velkou pardubickou se Slavia pojišťovnou (NL)ではやや不幸な落馬に終わったものの、だいぶこの独特なPardubiceのCross Country Courseにも慣れてきた印象がある。
6. BRUNCH ROYAL (FR), 9 J: ž. Josef Bartoš T: Josef Váňa ml. (Pedigree)
父Sunday Breakは*フォーティナイナー産駒の日本産馬で、母は*キャットクィル、兄弟にはファレノプシスやキズナがいるという日本競馬には馴染みのある良血馬である。Sunday Breakは現役時代はアメリカで過ごしたのち、引退後はアメリカ・フランスで種牡馬生活を送った。Sunday Break自身は種牡馬としても優秀で、Matalan Anniversary 4YO Hurdle (G1)を制したOrsippusやCena Vltavy等を制したChelmsfordを送り出しているが、Brunch RoyalはそのSunday Breakの代表産駒だろう。Sunday Break自身は既に死亡しているが、その後継種牡馬であるNever on SundayがPrix Robert Lejeune (G3)を制したFalstaffを送り出している。
Brunch Royalはこの出走馬中最も異色の経歴を持つ馬で、元々はMeranoのCross Countryで頭角を現してきた馬なのだが、2021年からはフランスCross Countryに挑戦、フランス初戦となったLyon ParillyのPrix Verdiを勝利すると、続くStrasbourgのTrophée National du Crossでも2着と結果を残す。さらに秋にはポーランド最大のSteeplechase競走であるWielka Wrocławskaを勝利、Almost Humanが異例のハイペースで引っ張ったWroclawのCrystal Cupでは2着と、2021年のポーランドSteeplechaseではトップホースとして君臨した。今年はTrophée National du Crossの競争を主に使っており、Strasbourg及びVichyのTNCではいずれも不幸な落馬に終わったものの、Grand Cross De Lyon及びGrand Cross De Vittelではそれぞれ2、3着と確実に結果を残している。前走はMeranoのPremio Delle Nazioni (G2)を勝利してここに挑んできた。実績的にはフランスの強力なCross Country Horseといったところで、フランスやイタリアの本格的なCross Country Courseに対応できるだけの技術と能力を持ち合わせた馬だが、一方でPardubiceにおけるレース経験は一度もないことは不安材料だろう。Premio Delle Nazioni (G2)はCrystal Cupの一環で、おそらくこの馬が出走すれば最有力候補になると思われる10月半ばのWroclawのCrystal Cupには目もくれずにこちらに向かってきたことは興味深い試みなのだが、とはいえ実績的には小回りのコースで器用に立ち回るスピードを持った馬というところもあり、全体的に有力馬が回避したことでやや手薄となったここで押し出され気味の高評価を集めていることを踏まえると、PardubiceのCross Countryに対応できるかを含めて少々不安が残る。後方から押し上げていくタイプであることもあり、レース運びには注目しておいた方がよさそうだ。ひとまずフランスやイタリアのトップクラスのCross Countryで戦ってきた経験に期待したい。どうやらメディアとしては同じScuderia Aichnerの持ち馬で、MeranoのCross Countryで圧倒的な実績を誇ったものの、このVelká Pardubickáでは途中棄権に終わったFatal Macと比較する向きもあるようだが*5、MeranoのCross Countryの経験しかない馬とフランスのCross Countryの経験を有する馬を同じ土俵で語るのは少々違うようにも思える。なお、Josef Váňa ml.はチェコの生きる伝説Josef Váňaの息子で、以前は騎手として活躍していたものの2019年以降は調教師として活動しており、近年ではGran Premio Merano (G1)を4連覇したL'EstranやGrande Steeplechase D'Europa (G1)を4連覇したNotti Magicheなどを管理し、イタリア障害競走における存在感は絶大である。Josef Bartošは言うまでもなくチェコのトップジョッキーの一人であり、このレースは過去に2019年にTheophilos、2008年にSixteen、2006年にDecent Fellowで制している。しばらく怪我で長い休養があったのだが、今年の9月に復帰すると、いきなりZaniniでGran Corsa Siepi Di Merano (G1)、さらにL'EstranでGran Premio Merano (G1)という秋のMerano開催の主要競走を複数制しており、その技術の高さは疑いようがない。
7. MR SPEX (GER), 8 J: ž. Lukáš Matuský T: Luboš Urbánek (Pedigree)
Mr Spexの父Tai ChiはHigh Chapparalの産駒で、ドイツでPries Des Winterfavoriten (G3)等を制した。引退後はドイツで種牡馬入りしたようだが、ここまで障害競馬において目立った活躍馬は輩出しておらず、Mr Spexはその代表産駒となる。High Chapparalは種牡馬としては非常に優秀で、その代表産駒はなんといってもイギリス16ハロンChase路線で一時代を築き上げたAltiorだろう。High Chapparalは多数の後継種牡馬を残しているが、その後継種牡馬としてもSo You Thinkが2020年のCena Labe (Listed)を勝利し、2021年のVelká Pardubickáでは2着に入ったEvženを送り出している。Evženは次世代のトップホースとしての呼び声も高かったのだが、残念ながら今年は怪我で全休となったようだ。なお、MeranoのCross Countryで頭角を現し、ここにも出走登録があったものの直前で出走を取りやめたSanta KlaraもまたSo You Thinkの産駒であり、従ってSo You ThinkはこのVelká Pardubickáに複数の産駒の出走があった可能性もある種牡馬である。
