にげうまメモ

障害競馬の個人用備忘録 ご意見等はtwitter(@_virgos2g)まで

23/10/08 Czech Racing - Velká Pardubická Entries

Pardubice (CZE)

133. Velká pardubická se Slavia pojišťovnou

Steepelchase Cross Country - cena Listed - 6+ - 6900 m - 5,000,000 Kč (2,000,000 - 1,100,000 - 700,000 - 500,000 - 350,000 - 200,000 - 150,000)

当ブログではすっかりお馴染みのヴェルカ・パルドゥビツカ、古くはチェコのあれ。当該競走に関するコースやレース条件、中継サイト等の情報の詳細は以下のカテゴリーの記事等を参照されたい。

チェコ競馬-Velka Pardubicka(にげうまメモ)

本競走の出走条件は2023年に一部の変更が行われている。レース条件の詳細はチェコJockey Clubのホームページ*1を参照されたい。当該変更から想定される影響等については今年の3月に以下の記事にて考察している。なお、2023年のQualification Raceにおいては当該変更に伴って出走権利の獲得要件を満たさなかった馬は存在しなかった。

23/03/06 Velká PardubickáのQualification Raceに関する考察(にげうまメモ)

このレースに向けて計4回のQualification Raceが行われた。レース映像等へのリンクは以下の記事を参照されたい。なお、2023年から6月に行われる2nd Qualification Raceのレース条件等が変更となっていることに留意されたい。

23/05/21 Weekly National Hunt / Jump Racing(にげうまメモ)

23/06/25 Weekly National Hunt / Jump Racing(にげうまメモ)

23/08/06 Weekly National Hunt / Jump Racing(にげうまメモ)

23/09/03 Weekly National Hunt / Jump Racing(にげうまメモ)

 

その他の参考記事。

21/09/17 障害競馬入門⑦ - Crystal Cup - (にげうまメモ)

22/01/23 障害競馬入門⑫ - Trophée National du Cross - (にげうまメモ)

 

出馬表は以下のとおり。正式なものはチェコJockey Clubのホームページを参照されたい。

Jockey Club České republiky

その他、チェコ国内における前売りオッズ等はチェコブックメーカーのTipsportが詳しい。残念ながらJRAからVelká Pardubickáの馬券の発売はされていないが、本邦からブックメーカーを介した馬券の購入は控えることを強く推奨する。

Tipsport | Největší komunita sázkařů

 

No. Horse Jockey  Weight Trainer Owner
1 JET FIGHTER ž. Sean Francis O'Keeffe 70.0 Peter Maher (IRE) Douglas Taylor
2 ALPHA MALE ž. Petr Tůma 70,0  Peter Maher (IRE) Jonny Adams
3 SACAMIRO ž. Jan Faltejsek 70,0  Eva Petříková Jezdecký oddíl Beňov
4 LODGIAN WHISTLE ž. Ondřej Velek 70,0  Josef Váňa st. Statek Chyše-Váňa
5 LOMBARGINI

Adam Čmiel

→James Best

70,0  Stanislav Popelka  EŽ Praha a.s.
6 DULCAR DE SIVOLA Josef Borč 70,0  Vendula Jirčáková  DiJana Dobšice
7 ROYAL GINO

ž. Jan Odložil

→Adam Čmiel

70,0  Marián Štangel (SVK) Nýznerov SK 
8 PLAYER ž. Marcel Novák 70,0  Lenka Kvapilová  Nýznerov
9 ZATARO ž. Jakub Kocman 70,0  Stanislav Popelka  Ramzová
10 STAR ž. Marek Stromský 70,0  Hana Kabelková  MPL Racing CZ
11 ARGANO ž. Martin Liška 70,0  Martin Liška  Marek Šimák
12 STUKE ž. Benoit Claudic 70,0  Radek Holčák  K-K Metal a.s.
13 MR SPEX am. Patrick Mullins 70,0  Luboš Urbánek  Lokotrans
14 TALENT ž. Pavel Složil ml. 70,0  Hana Kabelková  DS Kabelkovi
15 SANTA KLARA ž. Jan Kratochvíl 68,0  Josef Váňa ml. Scuderia Aichner SRL
16 IMPHAL ž. Ludovic Solignac 70,0  Stanislav Popelka  Zámecký vrch
17 KAISERWALZER ž. Jaroslav Myška 70,0  Jaroslav Brečka (SVK) DS Millennium
18 GODFREY Daniel Vyhnálek 70,0  Dalibor Török  DS Pegas

 

 

表記フォーマットは以下のとおり。

  • 馬番. 馬名 (生産国), 年齢 J: 騎手 T: 調教師 (血統表へのリンク)

 

1. JET FIGHTER (IRE), 6 J: ž. Sean Francis O'Keeffe T: Peter Maher (IRE) (Pedigree)

父Jet Awayは日本でもお馴染みCape Crossの産駒で、引退後はアイルランド種牡馬入りし、その代表産駒としては2022年にEBF Mares Novice Hurdle Final (G1)を勝利した牝馬Brandy Loveが挙げられる。ただ、まだあまり繋養年数が長くないということもあってか活躍馬は少なく、他にはCool Jetという馬が2023年にアメリカGreen Pastures Stakesを勝利した程度である。Cape Crossの子孫としては日本でもお馴染みSea The Moonの産駒が比較的頑張っており、特にその能力を高く評価されていたAllmankindは2020年のHenry VIII Novices' Chase (G1)を勝利するなど結果を残しているほか、Golden Hornが最近になって主にイギリスHurdle競走において活躍馬を送り出しており、Intermediate Handicap Hurdle (Premier Handicap)を勝ったFirst Street、Leamington Novices' Hurdle (G2)の勝ち馬Stag Horn等がその代表産駒として挙げられる。この系統は日本でも*ベーカバドがペガサスジャンプステークスを勝ったビレッジイーグルを送り出していることで馴染みがあるだろう。なお、Cape Cross自身は2012年のニュージーランドGrand National Steeplechase (PJR)の勝ち馬Cape Kinaveralを送り出していることで障害競馬とも所縁がある。

Jet FighterはアイルランドPeter Maher厩舎の所属馬である。アイルランド調教馬がこのレースに出走することは近年では珍しく、アイルランドCross Countryで有名なEnda Bolger調教師が2013年にMount Sion、Freneys Well、Zest for Lifeの3頭を送り込んできたのが最後である*2。Kildare州Naasの近くに拠点を構えるPeter Maherは2013年にGlenfarclas Cross Country及びLa Touche Cupを制したBig ShuやBallyboker Bridge、Mtada SupremeといったCross Country Specialistの調教師として知られており、特にBallyboker Bridgeが15歳となった2022年のLa Touche Cupにて、PunchestownのBank Courseにおける手本のような走りで勝利したことは記憶に新しい*3。Peter Maher調教師はどうやら最近はこのPardubiceへの挑戦を皮切りに主にフランスを中心としたアイルランド国外のCross Country競走へも目を向けているようで*4、近年はLa Touche CupがCrystal Cupからも外れたアイルランドCross Countryの欧州Cross Countryにおける存在感の向上に寄与することを期待したい。

この馬は今年の9月に初めてPardubiceに参戦しているが、しかしながらCena deníku Právo (Stcc II. kat.)では後方でもたもたと飛越しつつなんとか追走に終始したといった程度で全くいいところはなく、途中一部の馬が走路を間違えたアクシデントによる棚ぼたで一旦は好位まで進出するも、そこからスピード負けして脱落というレースであった。肝心のアイルランドでもPoint-to-PointのMaiden競走を1勝したのみで、Cross Countryをはじめとする"Under-rules"での競争での実績があるわけでもない。どうやら9月のレースのあとはそのままPardubiceに滞在していたようで、それによる環境や大陸系Cross Country障害等への慣れに期待したいところだが、ここでまともに勝負になるためには相当なステップアップが要求されるというのが現状だろう。鞍上のSean O'Keeffeはアイルランドで経験のある騎手だが、これまでPardubiceでの騎乗経験はなく、この日の他のレースでの騎乗馬もなさそうで、Peter Maher調教師による勇気ある挑戦が報われて欲しいところではあるが、相当に厳しい戦いを強いられそうだ。

 

2. ALPHA MALE (FR), 12 J: ž. Petr Tůma T: Peter Maher (IRE) (Pedigree)

お馴染みSadler's Wellsの直系であるPoligloteの産駒。PoligloteはイギリスでJLT Melling Chase (G1)、Tingle Creek Chase (G1)を勝利した葦毛のPolitologueが代表産駒として良く知られているが、Velká Pardubickáを制したTzigane Du Berlaisや、2015年、2016年とGrand Steeplechase de Paris (G1)を制したSo French、道中全くやる気を見せないものの終盤になって復活してくる走りにより2023年Stayers' Hurdle (G1)で大穴を開けた愛すべきベテランSire Du Berlaisなど*5、欧州障害競走を中心に多数の活躍馬を送り出している。Poligloteの産駒にはパワー溢れる力強い馬体から繰り出される高いスピードの持続性能を武器にした馬が多く、特にフランスでは2010、2012、2013、2015、2016と計5度ものリーディングサイアーに輝いており、残念ながら2018年にPoliglote自身は亡くなっているのだが、未だにその産駒の活躍は欧州競馬において大きな存在感を放っている。どうやらPoligloteには後継種牡馬もいるようで、Irish Wellsが2018年のGran Corsa Siepi Nazionale (G1)の勝ち馬Vodka WellsやAnjou-Loire Challengeの勝ち馬Debut De Printempsを送り出しているほか、フランス障害競走への出走歴もあるDinkが2020年Desert Orchid Chase (G2)を勝利したスペイン産馬Nube Negraを送り出している。また、Toni Blueという馬がPrix De La Picardieの勝ち馬Monty Sagaを送り出している。

Alpha MaleはJet Fighterと同じくPeter Maher厩舎の所属馬で、今年で12歳になるアイルランドのHunter Chase Horseである。元々はNicky Henderson厩舎の所属馬であったが、2018年に現厩舎に移籍したのちはほぼUnder-rulesのHunter Chase又はPoint-to-Pointのみを使っているようだ。しかしながらこの馬もJet Fighterと同様、今年の9月に初のPardubiceのCross CountryとしてCena deníku Právo (Stcc II. kat.)に参戦した際はやはり後方でもたもたと飛越して追走に終始したのみといった内容であり、このPardubiceのCross Countryへの適性を見出すには至っていない。Hunter ChaseやPoint-to-Pointにて勝負圏内に入っていた2022年頃と比べると2023年に入ってからは大敗続きと、近走成績から考えると年齢的な影響を疑わざるを得ないというのが現状だろう。Hunter ChaseやPoint-to-Pointにおいて実績を残してきた馬という経歴を踏まえると、PardubiceのCross Countryで求められるスピード能力に足るものがあるかも疑問であり、アイルランドCross Country(Bank Course)においても特段の実績はないようだ。ひとまずJet Fighterと違って現地の騎手Petr Tůmaを確保できたことはプラス材料ではあるのだが、やはりJet Fighterと同様に相当に厳しい戦いを強いられるであろうというのが現状である。Petr Tůmaは比較的Pardubiceでは経験のある騎手だが、Velká Pardubickáは2021年にDulcar De Sivolaで参戦して以来の挑戦となる。

なお、今年のVelká Pardubickáの最高齢出走馬は12歳のAlpha Male、Lombargini、Star、Talentとなる。12歳馬としては2020年にHegnusが勝利しているほか、2014年、2000年にOrphee Des BlinsとPeruánがそれぞれ3連覇を達成している。一方で、出走要件ぎりぎりの6歳馬としてはJet Fighterのみの出走となるが、6歳馬の勝利は1981年の旧ソ連生産馬のSagarまで遡らなければならない。Sagarはその後同レースを3連覇している*6

 

3. SACAMIRO (CZE), 10 J: ž. Jan Faltejsek T: Eva Petříková (Pedigree)

父CamillはMonsunの産駒で、どうやらチェコ・スロバキア平地競争にてかなりの実績を残した馬のようだ。Camillは残念ながら障害競走には出走しないままチェコ種牡馬入りし、現在はポーランドで繋養されているようだ*7。その産駒数はあまり多くはないようだが、産駒の中にはCena portálu Česko země příběhů a Cena ČASCH (Stcc NL)等を勝利し、チェコCross Countryの3000メートルクラスの路線で活躍したMedicが含まれている。SacamiroはこのCamillの代表産駒である。このMonsunの系統は近年の障害競馬でもかなりの存在感を示しており、Network、Samum、Shirocco、Arcadio、Manduro、Gentlewave、Gateway、Maxiosなど、障害種牡馬として成功した馬が多数含まれている。面白いところではNetworkの産駒であるVoiladenuoはフランスPrix Leon Rambaud (G2)の勝ち馬だが、AQPSの競走馬としては珍しくフランスで種牡馬入りし、なかなか多数の牝馬を集めるなど人気のようだ。Sacamiroの母Saraはチェコ平地競争でMemoriál Rudolfa Deyla等を制した名牝だが、その産駒の活躍はSacamiroを除けば平地競争に限られる。

Sacamiroはおそらく今年のVelká Pardubickáにおける最有力候補の一頭だろう。昨年初めての参戦となったこのレースでは後方から追い上げて僅差の3着に入っていたが、展開や立ち回り次第では更なる上位を狙えるような内容であった。今年の始動戦となった2nd Qualification Raceでは軽快に逃げたLodgian Whistleの2着、そこから600メートル距離を伸ばした3rd Qualification Raceでは後方から押し上げTalent以下を完封する勝利と、明らかに距離延長に伴ってパフォーマンスを上げていることは面白い材料だろう。昨年一度Velká Pardubickáを経験したことによる上積みにも期待される。鞍上にはチェコを代表する名手であるJan Faltejsekというこれ以上なく心強いパートナーを確保した。Jan FaltejsekはこれまでにVelká Pardubickáを計5回勝利しているチェコを代表する名手であり*8、この馬とは今年で3回目のコンビとなる。所属するEva Petříková厩舎は全5名の小規模な厩舎、全員がフルタイムで異なる職業をしており、師は地元の農業中学校で教師をしているというなんとも地元に密着した陣営で*9チェコJockey Clubによれば管理馬は2023年9月28日現在、たったの5頭だそうだ*10。加えて、Sacamiroは現在取り壊しの危機にあるHřebčín Napajedlaの生産馬だが、Hřebčín Napajedlaは歴史あるチェコの生産牧場としてこれまでも多くの名馬を送り出しており、その保護活動にはチェコ競馬界から多くの支援が集まっている*11*12*13。Sacamiroの活躍は必ずやその保護活動の力となるだろう。このような出自の馬がこうして国の頂点となる競走において有力馬として参戦するのだから、障害競馬という文化、そしてVelká Pardubickáという競走は面白いのである。

 

4. LODGIAN WHISTLE (CZE), 10 J: ž. Ondřej Velek T: Josef Váňa st. (Pedigree)

父Silver Whistleは、Cozzene、Caroに連なる血統で、アメリカ生産馬だが現在はポーランドで繋養されているようだ。ポーランドチェコにおいてさほど目立った産駒はなく、Lodgian Whistleが代表産駒である。母Lodgiaはアイルランド産馬で、Lodgian Whistle自身はチェコ生産馬だがあまり血統的に地元色はあまり強くない。Cozzeneの子孫は近年の障害競馬での存在感は小さく、Alphabet SoupがA.P Smithwick Memorial (G1)の勝ち馬Down Royal及びLonesome Glory Handicap (G1)の勝ち馬Italian Weddingを送り出したことがおそらく最大の功績だろう。他には日本でもお馴染みの*ティッカネンがBuywise、Golden Chieftainなど複数の重賞勝ち馬を送り出した。面白いところではTchavsarというアメリカ生産馬の産駒で、Piraniyaというウクライナ生産馬は2021年にドイツBad HarzburgでSeejagdrennenを制している。TchavsarはロシアG1を勝利した馬だが、引退後はウクライナ種牡馬入りしているそうだ。無事であればよいのだが...。