Mr Spexは昨年のVelká Pardubickáの3着馬である。元々Cena ČASCHにてEvženの3着に入り、現8歳世代では比較的上位の実力を示していた馬であるが、どうやら距離延長がうまくいったようで、昨年のQualification Raceではあまり良いところがなかったにも関わらずVelká Pardubickáでは大きくパフォーマンスを上げてきた。今年はI. kvalifikace na 132. Velkou pardubickou se Slavia pojišťovnou (NL)では8着と凡走したものの、III. kvalifikace na 132. Velkou pardubickou se Slavia pojišťovnou (NL)では勝負に加わっての4着と調子を上げてきており、8歳と上がり目のある年齢であることを考えると、ここでは楽しみな一頭になりそうだ。ただし、ここまで主戦を務めていたJan Kratochvílが落馬負傷のためLukáš Matuskýに乗り替わるのは若干微妙な材料だろう。Lukáš Matuskýはチェコでは超一流の障害騎手で、2020年のVelká PardubickáをHegnusとのコンビで制している。Lukáš Matuskýとは初のコンビで、チェコの名手がこの馬の新たな一面を引き出してくれることに期待したい。
8. CHICNAME DE COTTE (FR) (AQPS), 10 J: ž. Ludovic Solignac T: Pavel Vítek (Jockey Club.cz)
いつもの血統データベースがAQPSをはじめとする非サラブレッドのデータを悉く削除するという迷惑千万な大改悪を行っており、この馬も過去には登録されていたのだがすでに削除されている。姉妹サイト(All Breed Database)にも登録されていないようで、ひとまず代替案としてチェコJockey Clubのデータベースを参照している。
Chicname De Cotteの父Nicknameは元々フランス障害馬で、2003年のPrix Renaud Du Vivier (G1)を勝利するなど、フランスHaiesでは高いパフォーマンスを発揮してきた馬である。その後はアイルランドに移籍すると、2006年のDial-A-Bet Chase (G1)の勝利をはじめ多数の重賞勝ちを収め、引退後はフランスで種牡馬生活を送った。障害種牡馬としてはなかなかに成功したようで、2020年のKing George VI Chase (G1)を勝利したFrodon、2019年のAscot Chase (G1)を制したCyrname、2014年のPrix Maurice Gillois (G1)を制したRoyale Flagなど、複数の活躍馬を送り出している。残念ながら2011年の夏に骨折により死亡したようで、残された産駒は多くはない。Chicname De Cotteの母Pensee De CotteはSelle Françaisで、フランス障害馬としてClunyのSteeplechaseで1勝を挙げた。Chicname De Cotteは祖母Vanille De Cotteの父ItalicがSelle Françaisというパターンで、牝系自体はサラブレッドに由来する。Italic自身はSelle Françaisだが、例によってSelle Françaisの牝馬にサラブレッドが交配されてきたというパターンで、非サラブレッドとしてはItalicの5代母Elizaの父IcareがTrotterというところまで遡らなければならず*6、従ってChicname De Cotteは分類上AQPSになるとはいえ、その血統表の殆どはサラブレッドが占めている*7。
Chicname De Cotteは元々フランスのCross Country Horseで、2018年のGrand Cross De Pau (Listed)では4着の実績もある。2019年にチェコに移籍してからのしばらくはさっぱりだったのだが、2019年のVelká Pardubickáでは人気薄ながら後方から押し上げていくレース運びで3着に食い込んだ。そこから2年近い休養を経て復帰したのが2021年のCna Vltavy (NL)で、今年のI. kvalifikace na 132. Velkou pardubickou se Slavia pojišťovnou (NL)ではとりあえず完走は果たすも勝ち馬から12秒ほど遅れた最下位、Cena společnosti Explosia a.s. (II. kat.)でも勝ち馬からやはり12秒ほど遅れた最下位とさっぱりだったのだが、前走のIII. kvalifikace na 132. Velkou pardubickou se Slavia pojišťovnou (NL)ではPlayerから僅差の2着に入る激走を見せた。どうやら距離は長ければ長いほどいいようで、かつての実力馬が様々な経緯を経てようやくこの路線に順調に乗ってきたという経過を踏まえると注意しておかなければいけない一頭だろう。また、これまでは後方からロングスパートをかけていくレース運びが目立っていたのだが、前走のIII. kvalifikace na 132. Velkou pardubickou se Slavia pojišťovnou (NL)では好位からレースを進めており、この馬の新たな可能性を示すことに成功したことは興味深い材料である。Ludovic Solignac騎手はフランスの障害騎手で、今年は5月からかなり精力的にPardubiceに遠征している。ここまでなかなか勝ち星に恵まれてはいないのだが、フランス障害騎手らしく複雑なCross Country Courseを無駄なく進み、スピードを殺さずにロングスパートを掛けていく技術はさすがのもので、騎乗馬を実績以上の結果に導いている。Chicname De Cotteとの相性も良好のようで、フランスで結果を残してきたチェコ未勝利馬とチェコ未勝利騎手のコンビによる大仕事があっても不思議ではない。