Lodgian Whistleは元々2019年のCena Labe (Listed)を制し、さらに翌年の3rd Qualification Raceを完勝してこのVelká Pardubickáにおける有力馬として頭角を現してきた馬である。しかし期待を背負って挑んだ2020年のVelká Pardubickáは7着と完敗に終わり、その後はSan Siro及びMeranoのSteeplechaseを使うなどやや路線変更をしていた。MilanoのGrand Steeplechase Di Milano (G1)での2着が最高とそこでもあまり上手くいかず、故障による休養を経て戻ってきたのが昨年であるが、今年は早々にこのVelká Pardubickáに目標を定めると、始動戦のCena města Pardubic (I. kat.)を勝利、さらに今年から5200メートルに距離が短縮された2nd Qualification Raceを勝利と、ここにきて復調ぶりとPardubiceのCross Countryへの適性を強くアピールしている。9月の4th Qualification Raceでは途中棄権に終わっているが、これは急カーブでの鞍ズレによるものなので気にしなくていいだろう。今年に入っての勢いという点では強調できる一頭ではあるが、一方で同様に好調であった2020年のVelká Pardubickáではやや距離不安を感じさせる負け方を見せており、今年に入ってのレースも軽快なスピードを生かした勝ち方であるだけに、やはり課題は6900メートルという距離になりそうだ。Josef Váňa st.調教師はもはや言うまでもなくチェコ競馬界の生きる伝説であり、騎手及び調教師として数々の前人未到の偉業を成し遂げている*14

 

5. LOMBARGINI (GER), 12 J: Adam Čmiel→James Best T: Stanislav Popelka (Pedigree)

Alydarの系統に連なる父Enjoy PlanはAlyshebaの全弟で、種牡馬としては、2003~2007年のイタリア障害にて活躍し、Gran Premio Merano (G1)、Grande Steeplechase Di Milano (G1)を勝利したKolorado、2014年のWielka Wroclawskaの勝ち馬Jam Taki、2018年のWroclawのCrystal Cupを制し、小回りの利くスプリントを武器に当時のポーランドSteeplechaseで無敵を誇ったSztormなどを送り出している。Alydarの系統出身の活躍馬としては、2003年の中山グランドジャンプに参戦したフランスのEscort Boyが挙げられるが、ここ10年ほどの障害競馬における活躍馬は概ねこのEnjoy Planの産駒に限られる。Lombarginiの母LariaはSlušoviceのCross Countryを1勝した馬で、このLombarginiのほか、2021年のWroclawのCrystal CupやPrvomájová steeplechase města Lysá nad Labemを勝利し、長くこの路線で活躍したLarizanoを送り出している。

LombarginiはこれでVelká Pardubickáは3度目の挑戦となる。元々Cena Labe (Listed)における2年連続の2着等の結果を残した馬だが、2021年の3rd Qualification Raceにおける快勝により頭角を現し、この路線へと本格的に参入した。しかしながらVelká Pardubickáでは2021年は落馬、2022年は勝ち馬からかなり離れた6着とあまりいいところがない。今年の1st Qualification Raceでは早々に落馬、3rd Qualification Raceでもとりあえず権利は取ったとはいえ6着と着順は振るわずであまり元気がない。どうにも飛越の面においても未だに不安を抱えている馬でもあり*15、以前から気性的に難しいところもあったそうで*16、2021年のVelká Pardubickáの落馬のあとはどうにも冴えないレースに終わっているのは気にかかるところだろう。12歳という年齢を考えるとここにきて急激に良くなってきたということもなさそうで、昨年の6着から大きく着順を上げることができるかというと疑問である。なお、当初Adam Čmielが手綱を取ると発表されていたが、その後はイギリス人騎手James Bestに変更になったそうだ。チェコ競馬コミュニティではやや議論を呼んでいる変更であるが、Velká PardubickáはGran Premio Meranoの直後の開催となるが、当該開催での騎手の負傷、チェコやイタリア等における騎手の不足や他馬の動向等も絡んだ複雑な経緯を経ての決定だそうだ*17James BestはVelká Pardubickáは2回目の挑戦となるが、2019年にイギリス調教馬のRathlin Roseで6着に入っている*18

 

6. DULCAR DE SIVOLA (FR), 10 J: Josef Borč T: Vendula Jirčáková (Pedigree)

Dulcar De Sivolaの父AssessorはNiniskiの産駒で、種牡馬としては2012年から2014年にかけてLong Walk Hurdle (G1)を3連覇したReve De Sivolaや、2007年Arkle Challenge Trophy (G1)の勝ち馬My Way De Solzen、2019年のCheltenham Gold Cup (G1)で2着に入り、AintreeのGrand National (G3)の常連として頑張ったAnibale Fly等を送り出している。Nijinkyの分枝として、Niniskiの系統は近年大いに隆盛を誇るSaint Des Saints等を有するGreen Dancer - Cadoudalの系統*19と比較すると若干小粒ではあるものの、その役者としての数は多く、最近ではNiniski - Hernando - Sulamaniの系統がイギリス・アイルランドHurdle戦線で圧倒的なパフォーマンスを示した歴史的な名牝Honeysuckleを輩出している。

Dulcar De Sivolaはこれでこのレースはなんと5回目の挑戦となる。元々フランス障害競走を走っていた馬で、2018年からチェコに移籍、それ以降は毎年Velká Pardubickáを目指して精力的にレースに出走している。しかしながら、それぞれ9着、11着、9着、7着と例年さっぱりいいところがない。ここに向けてのQualification Raceでももはや常連となっているが、そのいずれにおいても勝負に加わることができたということはなく、今年はやや目先を変えてLysá nad LabemのMemoriál Evy Palyzové o pohár hejtmanky Středočeského kraje (I. kat.)を走ったり、馬に刺激を与えるためか4000メートルクラスのII. kat.に挑戦したりと頑張っているのだが、やはり結果を残すことはできていない。基本的にここまである程度落ちついたペースであれば問題なく追走はできるようだが、ペースが上がるとあっさりと脱落するといった展開が多く、シンプルなスピード能力の点で不安がありそうだ。ここまで2018年以降一度の落馬もなくコンスタントに頑張っている馬だけに、なんとか一つでも上を目指して欲しいところだが、10歳となった今年も特段馬が変わってきたというところもなく、状況的にはかなり厳しそうだ。Josef Borč騎手も2018年にMimoňのSteeplechaseで勝利したのを最後に勝ち星はない。管理するVendula JirčákováはDobšiceに拠点を構える女性調教師で、2022年から開業しているようだが今のところフランスからの移籍馬であるDerby PlusがCena Arnošta z Pardubic (II. kat.)で2着に入ったのが最高で、未だに勝ち星はない。チェコJockey Clubによると2023年9月末時点での管理馬は合計で4頭だそうで、少しでも上を目指して頑張って欲しいところである。

 

7. ROYAL GINO (GER), 10 J: ž. Jan Odložil→Adam Čmiel T: Marián Štangel (SVK) (Pedigree)

父It's Ginoは日本にも輸入された*ペルジノの産駒で、Danzigの孫である。It's Ginoの代表産駒としては2018年のTop Novices' Chase (G1)を制したLalorが挙げられる程度で、あまり活躍馬自体は多くはない。*ペルジノは中山グランドジャンプにも参戦したGinoladの父としても有名であるが*20、おそらくその代表産駒は2012年、2013年、2015年とVIC州Grand National Steeplechaseを3勝したBashboyだろう。2010年代を代表するオーストラリアの名馬として語り継がれているBashboyであるが、特に2015年の同レースの勝利はアイルランドの名手Ruby Walshを背にしてのものとして有名である。Danzigの子孫はやはりその繁栄ぶりもあって障害競馬においても多数の有力な種牡馬を有しており、その代表格としては主にDanehillを介した系統出身のJeremyやMastercraftsman、Westernerなどが挙げられる。

Royal Ginoはスロバキア調教馬で、もともとはかなり長く平地競争を走っていた馬である。その実績としては2016年のスロバキアダービーの4着等が挙げられるが、2021年から障害競争に参戦、2022年にはPardubiceのCross Countryで勝利を挙げるに至っている。今年は4月にBratislavaのSteeplechaseであるJarná cena MČ Petržalkaにて、AuteuilのSteeplechaseでも活躍した移籍馬Enjeu D'Arthelを破って勝利すると、その後は本格的にこのVelká Pardubickáを目指してQualification Raceへと参戦した。2nd、3rd Qualification Raceにおいてはいずれも落馬に終わるが、4th Qualification Raceにてようやく権利を取ってここに挑んできた。成績自体はいまいちなのだが、3rd Qualification Raceでの落馬はどうやら他馬の煽りを食ったものと陣営は文句を言っていたようで、2nd Qualification Raceの落馬もおそらく直前の馬を避けるものによると考えられることからあまり気にしなくていいだろう。まだCross Countryは9戦目と比較的経験は浅い馬で、前走の4th Qualification Raceも4着と敗れてはいるのだが、能力を持った馬の上積みに期待したいところである。ここまであまり崩れずに比較的コンスタントに走るタイプであること、さらにこの馬とコンビを組むことが多かったJan Odložilを確保できたということもプラス材料であろう。なお、チェコJockey Clubでは牡馬となっているようだが、どうやら当該データベースにおいてスロバキア調教馬にはしばしばありがちな間違いであるもので、おそらく既に去勢されているものと思われる。なお、スロバキア調教馬は毎年のようにこのVelká Pardubickáに参戦しており、2020年には12歳となったVandualが人気薄ながらも一瞬あわやとまで思わせる僅差の3着に入った。

【10/7追記】

Jan Odložilの負傷に伴いAdam Čmielに鞍上が変更になったそうだ*21

 

8. PLAYER (CZE), 11 J: ž. Marcel Novák T: Lenka Kvapilová (Pedigree)

父Moonjazはイギリス生産馬ながらチェコに輸出された種牡馬で、2018年Gran Corsa Siepi Di Merano (G1)の勝ち馬Aztek、2019年Gran Criterium D'Autunno (G1)の勝ち馬Night Moon、2014年のVelká Pardubickáで3連覇を狙った伝説的名牝Orphee Des Blinsを僅差まで追い詰めたAl Jazなどを輩出している。ただし、Nashwanの系統はあまり近年の障害競馬では馴染みがなく、近年は種牡馬としてクロノジェネシスを輩出した*バゴがこのNashwanの産駒だが、Moonjazはその数少ない砦である。Playerは母父Scaterというのがなかなかに味があってよいのだが、Playerの母Play Stationはチェコ平地競争で5勝をあげた馬で、一度だけPardubiceのHurdle戦にも出走している。Play Stationには概ねPop RockかMoonjazが交配されたようで、Playerの兄弟としてはPlaymonaという 牝馬が平地競争で計8勝をあげたようだ。ちなみにPlayerの兄弟の中には、父Scaterという恐ろしい近親交配であるPanamaという馬がいるのだが、なにかの間違いだろうか。

PlayerはこのVelká Pardubickáは5度目の挑戦となる。2019年は途中のコーナーで滑って落馬に終わっているが、2020年は2着、2022年は4着に入っており、すっかりこの路線ではお馴染みの馬と言っていいだろう。しかしながら2021年はVelký Taxisův příkopで落馬に終わっており、2022年の同障害はなんとか飛越したものの飛越直前でブレーキを掛けるような仕草を見せており、どうにも同障害への対応という点では不安が残るところである。Velký Taxisův příkopはこのVelká Pardubickáのみで使用されており、調教のためにも使用されていないことを踏まえると、こればかりはレースが始まってみないとわからないだろう。今年は5月の1st Qualification Raceは空馬に釣りだされて落馬、6月の2nd Qualification Raceでは水壕で落馬に終わるも、3rd Qualification Raceで4着に入り、ようやくここに向けての権利取りに成功した。3rd Qualification Raceでもこの馬のペースで淡々と運び、勝ち馬から1.5秒差の4着とさほど負けていないことを考えると、11歳となった今年も大きな力落ちはないと考えてよさそうだ。ここまで豊富なコース経験を武器とした11歳馬が5度目の挑戦で悲願達成なるか期待がかかるが、とはいえ一方で今年に入って大きな前進があったというわけではなさそうで、Velký Taxisův příkopへの対応の不安要素を抱えていることを踏まえると、上位争いは期待されるものの勝ち切るまではどうかという位置づけが妥当だろう。基本的には淡々としたペースを刻んでいくタイプだが、今回は同型馬Lodgian Whistleが存在していることも気になるところである。

 

9. ZATARO (CZE), 10 J: ž. Jakub Kocman T: Stanislav Popelka (Pedigree)

Playerと同じくMoonjazの産駒。母Ztracená Nadějeはチェコ産馬だが、祖母Zolkaは代々ロシアで繋がれてきた母系出身の馬、Ztracená Nadějeの父Taranはチェコ生産馬と、その母系の味わい深さは素晴らしいものがある。Ztracená NadějeはBenešovやMirošovといった2023年においてはもはや現存しないと思われる競馬場におけるSteeplechaseを含め障害競馬計5勝を挙げた馬だが、繁殖牝馬としては2014年のCena Vltavy (Stcc NL)を勝ったScater産駒のZugor、2011年のPrvomájová steeplechase společnosti INTENSYS-CZ (Stch I. kat.)を勝ったMagnus産駒のZulejka、Cena Laty Brandisové (Stcc I. kat.)を勝ったPop Rock産駒のZtracenkaなどを送り出している。このような渋みのある血統の馬は長く残って欲しいものである。

Zataroは主な実績としては2021年のCena Labe (Listed)においてAeneasの2着に入ったことが挙げられるが、とはいえ同レースは先頭を走っていたフランスのBorn To Be A Queenが最終障害で落馬したものであり、Zataro自身は残ったAeneasから12馬身差での2着であった。今年は3rd Qualification Raceにて5着に入ってここに挑んできた。ここまでPardubiceのCross Countryは2018年にIV. kat.を1勝したのみで、あまり上のクラスでの実績がある馬ではないのだが、一方でどうにもここまで年間1~3レース程度しか使えなかった馬が、今年はこれが4レース目と、ここにきて順調にレースに出走できている点は不気味な材料だろう。3rd Qualification Raceでも5着と着順は宜しくはなく、Playerが淡々と逃げたことによる展開利もあったとはいえ、勝ち馬からさほど差のない入線であることを踏まえると、単純に格下の馬と見限れないところがありそうな印象がある。調教師としてはこの馬は比較的重い馬場を好むそうで*22、当日の馬場次第ではダークホースとして浮上する可能性は否定しきれないだろう。Jakub Kocmanとは初コンビ、Velká Pardubickáは初参戦と状況は良くはないのだが、注意しておいた方がよさそうな一頭だろう。Jakub KocmanはVelká Pardubickáは2022年にSacamiroで3着に入って以来の参戦となる。

 

10. STAR (GER), 12 J: ž. Marek Stromský T: Hana Kabelková (Pedigree)

Starの父SternkönigはGrey Sovereign - Zeddaan - KalamounからKalaglowを経るラインの出自で、種牡馬としては2006年のGran Corsa Siepi Di Milano (G1)の勝ち馬Piedmontを送り出している。また、Sternkönigの産駒であるBonvivantは種牡馬としては2015年のSvenskt Grand Nationalの勝ち馬でドイツ調教馬のLändlerを送り出しており、ヨーロッパ障害競馬においてそれなりに馴染みのある系統ではある。StarはSternkönigに残された数少ない現役競走馬の一頭である。Zeddaanの末裔としてはHighest Honorを経るNo Risk At Allが欧州障害競馬において大成功を収めており、イギリスChampion Hurdle (G1)の勝ち馬EpatanteやGran Premio Merano (G1)を快勝したFirst of All、Ryanair Chase (G1)を圧勝したAllahoをはじめ、多数の活躍馬を送り出している。日本に輸入された*トニービンもまたZeddaanの末裔で、最近でもジャングルポケット新潟ジャンプステークス (G3)の勝ち馬ティリアンパープルや三木ホースランドパークジャンプステークスの勝ち馬テリオスルイを送り出している。