9. DUSIGROSZ (FR), 9 J: ž. Marek Stromský T: Josef Váňa st. (Pedigree)
父Full of Goldはフランスの平地馬として現役生活を送り、引退後はほぼフランスで種牡馬生活を送ったようだ。晩年はイギリスに輸出されているが、輸出直後に死亡している。種牡馬としての代表産駒はこのDusigroszのほか、2022年のGrand Steeplechase Cross Country De Fontainebleauを制した牝馬Jacrack A La Motteが挙げられる。Full of Goldの祖父Goldneyevは障害種牡馬として優秀で、Prix Alain Du Breil (G1)を制したUsual Suspects、Arkle Novice Chase (G1)の勝ち馬Trifolium、最近でもAsoがイギリスHandicap Chase路線で活躍している。Nureyevの末裔は現代障害競馬でもちらほらと姿を見かけることが多く、その代表的なところはやはりPrix Renaud Du Vivier (G1)等を制し快速で知られたBlue Dragon等を送り出したCalifetだが、面白いところでは2010年から2011年にかけてイタリアGran Corsa Di Siepi D'Roma (G1)等を勝利したFrammassoneはイギリスで種牡馬生活を送っているほか、日本の芝1マイル路線で活躍したブラックホークはシャトル種牡馬としても活動し、オーストラリアではGrand National Hurdle等を制した名馬Black And Bentを送り出した。
Dusigroszはチェコ・イタリア辺りの障害競馬を見ている人であればややここでは意外な名前だろう。2016年にPolish St. Legerを制した同馬は2017年から障害入りし、早速MeranoのCriterium Di Primavera (G2)を制している。その後はフランスの障害競走を転戦しつつ、2019年にはGran Premio Merano (G1)にも挑戦している。Cross Countryには2019年頃に挑戦するも結果は出ず、結局その後はチェコSteeplechaseを主に使い、Velká mostecká steeplechase (I. kat.)を連覇、PardubiceのZlatý pohár (NL)などを制し、長らくチェコ国内のSteeplechase路線の常連として頑張ってきた。今年はLysá nad LabemのMemoriál Evy Palyzové o pohár hejtmanky Středočeského kraje (I. kat.)で久々のCross Country戦を勝利すると、前走はIV. kvalifikace na 132. Velkou pardubickou se Slavia pojišťovnou (NL)にてImphalの2着に入ってここに挑んできた。8月のIII. kvalifikace na 132. Velkou pardubickou se Slavia pojišťovnou (NL)ではVelký anglický skokでの大きなミスが原因でそこから勝負からは脱落し大敗に終わっているのだが、ひとまずそこからパフォーマンスを上げてきたということは喜ばしい内容だろう。元々能力的には高いものを持っている馬で、このような馬のCross Country転向は楽しみな材料である。ただし、IV. kvalifikace na 132. Velkou pardubickou se Slavia pojišťovnou (NL)は有力馬が揃って落馬したというレースで、これがCross Countryは7戦目、それも一度はCross Country転向に失敗し、つい最近までSteeplechaseを使っていた馬となると、Cross Countryにおける経験面では不安が残るのが現状である。Marek Stromskýはとにかくこのレースには縁がない人で、2度も1位入線を果たすも2度とも失格になっているという不幸っぷりである。Amant Grisではコースを間違えたことによるもの、Nikasはレース後に禁止薬物が検出されたとのことで、持っている技術は一流であるだけにいい加減いいことがあって欲しいものである。
10. DULCAR DE SIVOLA (FR), 9 J: Josef Borč T: Vendula Jirčáková (Pedigree)
Dulcar De Sivolaの父AssessorはNiniskiの産駒で、障害種牡馬としては2012年から2014年にかけてLong Walk Hurdle (G1)を3連覇したReve De Sivolaや、2007年Arkle Challenge Trophy (G1)の勝ち馬My Way De Slzen等を送り出している。Nijinkyの分枝として、Niniskiの系統は障害競走という観点では近年隆盛のSaint Des SaintsやBuck's Boum等を有するGreen Dancer - Cadoudalの系統と比較すると若干小粒ではあるものの、その役者としての数は多く、最近ではNiniski - Hernando - Sulamaniの系統がイギリス・アイルランドHurdle戦線で圧倒的なパフォーマンスを見せている歴史的な名牝Honeysuckleを輩出している。