Starは元々スロバキアJaroslav Brečka厩舎の所属馬であったが、2023年から現厩舎に移籍したようだ。Velká Pardubickáはこれが3度目の挑戦となる。わずかCross Country5戦目で挑んだ2021年は終始破天荒なレースぶりが目立っており、道中でペースが緩んだ地点で行きたがって走っていたりと苦労していたようだが、最終障害に至るまで大きく馬群からは脱落せず、結果的に6着に入線している。前進が期待された2022年はVelký Taxisův příkopで早々に落馬したのだが、2023年に入ると3rd Qualification Raceでは3着、4th Qualification Raceでは2着と、転厩の効果か12歳となったここにきてまさかの変わり身を見せている。以前もJaroslav Brečka騎手がかなり苦労しながら騎乗していたように気性的な問題があったものと思われるが、ここにきてまともにレースに参加できるようになってきたのは驚くべき前進だろう。おそらく後ろからじわじわと捲り上げていくレースになると思われるが、前走で一度この馬とコンビを組んでいるMarek Stromskýを確保したことは大きなアドバンテージである。どうしても展開に左右される可能性はありそうだが、12歳となったベテランの悲願達成に期待したい。Marek Stromskýはとにかくこのレースには縁がない人で、2度も1位入線を果たすも2度とも失格になっているという不幸っぷりである。Amant Grisではコースを間違えたことによるもの、Nikasはレース後に禁止薬物が検出されたとのことで、持っている技術は一流であるだけにいい加減いいことがあって欲しいものである。

 

11. ARGANO (CZE), 9 J: ž. Martin Liška T: Martin Liška (Pedigree)

父Lord of EnglandはNever Bend - Mill Reef - Shirley Hightsの末裔で、ドイツ及びイタリアで平地競争馬として現役生活を送り、Grosser Dallmayr Preis等を勝利したのちにドイツで種牡馬入りした。ただ、その産駒としてはQuaminoという馬が2019年にGoffs Handicap Chase (Grade B)を勝った程度で、障害競馬においては特に目立った産駒は出していない。Lord of Englandの祖父Elegant Airの分枝ではEden Rockが2019年のSvenskt Champion Hurdleを勝ったドイツのLeierspielerinを輩出している程度だが、Shirley Heightsの末裔としては最近でもJewson Anniversary 4YO Hurdle (G1)の勝ち馬Kight Salute(父Sir Percy)、Welsh Grand National (G3)の勝ち馬Raz De Maree(父Shaanmer)、そしてなんといってもQueen Mother Champion Chase (G1)の勝ち馬Put The Kettle OnやLexus Chase (G1)の勝ち馬Outlanderを送り出したStowawayなどが存在し、近年の障害競馬でも一定の存在感を示している。日本にも*コンデュイットが輸入され、東京ジャンプステークス (G3)を制したシンキングダンサーを送り出した。Arganoの母Argantaは2004年にチェコオークス及びスロバキアオークスを制した東欧の名牝で、その産駒はチェコ・スロバキアクラシック戦線で一定の結果を残したようだが、特段障害競馬における活躍馬はいないようだ。

ArganoはVelká Pardubickáは今年で2回目の挑戦となる。未勝利馬として挑んだ昨年は5着に終わっているが、今年に入って1st Qualification Raceでは3着、そして4th Qualification Raceでは待望の初勝利と、ここにきて躍進目覚ましい上がり馬である。特に4th Qualification RaceではLodgian Whistleの早々の脱落により引っかかり気味に逃げたGap Pierjiがペースを作る中をじわじわと進出すると、終わってみれば2着のStar以下に5馬身差をつける快勝であった。どうしてもレースとしては元々有力馬として目されていたLodgian WhistleやTalentの不在によりレースレベル自体には注意した方がよさそうではあるものの、昨年のVelká Pardubickáは展開的な不利があった中での5着ということを考えると、良い素質を持った馬がようやくここにきて本格化してきたという可能性を考えた方がいいだろう。昨年の時点でMartin Liška騎手兼調教師もこの馬の飛越技術は評価している旨の記事が出ており*23、今年に入っての勢いという点ではかなり有力な一頭になりそうだ。Martin Liškaは非常に経験のある障害騎手で、Velká Pardubickáに参戦した経験も豊富であるが、近年は調教師としての活動にも注力しているようで、今回はついに本格化を迎えた自身の管理馬と共にVelká Pardubickáに挑むということで楽しみな試みになりそうだ。

 

12. STUKE (GER), 9 J: ž. Benoit Claudic T: Radek Holčák (Pedigree)

父Jukebox Juryはドイツ及びアイルランドで繋養されている種牡馬で、イギリス・アイルランドでは2018年のTriumph Hurdle (G1)の勝ち馬Farclasや、2023年のIreland Novice Hurdle (G1)を制したIl Etait Tempsが代表的な産駒である。その産駒はイタリア・チェコポーランドでも存在感を示しており、2020年のCena Nadace pro rozvoj města Pardubic (Stcc NL)の勝ち馬Dajuka、Wielka Partynickaの勝ち馬Spasskiなども代表産駒として挙げられる。チェコスロバキアポーランド等ではしばしば牡馬がセン馬に混じって障害競馬に出走するようで、Jukebox Juryの産駒の中にもそのような馬はいるようだが、種牡馬となる馬が現れるかどうかは定かではない。2023年には平地Prix Du Cadran等を勝利した牝馬Princess ZoeがHurdle戦線に挑戦するということで話題を集め、デビュー戦となったPunchestownのMaidenを勝利している。Princess Zoeの更なる障害戦線での活躍及びPrincess Zoeの産駒から欧州障害競馬で活躍する強靭なステイヤーの誕生を楽しみにしていたのだが、どうやらPrincess ZoeはHurdleでのキャリアは早々に日本で繁殖牝馬として繋養されるらしい。欧州の名ステイヤーとして活躍した同馬の産駒は是非ステイヤーとして障害競争を走ってもらいたいところである。Stukeの母StigmaはCena Bratislavská mílaなどチェコ・スロバキアで活躍したHřebčín Napajedla出身の名馬である。

Stukeはここまで主にイタリアSiepiで結果を残してきた馬で、2020年のGran Corsa Siepi Di Merano (G1)及び2019年のGran Corsa Siepi D'Italia (G1)を制している。2019~2020年頃にはイタリアSipeiのトップホースとして君臨した馬であるが、2023年はPardubiceのCross Countryに矛先を向けており、9月の4th Qualification Raceで3着に入ってここへの出走権利を獲得した。これがCross Country6戦目と非常に上がり目の期待できる馬ではあるのだが、一方でここまでCross Countryでは5戦して落馬が2回と、どうにも飛越技術の面で気になるところがありそうで、いきなりこの大舞台というとやや荷が重そうな印象がある。加えてMeranoの3000~4000メートルクラスのSiepiにおいて結果を残してきた馬であり、Jukebox Juryの産駒らしい小回りの利く細やかなスプリント能力を武器とする馬であることを考えると、それなりに広い競馬場のスピードの持続性能が要求されるPardubiceの6900メートルという舞台に適性があるかも微妙なところだろう。鞍上のフランス人騎手Benoit Claudicとはこれが初コンビとなる。Pardubice競馬場の経験自体はある人で、チェコ競馬関係者とのコネクションもあるらしくフランスやイタリア等でチェコ調教馬に騎乗することも多いのだが、Velká Pardubickáはこれが初めての騎乗となる。

 

13. MR SPEX (GER), 9 J: am. Patrick Mullins T: Luboš Urbánek (Pedigree)

Mr Spexの父Tai ChiはHigh Chapparalの産駒で、ドイツでPries Des Winterfavoriten等を制した。引退後はドイツで種牡馬入りしたようだが、ここまで障害競馬において目立った活躍馬は輩出しておらず、Mr Spexはその代表産駒となる。High Chapparalは種牡馬としては非常に優秀で、その代表産駒はなんといってもイギリス16ハロンChase路線で一時代を築き上げたAltiorだろう。High Chapparalは多数の後継種牡馬を残しているが、その後継種牡馬としてもSo You Thinkが2020年のCena Labe (Listed)を勝利し、2021年のVelká Pardubickáで2着に入ったEvženを送り出している。Evženは次世代のトップホースとしての呼び声も高かったのだが、残念ながら故障により早々にそのキャリアを断たれることとなった。