Dulcar De Sivolaはこれでこのレースは4度目の挑戦となる。元々フランス障害競走を走っていた馬で、2018年からチェコに移籍、それ以降は毎年Velká Pardubickáを目指して精力的にレースに出走している。しかしながら、Velká Pardubickáでは2019年は9着、2020年は11着、2021年も9着と、さっぱり良いところはない。そもそもここに向けたQualification Raceはここまで6走していずれも完走しているが、そこでも特段勝負に加わることが出来たということはなく、2020年のI. kvalifikace na 130. Velkou pardubickou se Slavia pojišťovnou (NL)で勝ち馬から2秒ほど離れた4着に入ったのが最高である。今年もすでに3戦しているが、その全てで大敗続きで、いくらなんでもここでいきなり大駆けするということは考えにくいだろう。コンスタントに頑張っている馬だけになんとか一つでも上を目指して欲しいところだが、9歳となった今年も特段馬が変わってきたというところもなく、状況的にはかなり厳しそうだ。Josef Borč騎手も2018年にMimoňのSteeplechaseで勝利したのを最後に勝ち星はない。管理するVendula JirčákováはDobšiceに拠点を構える女性調教師で、2022年からどうやら7頭ほどの馬を管理しているようだが、今のところフランスからの移籍馬であるDerby PlusがCena Arnošta z Pardubic (II. kat.)で2着に入ったのが最高で、未だに勝ち星はない。なお、"-ová"とはチェコ語における女性の苗字の語尾変化である。
11. SACAMIRO (CZE), 9 J: Jakub Kocman T: Eva Petříková (Pedigree)
父CamillはMonsunの産駒で、どうやらチェコ・スロバキア平地競争にてかなりの実績を残した馬のようだ。Camillは残念ながら障害競走には出走しないままチェコで種牡馬入りし、現在はポーランドで繋養されている。その産駒数はあまり多くはないようだが、産駒の中にはCena portálu Česko země příběhů a Cena ČASCH (NL)等を勝利し、チェコCross Countryの3000メートルクラスの路線で活躍を続けるMedicが含まれている。このMonsunの系統は近年の障害競馬でもかなりの存在感を示しており、Network、Samum、Shirocco、Arcadio、Manduro、Gentlewave、Gateway、Maxiosなど、障害種牡馬として成功した馬が多数含まれている。面白いところではNetworkの産駒であるVoiladenuoはPrix Leon Rambaud (G2)の勝ち馬だが、AQPSの競走馬としては珍しくフランスで種牡馬入りし、なかなか多数の牝馬を集めるなど人気のようだ。Sacamiroの母SaraはチェコでMemoriál Rudolfa Deyla (NL)等を制した名牝だが、その産駒の活躍はSacamiroを除けば平地競争に限られる。
Sacamiroは2020年からPardubiceのCross Countryに参入した馬で、さすがにその年のCena Labe (Listed)では歯が立たなかったようだが、2021年にはCena Catering Melodie (II. kat.)で初勝利を挙げると、Aeneasがやたらと強い競馬を見せた2021年のCena Labe (Listed)では2着争いに食い込む走りを見せた。今年からVelká Pardubickáに向けたQualification Raceに参戦しており、II. kvalifikace na 132. Velkou pardubickou se Slavia pojišťovnou – Memoriál Mjr. M. Svobody (NL)ではTalentの2着に入り、力をつけていることを示している。III. kvalifikace na 132. Velkou pardubickou se Slavia pojišťovnou (NL)では案外6着と振るわなかったのだが、とはいえ勝ち馬からは1秒程度しか離されておらず、きっちり勝負には加わっているのであまり悲観しなくていいだろう。Cross Country当初から長い距離を使われていたように距離延長自体はさほど気になくてもよさそうで、比較的上がり目のある馬ということで期待してもよさそうだ。
12. LOMBARGINI (GER), 11 J: ž. Jan Odložil T: Stanislav Popelka (Pedigree)
Alydarの系統に連なる父Enjoy PlanはAlyshebaの全弟で、種牡馬としては、2003~2007年のイタリア障害にて活躍し、Gran Premio Merano (G1)、Grande Steeplechase Di Milano (G1)を勝利したKolorado、2014年のWielka Wroclawskaの勝ち馬Jam Taki、2018年のWroclawのCrystal Cupを制したSztormなどを送り出している。Lombarginiはドイツ生産馬だが、Enjoy Planはポーランドで種牡馬生活を送ったようで、まだチェコにも僅かに現役の競走馬が残っている。Alydarの系統出身の活躍馬としては、2003年の中山グランドジャンプに参戦したフランスのEscort Boyが挙げられるが、ここ10年ほどの障害競馬における活躍馬は概ねこのEnjoy Planの産駒に限られる。Lombarginiの母LariaはSlušoviceのCross Countryを1勝した馬で、このLombarginiのほか、2021年のWroclawのCrystal CupやPrvomájová steeplechase města Lysá nad Labemを勝利し、14歳となった今年も活躍を続けるチェコの古豪Larizanoを送り出している。