Mr Spexは昨年のVelká Pardubickáの勝ち馬である。元々距離延長により頭角を現し、2021年のVelká Pardubickáでは人気薄ながら3着に入っていた馬なのだが、昨年は初めてコンビを組んだチェコの名手Lukáš Matuskýとともに大仕事をやってのけた。しかしながら今年は3rd Qualification Raceに出走したものの、その際は雨の影響による重馬場を嫌ったのか大敗に終わっており、どうにもいいところを見せられていない。当時は初コンビのフランス人騎手Ludovic Solignac、加えて雨による重馬場と言い訳はできそうなのだが、とはいえ馬が昨年までの状態にあるかという点では少々慎重に考えた方がいいかもしれないというのが現状だろう。Luboš Urbánek調教師としてはどうやら馬の状態には自信があるようで*24、調教師の言葉を信じたいところである。加えて、どうやら暑熱に弱い馬のようで*25、10月のPardubiceということでさほど大きな心配はなさそうだが、念のため当日の気温にも注意はした方がよさそうだ。今年は主戦騎手Lukáš Matuskýの怪我の影響で、今回はアイルランドのPatrick Mullinsとのコンビとなった。Patrick Mullinsはアイルランドのアマチュア騎手として代表的な存在で、一般的なプロ騎手を遥かに凌駕する高い騎乗技術を有している。Velká Pardubickáは2021年、2022年ともに落馬に終わっており、これが3度目の挑戦となる。今年は昨年の勝ち馬が回ってきたことで大きなチャンスを得た。2021年にこの開催に参戦した際は2戦していずれも落馬と悲しい結果であったのだが、Pardubiceのコースにもだいぶ慣れてきたようで、昨年はMr ZuruとのコンビでPardubiceでの勝利まであと一歩のところまで迫っており、今年こそは結果を残したいところである。Luboš Urbánek調教師はLukáš Matuskýの代役を主にフランスで探していたようだが、Patrick Mullinsが最近計700勝を達成したということで白羽の矢が立ったそうだ*26

 

14. TALENT (CZE), 12 J: ž. Pavel Složil ml. T: Hana Kabelková (Pedigree)

父のEgertonはドイツ生産馬で、ソングオブウインドアドマイヤメインが参戦したHong Kong Vaseにも出走していた馬である。Egertonの代表産駒としては、2015~17年頃にハンガリー障害競走において無敵を誇り、イタリアのGran Corsa Siepi Di Milano (G1)などでも2着と活躍したハンガリーの英雄Diplomataが挙げられる。他にも、Velká starohájska steeplechaseを連覇したSegona、Cena Laty Brandisovéの勝ち馬Poinsettia、更にはCena ČASCHを強い勝ち方で制したGatsbyEgertonの産駒で、チェコではなかなか馴染みのある種牡馬である。最近はVelká slušovickáを制したSexy Lordが5000メートルクラスのCross Countryを連勝し頭角を現している。残念ながらEgertonは2021年に亡くなっているが、しばらくその産駒の活躍は期待できそうだ。Egertonの父*グルームダンサーは日本にも輸入されたようだが、ヒカルシンデンという馬が障害未勝利戦を勝利したのみに留まったようだ。母TavbeccaはPardubiceのCross Countryで1勝を挙げている馬だが、母系としてはチェコで脈々と続いてきた血統のようで、特にTalentの母母父LincolnはHřebčín Napajedla出身で、1976年のチェコHorse of the Yearに輝いているほか、1990年及び1998年のリーディングサイアーに輝いているチェコの名馬だそうだ。

Talentは2021年のVelká Pardubickáの勝ち馬で、Velká Pardubická自体は2019年、2020年、2021年、2022年に続き5回目の参戦となる。早くからその才能を高く評価されていた馬であるが、これまでに足元の弱さもあって幾たびの故障を乗り越えてきた経緯があり、調教としてきついギャロップは使わずに足元への負荷を避けるために水泳を用いたトレーニングを多用するなど、この馬のここまでの活躍は陣営による涙ぐましい努力の結晶である。11歳となった昨年は直前の落馬による影響が懸念されていたものの、Mr Spexから僅差の2着に入り、相変わらずの古豪健在ぶりを示した。今年は6月に行われた2nd Qualification Raceこそ大敗したものの、どうやら暑熱による影響があったようで、激しい降雨があった8月の3rd Qualification Raceでは2着に入っている。なぜその後4th Qualification Raceを使ったのかはよくわからないのだが、どうやらIrish Bankの頂上で突然立ち止まったことにより騎手が落馬したもののようで、特にこれは気にしなくてもいいだろう。極端な暑熱に弱い馬のようで当日の気温には注意した方が良さそうではあるが、12歳となった今年も極端な力落ちはなさそうで、引き続き好勝負が期待できそうな一頭である。鞍上には2021年にこのレースを制したときの騎手Pavel Složil ml.を引き続き確保していることも心強い材料である。

 

15. SANTA KLARA (IRE), 8 J: ž. Jan Kratochvíl T: Josef Váňa ml. (Pedigree)

So You Thinkニュージーランド生産馬であるが、その代表産駒はチェコCross Country路線において近年随一の素質馬として名高いEvženであろう。2018年のCena ČASCH (Stcc NL)、2019年のCena Vltavy (Stcc NL)、そして2020年のCena Labe (Stcc NL)と順調にステップアップすると、満を持して挑んだ2021年のVelká Pardubická (Listed)では当時10歳の古豪Talentに対して僅差の2着に頑張った。残念ながら足元の故障により2022年は全休、2023年に復帰を目指すも故障が再発したことによりそのキャリアは早々に断たれることとなったが、同馬がチェコ競馬ファンに残した印象は非常に強く、2023年のVelká Pardubickáでは誘導馬の大役が回ってきたそうだ*27。Santa KlaraもまたこのSo You Thinkの代表産駒である。

Santa Klaraは今年の出走馬中唯一の牝馬となる。元々はMeranoのCross countryで結果を残してきた馬で、2022年のGrande Steeplechase Di Roma (G3)ではAlmost Humanに15馬身差をつけて快勝した。昨年もこのレースへの出走を見込んでおり、それなりに期待されていたようだが結局は出走せず、ついに今年になって待望の出走が叶うことになりそうだ。今年は初のPardubiceのCross Countryとなった2nd Qualification RaceではLodgian Whistleの3着に入っており、ひとまずは期待された通りのPardubiceデビュー戦を終えたと言えよう。ただし、ポーランドのWielka Wrocławskaでは途中から先頭に立って悠然と進めるも、最後はHer HimとNotti Magicheに捕まっての3着に終わっている。Wielka Wrocławskaでは途中から強気に立ち回り過ぎた感もあるとはいえ、Wielka Wrocławskaの5000メートルから一気に2000メートル近く距離が延長されるとなると、やや距離的な面での不安はありそうだ。Josef Váňa ml.はあのJosef Váňaの息子で、もともとチェコのトップジョッキーとして活躍していたのだが、現在は騎手は引退して調教師に専念している。その管理馬はイタリアの主要障害競争を多数制すなど飛ぶ鳥を落とす勢いで、今後長くチェコを代表する厩舎として活躍することが期待される。イタリア人オーナーScuderia Aichnerは主にイタリア障害戦線ではお馴染みのオーナーで、Gran Premio Merano (G1)4連覇を成し遂げたL'EstranやGrand Steeplechase De Paris (G1)でチェコ調教馬ながら5着に入ったSuriotなど、Josef Váňa ml.とのコンビでイタリア障害競馬を中心に多数の有力馬を所有している。最近はPardubiceやWroclawなどにも馬を送り込んでいるようで、このJosef Váňa ml.とScuderia Aichnerの陣営の黄色と黒のお馴染みの勝負服の馬が各地で躍動する姿を楽しみにしたいところである。

 