Lombarginiは元々Cena Labe (Listed)にて2年連続で2着に入っていた馬だが、昨年のIII. kvalifikace na 131. Velkou pardubickou se Slavia pojišťovnou (NL)では強い競馬で勝利し、悲願の制覇がかかったCena Labe (Listed)ではなくあえてVelká Pardubickáを使ってきた。しかしながらVelká Pardubickáでは終始飛越にミスを繰り返した挙句落馬に終わると、今年初戦のIII. kvalifikace na 131. Velkou pardubickou se Slavia pojišťovnou (NL)でも落馬、IV. kvalifikace na 132. Velkou pardubickou se Slavia pojišťovnou (NL)でもとりあえずは完走は果たしたものの、あまり元気なく前から離れた3着と、あまり良いところがない。昨年のVelká Pardubickáで落馬するまでは比較的コンスタントに走っていた馬なのだが、2018年頃から力をつけてくる前はやたらと落馬を繰り返していたこともあり、11歳とだいぶ年齢を重ねてきてからの下り調子であることを考えると、状況的には昨年と比べるとあまり良いものではなさそうだ。
13. STAR (GER), 11 J: ž. Jaroslav Brečka T: Jaroslav Brečka (SVK) (Pedigree)
Starの父SternkönigはGrey Sovereign - Zeddaan - KalamounからKalaglowを経るラインの出自で、種牡馬としては2006年のGran Corsa Siepi Di Milano (G1)の勝ち馬Piedmontを送り出している。また、Sternkönigの産駒であるBonvivantは種牡馬としては2015年のSvenskt Grand Nationalの勝ち馬でドイツ調教馬のLändlerを送り出しており、ヨーロッパ障害競馬においてそれなりに馴染みのある系統ではある。StarはSternkönigに残された数少ない現役競走馬の一頭である。Zeddaanの末裔としてはHighest Honorを経るNo Risk At Allがフランス障害競馬において大成功を収めており、イギリスChampion Hurdle (G1)の勝ち馬Epatanteをはじめ、多数の活躍馬を送り出している。日本に輸入された*トニービンもまたZeddaanの末裔で、最近でもジャングルポケットの産駒であるティリアンパープルが新潟ジャンプステークス (G3)を制している。
Starはスロバキア調教馬。チェコJockey Clubによると未去勢の牡馬らしいが、同データベースはどうにもスロバキア調教馬に関する情報が怪しいところがあり、おそらく常識的には既に去勢されていると思われる。Velká Pardubickáは2度目の挑戦となるが、Cross Country経験としてはたったの5戦目であったにも関わらず参戦した昨年は終始破天荒なレースぶりが目立っており、道中でペースが緩んだ地点で行きたがって走っていたりと苦労していたようだが、最終障害に至るまで大きく馬群からは脱落せず、結果的に6着に入線している。今年はI. kvalifikace na 132. Velkou pardubickou se Slavia pojišťovnou (NL)ではとりあえず完走は果たすも大敗、IV. kvalifikace na 132. Velkou pardubickou se Slavia pojišťovnou (NL)では途中で空馬にぶつけられて競走中止とあまり良いところはないのだが、とはいえ比較的経験の浅い馬が経験を積んだことによる上積みに期待したい。どうやら距離は伸びた方がよさそうな印象もある。Jaroslav Brečkaはスロバキアでは実績のある調教師で、調教師兼騎手として今年に入っても精力的にレースに騎乗している。Jockey Clubのデータベースを遡ると1989年の成績すら出てくるという鉄人で、今年で57歳になる。チェコの伝説的騎手Josef Váňaがやはりチェコの伝説的な名馬Železníkとのコンビで勝利した1989年のVelká Pardubickáにも騎乗した実績があり、Josef Váňaが2019年以来騎乗していない現状、1989年のVelká Pardubickáに参戦した騎手の中で現役で残っているのはもはやこの人くらいだろう。Jaroslav Brečkaは騎手としてVelká Pardubickáは1992年にQuirinusとのコンビで勝利しており、昨年はStarに騎乗するため頑張って減量していたようだ*8。Velká PardubickáはStarとともに2年連続の出走となる。
14. TALENT (CZE), 11 J: ž. Pavel Složil ml. T: Hana Kabelková (Pedigree)
父のEgertonはドイツ生産馬で、ソングオブウインドやアドマイヤメインが参戦したHong Kong Vase (G1)にも出走していた馬である。Egertonの代表産駒としては、2015~17年頃にハンガリー障害競走において無敵を誇り、イタリアのGran Corsa Siepi Di Milano (G1)などでも2着と活躍したハンガリーの英雄Diplomataが挙げられる。他にも、Velká starohájska steeplechaseを連覇したSegona、Cena Laty Brandisovéの勝ち馬Poinsettia、更には昨年Cena ČASCHを強い勝ち方で制したGatsbyもEgertonの産駒で、チェコではなかなか馴染みのある種牡馬である。残念ながら2021年に亡くなっているが、しばらくその産駒の活躍は期待できそうだ。Egertonの父*グルームダンサーは日本にも輸入されたようだが、ヒカルシンデンという馬が障害未勝利戦を勝利したのみに留まったようだ。
Talentは昨年のVelká Pardubickáの勝ち馬で、Velká Pardubická自体は2019年、2020年、2021年に続き4回目の参戦となる。早くからその才能を高く評価されながらも度重なる故障を乗り越えてきたベテランで、昨年はこのVelká Pardubickáを大目標に馬のピークを持ってきた陣営の涙ぐましい努力が報われた勝利であった。今年はII. kvalifikace na 132. Velkou pardubickou se Slavia pojišťovnou – Memoriál Mjr. M. Svobody (NL)を快勝し調子の良さを見せていたのだが、直前のIV. kvalifikace na 132. Velkou pardubickou se Slavia pojišťovnou (NL)ではNight Moonの落馬に巻き込まれる形で競走中止に終わっている。この落馬自体はこの馬自身のミスではないことから飛越技術の面ではさほど悲観する必要もないのだが、一方で落馬による軽い負傷もあったという話もあるようで、元々早いギャロップが十分にできず脚元への負荷を避けるために水泳を用いたトレーニングを多用するなど、かなり工夫しての仕上げを行っている現状、やや前走の落馬からの経緯は気になる材料だろう。能力的には紛れもなく一線級で、11歳となった今年も力落ちはなさそうなのだが、一方で昨年もVelká Pardubická以外の競走における本気度という点ではかなり怪しく、ほぼVelká Pardubickáのみに目標を絞ってきていたということもあり、馬の健康状態の面では懸念材料がないわけではないというのもまた現状である。なお、写真はまるで勝った馬のように夕陽を浴びているが、この年は7着であった。Velká Pardubickáを勝利するのはこのときから2年後のことである。
15. PLAYER (CZE), 10 J: ž. Marcel Novák T: Lenka Kvapilová (Pedigree)
父MoonjazはNashwanの産駒。イギリス生産馬ながらチェコに輸出された種牡馬で、2018年Gran Corsa Siepi Di Merano (G1)の勝ち馬Aztek、2019年Gran Criterium D'Autunno (G1)の勝ち馬Night Moon、2014年のVelká Pardubickáで3連覇を狙った伝説的名牝Orphee Des Blinsを僅差まで追い詰めたAl Jazなどを輩出している。特にNight Moonは元々イタリアSiepiで高い能力を見せてきた馬だが、昨年辺りからPardubiceのCross Countryに参戦しており、その高い能力をいかんなく発揮しており、次世代のチャンピオンとしての期待も高いようだ。IV. kvalifikace na 132. Velkou pardubickou se Slavia pojišťovnou (NL)では残念ながら落馬に終わったが、来年以降非常に楽しみな一頭だろう。ただし、Nashwanの系統はあまり近年の障害競馬では馴染みがなく、近年は種牡馬としてクロノジェネシスを輩出した*バゴがこのNashwanの産駒だが、Moonjazはその数少ない砦である。Playerの母父Scaterというのがなかなかに味があってよいのだが、母Play Stationはチェコ平地競争で5勝をあげた馬で、一度だけPardubiceのHurdle戦にも出走している。Play Stationには概ねPop RockかMoonjazが交配されたようで、Playerの兄弟としてはPlaymonaという牝馬が平地競争で計8勝をあげたようだ。ちなみにPlayerの兄弟の中には、父Scaterという恐ろしい近親交配であるPanamaという馬がいるのだが*9、なにかの間違いだろうか。
Playerは2020年のVelká Pardubickáの2着馬。Velká Pardubická初参戦となった2019年はコーナーで滑って転倒、2021年はVelký Taxisův příkopで落馬している。今年初戦となったI. kvalifikace na 132. Velkou pardubickou se Slavia pojišťovnou (NL)は5着と冴えなかったのだが、続くIII. kvalifikace na 132. Velkou pardubickou se Slavia pojišťovnou (NL)ではきっちりと勝利し、ここに向けて実力上位であることを見せた。Velká Pardubickáはこれで4度目の挑戦だが、やはりコース経験やここまでの実績的には明らかに実力上位な一頭だろう。Marcel Novákは実績のある騎手だが、2016年のHurdle戦以降Playerと一貫してコンビを組んでいる。これまでも先行策で結果を残している馬だが、暴走気味のペースを作るというよりは淡々としたペースを刻んでいくタイプで、III. kvalifikace na 132. Velkou pardubickou se Slavia pojišťovnou (NL)でも終盤でぐっとペースを上げていく展開を作り出している。今回もおそらく展開の鍵を握ることになることが予想され、この馬が引っ張るのであれば過去にBridgeurやUniverse of Gracieが引っ張ったときのような極端な消耗戦にはならないことが想定される。
参考記事(2022年10月7日追記)
〇 Po každém zranění bych nejraději skončil, přiznává žokej Bartoš. Vysvětlil, proč se nekreslí cílová čára (iROZHLAS)
今年はBrunch Royalに騎乗し、Velká Pardubickáは4度目の優勝を目指すJosef Bartoš騎手のインタビュー。色々と注目を集めている騎乗馬Brunch Royal、PardubiceとフランスCross Countryとの比較、近年改善されたTaxis Ditchの安全性、更には騎手としての活動内容の詳細や今後の展望など、Velká Pardubickáに向けて様々な話題について言及されている。
〇 Váňa ml.: Brunch Royal si veze velkou kvalitu, ale malé zkušenosti (dostihový svět)
上記Brunch Royalに関するJosef Váňa mladší(Josef Váňa Jr)調教師の見解。Premio Delle NazioniはAlmost Humanがかなりゆったりとしたペースで引っ張ったことから疲労の点では特段問題はないそうだが、Pardubiceの経験がないことはやはり懸念材料のようだ。