16. IMPHAL (POL), 10 J: ž. Ludovic Solignac T: Stanislav Popelka (Pedigree)

父Golden Tirolはポーランドで現役生活を送った馬で、2009年のAustria Derby等を制している。どうやらその後はポーランド種牡馬入りしたようだ。チェコにもその産駒は輸入されているようだがその数はわずかで、活躍馬としてもこのImphalが目立つ程度である。Golden Tirol自身は遡ればForliを経てHyperionに繋がる貴重な血統なのだが、この系統自体既に障害競馬でもほぼ過去のものとなっており、Golden Tirol自身のポーランドでの産駒成績もあまり芳しいものではなさそうだ。Golden Tirolの産駒としては最近ではどうしても名前が気になる*28Toyamaという牝馬がWroclawのHurdle戦線を走っていたりするのだが、6月のレースではNoble Eagleの2着に入るもその後どういうわけか失格になったようだ。Imphalの母Implikacjaはチェコの平地競争を3勝した馬だが、その産駒としてはWielka Partynickaを勝利したIsuzuがいるようで、Imphalはその半弟である。

Imphalはこのレースは2度目の挑戦となる。元々3000メートルクラスの競争を走っていた馬だが、2020年頃に距離を延長して結果を残すと、2021年には3300メートルのCena Viléma z Pernštejna (II. kat.)を快勝したのちにVelká PardubickáのQualification Raceへと参戦した。ただ、2021年はII. kvalifikace na 131 Velkou pardubickou se Slavia pojišťovnou - Memoriál Mjr M.Svobody (Stcc NL)では4着、III. kvalifikace na 131. Velkou pardubickou se Slavia pojišťovnou (Stcc NL)は5着とどうにも前からは離された敗戦で、結局Velká Pardubickáへは参戦せずに終わっている。昨年は4th Qualification Raceを快勝してVelká Pardubickáに参戦したものの、Velký Taxisův příkopで早々に落馬。今年は初戦のCena města Pardubicこそ2着に入ったもののその後の2戦はいいところなしと、昨年に比べてどうにも元気がなさそうなのが気になるところである。昨年の4th Qualification Raceも快勝したとはいえメンバー的には微妙なところで、どうにも昨年に比べて大きく前進があるわけではなさそうというのが現状だろう。フランス人騎手Ludovic Solignacとはこれが2度目のコンビとなる。Ludovic Solignacはここ2年ほどPardubiceにも積極的に参戦するようになっており、今年の6月にBeau Fixeとのコンビで嬉しいチェコ初勝利を挙げている。このレースは昨年に引き続き2度目の挑戦となる。Cross Country競走における手腕は確かなようで、昨年コンビを組んだChicname De CotteのPavel Vítek調教師からも評価されているようだ*29

 

17. KAISERWALZER (GER), 10 J: ž. Jaroslav Myška T: Jaroslav Brečka (SVK) (Pedigree)

父Wiener WalzerはTurn-To - Hail to Reason - Robertの系統の出身で、2009年のドイツダービー馬である。障害競馬においては2021年のCoral Final Juvenile Hurdle (G1)の勝ち馬Adagioや2020年のPremio Neni Da Zara (G3)の勝ち馬Kölsche Jungを出しているが、残念ながらすでにトルコに輸出されているそうだ。Wiener Walzerの父Dynaformerは障害馬の父としても優秀で、2011年のNew York Turf Writers Cup (G1)の勝ち馬Mabou、2010年及び2011年にIroquois Hurdle (G1)を連覇したTax Ruling、2015年のAustralian Steeplechaseを勝利したThubiaan、2017年の英Grand Nationalの2着馬Cause of Causesなどを輩出しているが、Dynaformerの後継種牡馬の障害競馬における存在感はそこまで大きくはない。Kaiserwalzerの全弟Kölsche Jungは上記のとおりPremio Neni Da Zara (G3)の勝ち馬だが、チェコJockey Clubの情報によるとおそらく何かしらの理由で既に死亡しているものと思われる。

KaiserwalzerはスロバキアJaroslav Brečkaの調教馬で、このレースはこれで3回目の挑戦となる。元々下のクラスで走っていた馬なのだが、突如2021年の4th Qualification Raceで2019年のVelká Pardubickáの勝ち馬Theophilosを下して頭角を現してきた。しかしながら2021年はVelký Taxisův příkopで早々に落馬、2022年はPopkovický skokで落馬と、どちらもぱっとしない成績に終わっている。そもそも上記2021年の4th Qualification Raceを除くと昨年10月のCena města Pardubic (Stcc II. kat.)にてImphalの2着に入ったのが最高で、今年も2回のQualification Raceに参戦しているものの、そのいずれにおいても勝負に加わることはできていない。ややPardubiceのCross Countryに不慣れな感のあったPatrick Mullinsとコンビを組んでいた一昨年、昨年と異なり、今年の鞍上はPardubiceの経験のあるトップジョッキーJaroslav Myškaに代わることは大きなアドバンテージではあるのだが、とはいえ近走成績からはそもそもこのクラスで勝負になるかと言われるとだいぶ怪しいというのが現状だろう。Jaroslav Brečkaは今年で58歳になるスロバキアの伝説的な騎手兼調教師で*30、今年もこの馬に騎乗してレースに参戦していたりもするのだが、今回の鞍上はJaroslav BrečkaではなくJaroslav Myškaとなるようだ。

 

18. GODFREY (FR) (AQPS), 7 J: ž. Daniel Vyhnálek T: Dalibor Török (Pedigree)

父Great Pretenderは平地では2002年のPrix Du Jockey Clubにて4着がある馬だが、現役生活の終盤はフランスHaiesを走り、Prix Achille Fould (Listed)等を勝ったのちに種牡馬入りした。障害種牡馬としてはなかなか優秀なようで、その代表産駒は2021年及び2022年とCelebration Chase (G1)を勝利し、Sandownの16ハロンChaseでは優秀な成績を残しているGreaneteen、2018年のOLBG Mares' Hurdle (G1)を制すなどイギリス・アイルランドHurdle路線で大暴れし、2019年のGrand Course De Haies D'Auteuil (G1)にてフランスの怪物De Bon Coeurとのアイルランド・フランスの怪物牝馬対決を制したBenie Des Dieuxだろう。他にもPrix Renaud Du Vivier (G1)の勝ち馬Grand D'Auteuil、Anjou-Loire Challengeを連覇したAmazing Comedy、歴史あるドイツBadenia Jagdrennenの現状最後の年の競争を制したBox Officeなど、その産駒の活躍ぶりは目を見張るものがある。イギリス・アイルランド2022-23シーズンのJuvenile Hurdle路線ではアイルランド牝馬Lossiemouthが同路線のトップホースとして君臨する素晴らしいパフォーマンスを見せ、父Great Pretenderの名声をより高めることとなった。

Godfreyは僅かにアラブ血統を有する(0.14%)AQPSで、WaregemのSteeplechaseを勝利した母PartoutatouがAnglo-Arabe de complémentとなる。どうやらGodfreyの5代母Belluxの父PatrickがAnglo-Arabe de complémentのようだが、Patrickの父KerlorはSt Simonに連なるサラブレッドで、母方にAnglo-Arabe de complémentが入ってくるようだ。なお、いつもの血統データベースにこの馬は掲載されていないため、チェコJockey Clubのデータベースを参照している。

Godfrey自身は昨年までの段階では特段目立った成績はなかったのだが、今年の1st Qualification Raceにて今年有力な上がり馬として期待されていたSunday Break産駒のChelmsfordに対して僅差の2着に入り、ここに向けての有力馬として名乗りを上げてきた。Chemlsfordは残念ながら故障で今年の出走は叶わなかったが、出走していれば確実にここでも有力馬として目されていたであろう存在である。Godfreyはその後のCena deníku Právo (Stcc II. kat)ではCoupstarの2着に敗れているが、現5歳馬のCoupstarは5歳世代においては現状トップクラスの能力を示している馬で、同レース自体も4500メートルと距離も十分ではなかったことを考えると、このレースでの2着は意義のあるものだろう。ここにきて急激に力をつけてきたうえ、距離延長によりパフォーマンスを上げてきたということを考えると、今年が初のVelká Pardubickáへの挑戦とはいえ、なかなかに期待されていい一頭であろう。Daniel Vyhnálek騎手は近年売り出し中の騎手で、平地競争にも積極的に騎乗している。Velká Pardubickáは2回目の挑戦となる。

 

【10/5追記】

Outsideři Velké. Nakopne irské koně kouzelník? Zázrak už se mu povedl (iSport.cz)