〇 Trenérka o obhájci triumfu: Talent byl rozbombardovaný, ale je v pořádku (iSport.cz)
連覇を狙うTalentを管理するHana Kabelková調教師のインタビュー。4th Qualification Raceでは落馬及びそれに伴う軽度の負傷があったようだが、出走することについては特段支障はないようだ。
〇 Původně jsme s ním chtěli jít Cenu Labe, ale výkonem v kvalifikaci si řekl o Velkou, říká Martin Liška o Arganovi (Fitmiin & TURF Magazin)
Martin Liška調教師にとっては2度目のVelká PardubickáとなるArganoに関して。元々はCena Labeを予定していたそうだが、Qualification RaceでうまくいったのでVelká Pardubickáにターゲットを切り替えたそうだ。Martin Liška調教師の見解としてはTalentが最有力、及びMr Spexも有力候補として挙げられている。
〇 Mr Spex je v minimálně stejné, ne-li lepší formě než loni, říká trenér Urbánek (Fitmiin & TURF Magazin)
昨年は人気薄ながら好走したMr Spexについて、Luboš Urbánek調教師としては昨年よりも同等以上の状態にあるとの見解が述べられている。ただし、気温が上がりすぎない方が良いとのことで、当日の気温については気にしているようだ。
〇 Popelka: Ve Velké se vždy najde překvapení (dostihový svět)
今年はImphal、Lombargini、Strettonの3頭を送り込むStanislav Popelka調教師の記事。StrettonについてはPardubiceのCross Countryは問題とならない一方で、Imphalはこのレースは未経験、Lombarginiは飛越に問題がある可能性があることが述べられている。
〇 Francoužstí polokrevníci jsou do Pardubic ideální, míní trenér Chicname de Cotte Pavel Vítek (Fitmiin & TURF Magazin)
2019年のこのレースで3着に入ったAQPSであるChicname De Cotteに関する記事。Pavel Vítek調教師は故障のあった馬であることから馬場は柔らかいものが望ましい旨を述べている。また、AQPSの障害競走における優位性や、Ludovic Solignac騎手の手腕に関する記載もある。
〇 Eva Petříková: What is the dark horse for the Velka? It’s our Sacamiro! (dostihový svět)
Sacamiroを管理するEva Petříková調教師のインタビュー。元々陸上競技を行っていたようだが、15歳で競馬場の求人広告を見てこの世界に入ったそうだ。Eva Petříková厩舎は全5名の小規模な厩舎で、全員がフルタイムで異なる職業をしており、師は地元の農業中学校で教師をしているらしい。
〇 Slovenský „Váňa“ sní o triumfu. Třicet let poté, co Velkou vyhrál (iSport.cz)
チェコではスロバキアの"Josef Váňa"とも言われるJaroslav Brečkaに関する記事。今年はStarに騎乗するJaroslav Brečkaは1989年にはじめてVelká Pardubickáに参加し、1992年にQuirinusとのコンビで勝利している。これが騎手としては11回目の参戦になるそうだ。
〇 Pred 132. Velkou pardubickou: Kaiserwalzer a Star (Turfsport.sk)
上記Jaroslav Brečkaの管理馬であるKaiserwalzer及びStarはスロバキア競馬メディアでも紹介されている。
〇 Velká pardubická – trendy posledních 10 ročníků (Tipařův palec)
過去10年間のVelká Pardubickáの統計データに関する記事。どうやら統計データを踏まえるとImphalが最有力候補のようだ。当ブログの管理人はこの類の「データ」をあまり信用していないが、好きな人は適宜参考にされたい。
〇 Form Guide for 2022 Velka Pardubicka (Velka Pardubicka Steeplechase)
Chirs Simpson氏による今年のVelká Pardubickáの分析記事(英語)。氏はImphal、Chicname De Cotte、Talent、Argano、Playerを高く評価しているようだ。
〇 Vítězové Velké pardubické: historii dominuje Josef Váňa a Železník (iSport.cz)
Velká Pardubickáの過去の勝ち馬に関する記事。
〇 Chaloupkovy vzpomínky na Velkou: Každý pád ruského koně se oslavoval (iSport.cz)
上記の記事で紹介されているのだが、1969年にKorokを初め、これまでにVelká Pardubickáを4度も勝利したVáclav Chaloupka騎手のインタビュー記事が面白かったのでここにも記載する。1967年の同レースはソ連のDresděnが勝利し、1968年はプラハの春の影響によりVelká Pardubická自体が中止、代替競走としてVelká Chuchlaでのレースが行われたそうだが、その翌年のVelká Pardubickáはソ連の馬が落馬するたびに観客から喝采が上がるなど、異様な雰囲気の中で行われたそうだ。