「世界を旅する者」「魔術師」といったニックネームを持つポーランド人のGrzegorz Wroblewskiはチェコの成功した調教師であり、過去にはOrphee Des Blinsの成功で知られる。現在Alpha MaleとJet Fighterのアイルランド調教馬2頭はGrzegorz WroblewskiのもとでMarek Stromský及びPetr TůmaとともにVelká Pardubickáへの準備を進めているようだ。

Obavy o Faltejskovo zdraví. Favorit Velké znovu spadl, bude na startu? (iSport.cz)

Jan FaltejsekはVelká Pardubickáにおいて人気馬Sacamiroに騎乗する予定だが、Meranoでの落馬もあって健康状態に不安を抱えているそうだ。Gran Premio MeranoでもFirst of Allに騎乗する予定であったが、直前で変更になっている。土曜日のPardubice開催の騎乗はなく、日曜日においても2レースの騎乗を取りやめたそうだ。なお、Josef Bartoš及びLukáš Matuskýは既に欠場することが決定している。

VIDEO: Sacamiro z beňovské stáje je podle sázkařů favoritem Velké pardubické (Přerovský deník.cz)

SacamiroはBeňovにある小さな厩舎の所属馬だが、今年は町をあげてSacamiroの応援をすることになるそうだ。Beňovは人口700人にも満たない小さな村である。

Jubilant Stromský: Váňovci poletí, my budeme spát, aby nám nešlapali na pr... (iSport.cz)

Starに騎乗するMarek Stromský騎手のインタビュー。Marek StromskýはこれまでにVelká Pardubickáにおいて2回の1位入線失格という憂き目を味わっている。今年で12歳となったStarに関して詳しく述べられている。

Nabitý pardubický víkend pre slovenské prekážkové stajne (Turfsport)

これはスロバキアメディアのPardubice開催に関する記事。Poplerův memoriál skupiny SOMIに出走するMr Zuruは有力馬として期待できそうだ。

Důchodce Evžen mění zvyky Velké. Rváč k pohledání se dočká pocty (iSport.cz)

Evženは今年のVelká Pardubickáの誘導馬を務める。Velká Pardubickáの勝ち馬ではない馬がこの競走の誘導馬となるのは史上初のことだそうだ。

Od 8 tisíc zlatých k 5 milionům korun. Jak se vyvíjela dotace Velké pardubické? (Fitmin & Turf Magazin)

Velká Pardubickáの今年の総賞金額は500万コルナであり、これはチェコダービー(200万コルナ)やWielka Warszawska(250万コルナ)と比較しても高い水準にある。これはVelká Pardubickáの賞金額の変遷に関する記事。

 

【10/7追記】

Mullins out to master Velka Pardubicka challenge (Racing TV)

これはRacing TVの記事。Patrick MullinsがPardubice競馬場のCross Countryについて述べている。

Sadler's Wells, Monsun nebo Dara Monarch? Jaká krev uspěje v letošní Velké pardubické? (Fitmin & Turf Magazin)

Velká Pardubickáに出走する馬の血統背景について、主に父系に焦点を当てた記事。チェコ競馬界の血統背景のトレンドを垣間見ることができる。

Velká pardubická 6. října 2023 • 12:40 Ir Mullins pojede ve Velké obhájce titulu Mr Spexe: Doufám, že vyhraju! (iSport.cz)

チェコメディアにおけるPatrick Mullinsのインタビュー記事。どうやらMr Spexの騎乗オファーを受けたため、アイルランドでの有力馬に騎乗することを断ったそうだ。Patrick MullinsのVelká Pardubickáに対する思い入れの強さを伺うことができる。どうやらRachael Blackmoreにもオファーが来ているようで、Willie Mullins陣営からもVelká Pardubickáに挑戦することができる馬を探しているようだ。

*1:http://dostihyjc.cz/index.php?page=15&id_den=11013

*2:http://dostihyjc.cz/index.php?page=5&stat=1&rok=2013&sel_den=6648

*3:https://www.youtube.com/watch?v=YmCzneFzxtQ&t=1s&pp=ygURQmFsbHlib2tlciBCcmlkZ2U%3D

*4:https://www.racingpost.com/news/ireland/ive-decided-to-come-over-and-test-the-waters-peter-maher-sends-pair-to-czech-republic-for-pardubicka-warm-up-a5lO46U5qnFs/

*5:https://www.youtube.com/watch?v=WYJcT4YoJTI

*6:https://en.wikipedia.org/wiki/Velk%C3%A1_pardubick%C3%A1

*7:https://www.pedigreequery.com/camill

*8:https://cs.wikipedia.org/wiki/Jan_Faltejsek

*9:http://www.dostihovy-svet.cz/en/node/10417

*10:http://dostihyjc.cz/index.php?page=19&IDTR=42052&rok=2023&pod=kariera

*11:https://www.jezdci.cz/clanky/sance-pro-hrebcin-napajedla-zastupitele-odmitli-zastaveni-vybehu/

*12:https://dostihy.fitmin.cz/chov/s-alesem-martinkem-o-cilech-petice-na-zachranu-hrebcina-napajedla-a-jejich-moznostech.html

*13:https://www.idnes.cz/pardubice/zpravy/hrebcin-napajedla-ministr-zemedelstvi-pastviny-odchov.A230818_125459_pardubice-zpravy_skn?zdroj=vyhledavani

*14:https://cs.wikipedia.org/wiki/Josef_V%C3%A1%C5%88a

*15:http://www.dostihovy-svet.cz/cs/node/10413

*16:https://isport.blesk.cz/clanek/ostatni-velka-pardubicka/403239/kun-autista-dozral-je-z-nej-favorit-velke-porad-je-specificky-rika-kouc.html

*17:https://isport.blesk.cz/clanek/ostatni-velka-pardubicka/437380/kudla-do-zad-cechum-anglican-do-velke-vzbudil-vasne-kouc-popsal-vyvoj.html

*18:https://www.dostihy.fitmin.cz/domaci-dostihove-deni/zmena-na-startovni-listine-velke-v-sedle-lombargihino-bude-misto-adama-cmiela-anglican-james-best.html

*19:https://virgos2g.hatenablog.com/entry/2023/09/22/235500

*20:https://virgos2g.hatenablog.com/entry/2021/12/25/151159

*21:https://isport.blesk.cz/clanek/ostatni-velka-pardubicka/437728/jedes-nejedes-jedes-o-kone-cmiel-ve-velke-prisel-ale-nahradi-odlozila.html

*22:https://www.equitv.cz/video/jakub-kocman-zataro-musi-mit-pohodu-o-sampionat-zkusim-zabojovat.html?display=popup

*23:https://dostihy.fitmin.cz/domaci-dostihove-deni/s-trenery-pred-sezonou-9-martin-liska-pripravuje-partenitova-polobratra-a-dalsi-nove-kone.html

*24:https://dostihy.fitmin.cz/domaci-dostihove-deni/s-lubosem-urbankem-o-mr-spexovi-megic-merlinovi-uprightovi-dvouletych-nadejich-i-novych-posilach-staje-lokotrans.html

*25:https://dostihy.fitmin.cz/domaci-dostihove-deni/mr-spex-je-v-minimalne-stejne-ne-li-lepsi-forme-nez-loni-rika-trener-urbanek.html

*26:https://dostihy.fitmin.cz/domaci-dostihove-deni/s-lubosem-urbankem-o-mr-spexovi-megic-merlinovi-uprightovi-dvouletych-nadejich-i-novych-posilach-staje-lokotrans.html

*27:https://zavodistepardubice.cz/milacek-publika-evzen-na-velke-pardubicke-preci-jen-bude/

*28:https://virgos2g.hatenablog.com/entry/2023/07/20/230000

*29:https://dostihy.fitmin.cz/domaci-dostihove-deni/francouzsti-polokrevnici-jsou-do-pardubic-idealni-mini-trener-chicname-de-cotte-pavel-vitek.html

*30:https://isport.blesk.cz/clanek/ostatni-velka-pardubicka/420990/slovensky-vana-sni-o-triumfu-tricet-let-pote-co-velkou-vyhral.html?fbclid=IwAR0seB-v6FT8gBQ3P87V6pRDT0NSReORG9kbY3Jw-JowdyWgG8OuwO1On5I