〇 Barbora Miksánková-Málková: Důležité je podat ruku včas (dostihový svět)
過去Charme Lookに騎乗していたBarbora Miksánková-Málková騎手のインタビュー。現在は騎手として活動はしておらず、乗馬学校の運営を行っているそうだ。今年のVelká Pardubickáに合わせて、白血病に罹患した2歳の小児の治療のためのチャリティーイベントなどを企画している。
〇 Velký návrat vítěze z roku 2020. Hegnus přivede koně na start Velké pardubické (iSport.cz)
2020年の勝ち馬で今年で14歳になるHegnusは今年のVelká Pardubickáのセレモニーパレードに参加するそうだ。2020年はCOVID-19の影響で無観客開催を強いられており、障害馬としての長いキャリアが結実したHegnusの勝利は例年と比べると寂しい光景となったが、この偉大なチャンピオンが観客にもとに戻ってくることになる。
〇 Tipsport má nakročeno k rekordnímu obratu na pardubický mítink. Oproti loňsku je v tuto dobu dvojnásobný (Fitmiin & TURF Magazin)
10月6日の時点でチェコブックメーカーであるTipsportsにおけるVelká Pardubickáの売り上げは昨年のこの時点での売り上げを大幅に超過しており、記録的な売り上げとなった昨年を越える可能性があるそうだ。
〇 Ir sní o triumfu ve Velké. Vysvětlil, proč sem nejezdí ostrovní koně (iSport.cz)
Velká Pardubickáに参戦するPatrick Mullins騎手のインタビュー記事。イギリス及びアイルランドのCross Country HorseがVelká Pardubickáに参戦することの難しさについて言及するとともに、障害競馬における国際交流の発展を期待する旨が述べられている。
〇 Jak přilákat cizince? Pardubicím škodí izolace, pomohla by změna termínu (iSport.cz)
今年のVelká Pardubickáの出走馬はチェコ及びスロバキア調教馬に限られるが、Velká Pardubickáにおける国外調教馬の誘致に関する記事。過去、Miroslav Petráňという政治家がイギリスやアイルランドとの関係構築に尽力し、2010年にはCrystatl Cupの創設に関わっていたそうだ。また、Velká Pardubickáの日程はAuteuilの重要な開催とも競合する点が指摘されている。
参考記事(2022年10月8日追記)
〇 Ženy a dostihy? Dobře, že ses zranila, psali jezdkyni Charme Looka (iSport.cz)
こちらも過去Charme Lookに騎乗していたBarbora Miksánková-Málková騎手のインタビュー。dostihový světとは若干内容が異なっている。近年チェコ平地競争では女性騎手の勢いが勝っており、一方で障害競馬では若い騎手の確保に苦労しているが、障害競馬における女性騎手が直面する問題について述べられている。
〇 Jubilant a svéráz Myška: Většina koní do Velké výkonnostně nepatří (iSport.cz)
Imphalに騎乗予定のJaroslav Myška騎手のインタビュー。記事中にはEvženの経緯についても言及がある。
〇 Garner relishing chance to be first Briton to land famous Czech chase since 1995 (Racing Post)
Thomas Gargerに関するRacing Postの記事。土曜日にはアメリカMiddleburg競馬場で騎乗したのち、そこからチェコに向かうらしい。アメリカはAmerican Grand Nationalも近いのですぐにアメリカに戻るということで、そのタフネスには恐れ入る。
*1:Velká pardubická - Wikipedia
*2:Fitmin & TURF Magazín - S trenéry před sezónou (9.) - Martin Liška připravuje Partenitova polobratra a další nové koně
*3:RACING: Jump jockey Tom Garner keeps his seat to win a race in Slovakia with no saddle nor stirrups | Wilts and Gloucestershire Standard
*4:British jump jockey Tom Garner plays his part in dramatic US flood rescue
*5:Jsi hotovej, dej bič! Kanón Fatal Mac Velkou nezvládl, co Brunch Royal? | iSport.cz
*6:22/07/18 フランス障害競馬における非サラブレッド種牡馬 ③ - にげうまメモ
*7:過去を遡れば非サラブレッドで塗り固められたようなSelle Françaisも存在したようだが、近年のフランス障害競馬におけるSelle Français及びAQPSは殆どがこのようなパターンである
*8:https://isport.blesk.cz/clanek/ostatni-velka-pardubicka/403365/velkou-vyhral-pred-29-lety-ted-jede-znovu-brecka-55-musi-hubnout.html